2017年02月15日 (水)

ゲノム編集 将来はヒトの受精卵に応用も 米アカデミー

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生物の遺伝情報を自在に書き換えられる、ゲノム編集という技術をヒトの受精卵に応用することについて、アメリカを代表する科学者で作るアカデミーは、倫理的な懸念があるものの、遺伝性の病気の治療につながる可能性があることから、将来的には、厳しい条件のもとで容認しうるとする報告書を公表しました。

ゲノム編集は、5年前に従来よりもはるかに簡単で正確に遺伝情報を書き換えられる技術が開発されて以降、幅広い分野で研究が進む一方で、ヒトの受精卵など生殖細胞に応用すると、子どもが生まれた場合、遺伝子の改変の影響が世代を超えて受け継がれたり、改変で予期しない副作用が起こりうるなど、倫理的な問題や懸念が指摘され、アメリカを代表する科学者で作るアメリカ科学アカデミーが、2年近くにわたってどこまで認めるべきか、議論を重ねてきました。

14日に公表された報告書では、ゲノム編集の生殖細胞への応用は倫理的な懸念はあるものの、技術の進歩は早く、遺伝性の病気の治療につながる可能性があるとしています。

そのうえで、将来的には、ほかに治療の選択肢がなく、その病気に関わる遺伝子だけを操作すること、そして数世代にわたる追跡調査や透明性の確保など、厳しい条件の下で実施を容認しうるとしています。

一方で、身体や知的な能力を伸ばす目的では使うべきではないとしています。

ゲノム編集の生殖細胞への応用をめぐっては、おととし、アカデミーなどが主催した国際会議で、「現時点では無責任だ」とする声明をまとめましたが、今回の報告書は将来の容認に向けて、一歩踏み込みました。

報告書をまとめたアルタ・チャロ委員長は「影響が次世代に引き継がれる技術の実用化には、さらに多くの研究が必要だ。社会と対話しながら進めることが欠かせない」と話しています。

ゲノム編集 日本では?

ゲノム編集の技術を使って、ヒトの受精卵の遺伝情報を操作する研究をめぐっては、去年4月に、国の生命倫理専門調査会が、遺伝情報を操作した受精卵を母体に戻すことは認めない見解を示しています。

その一方で、基礎的な研究として受精卵の遺伝情報を書き換えること自体については、ヒトの遺伝子の働きを解明したり、難病の治療などに役立つ可能性があったりするため、認められる場合があるとする見解を示していて、現在も、国の生命倫理専門調査会が、認められる研究の条件などについて協議を続けています。

生命倫理の専門家「高いハードルを社会に」

今回の報告書について、生命倫理に詳しい北海道大学の石井哲也教授は「ゲノム編集の技術を、ヒトの受精卵に使えば、目や髪の色といった遺伝情報を自在に操作できる。さらに遺伝子を操作した影響は、世代を超えて受け継がれると考えられ、さまざまな倫理的な懸念が生じる。今回の報告書は、ヒトへの応用の可能性を示しつつも、法整備や市民との十分な対話、研究の透明性の確保といった高いハードルを社会に課すしている。日本では、ゲノム編集に関する法の規制がなく、市民と対話する機会も十分設けられていないので、今後そうした対応を急ぐ必要がある」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:07:50  | カテゴリ:科学のニュース
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