2017年01月15日 (日)

ミニロケット打ち上げ失敗 民生用部品との関係が焦点

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超小型衛星を安い費用で打ち上げようと、JAXA=宇宙航空研究開発機構が新たに開発した世界最小クラスのミニロケットは15日朝、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられましたが、機体からのデータが途中で得られなくなったため飛行を中断し、打ち上げは失敗しました。コストを抑えるため、実験的に使われている民生用の部品が関係しているかどうかが焦点の1つになっています。

JAXAが新たに開発した高さ9メートル50センチというミニロケットは、超小型衛星を搭載して15日午前8時33分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。

しかし、JAXAによりますと、1段目のエンジンで上昇を続けていた、打ち上げからおよそ20秒後、機体の状態を示すデータが突然得られなくなり、安全に飛行を続けることができなくなったとして、2段目への点火を取りやめ、打ち上げは失敗しました。ミニロケットと超小型衛星はいずれも、警戒区域内の海上に落下したということです。

今回のミニロケットと超小型衛星にはコストを抑えるため、家電製品などに使われる民生用の部品が地上との通信を含め多く使われ、今回の打ち上げではその信頼性を確認することが大きな目的となっていました。今のところ、データが途絶えた原因や機体やシステムのどこに問題があったかはわかっておらず、JAXAは今後、調査チームを作り特定することにしていますが、民生用の部品が関係しているかどうかが焦点の1つになっています。

打ち上げ責任者を務めるJAXAの羽生宏人准教授は「今回は挑戦的な技術開発を行ったが、飛行中に何が起きたのか調査し、その結果を踏まえて、今後の対応を判断したい」と述べました。

また、超小型衛星の開発チームの代表で、東京大学の中須賀真一教授は「失敗はいけないが、継続することが重要だ」と述べ、原因を究明したうえで、民生品の利用の拡大を進めるべきだという考えを示しました。

民生用部品でコスト抑制

民生用部品でコスト抑制

今回のミニロケットは、これまで地球の上空の観測用に使われてきた2段式のロケットを3段式にすることで、新たに開発されました。

原形となった「SS-520」という名前の観測ロケットは、これまでに2回打ち上げられ、いずれも成功しています。

ミニロケットの開発にあたっては、低価格化での打ち上げを目指す狙いから、これまでの技術を活用するだけでなく、ロケットの電子部品に家電製品や携帯電話など、私たちの生活に身近な製品に使われているものと同じ民生用の部品が、新たにいくつも採用されていました。

この結果、打ち上げにかかる費用は、ロケットと衛星を合わせて、およそ4億円と、JAXAのほかの人工衛星の打ち上げに比べて、数十分の1に抑えられていました。

低価格化に向けた開発課題浮上か

今回のミニロケットは、手で持ち運べるサイズの「超小型衛星」を安い費用で打ち上げようと、JAXAが開発したもので、ミニロケットと超小型衛星のいずれにもコストを抑えるために家電製品などと同じ民生用の部品が多く使われています。

また、ミニロケットでは、大型ロケットに搭載されているような飛行中の機体のバランスを調整する高価な機能が省略されるなど、システムや設備の簡素化が進められていました。

今回の失敗で、ロケットの状態を示すデータがなぜ地上側で受信できなくなったのか、現時点では原因はわかっていませんが、今後進められる調査の結果によっては、低価格化に向けた開発の課題が浮かび上がる可能性もあります。

また、今回の打ち上げ失敗で、「超小型衛星」で予定していた地上側との通信や地上を撮影する実験もできなくなり、当初、JAXAが日本の民間企業に提供したいと見込んでいた民生品の信頼性に関するデータも得られなくなりました。

一方、日本がこの10年余り、31回連続で打ち上げに成功してきた大型ロケット「H2A」と「H2B」は、打ち上げの態勢や技術が異なることから、今回のミニロケットの失敗によって、直ちに日本の主力ロケットの信頼性に影響が出ることはないと見られます。

ただ、こうした大型ロケットは、打ち上げのコストが1回当たり100億円以上と高額で、打ち上げの費用を抑えながらも高い信頼性のあるロケットを開発できるかが、今の日本の課題になっています。

また、コストを大幅に抑えようという「超小型衛星」をめぐっては、今後、新たな宇宙ビジネスの市場を広げると期待され、宇宙ビジネスの拡大は今の日本の宇宙政策の柱となっているだけに、できるだけ速やかに今回の失敗の原因を究明し、克服することが重要になります。

東大 中須賀教授「次につなげることが大事」

民生用の部品を人工衛星に活用する研究にこれまで取り組んできた東京大学の中須賀真一教授は、民生用の部品をロケットにも活用することについて記者会見で、「私たちは十数年前から民生品を使って人工衛星を作り、宇宙でしっかり使えることを実証してきた。ロケットに民生品を利用するのはまだこれからだが、失敗をおそれては何もできない。今回の失敗の原因を究明したうえで、次につなげていくことが非常に大事だ」と述べました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:33  | カテゴリ:科学のニュース
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