2017年02月23日 (木)

News Up 命つないだぬいぐるみ 何を訴える

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とさかの代わりにカエルの前足の一部をつけたにわとり。ボクシンググローブをつけているクマ。一瞬、ユニークにも奇妙にも見える11体のぬいぐるみが横浜市の病院に展示されています。ぬいぐるみたちは何を訴えているのでしょうか。

セカンド・ライフ・トイズ

セカンド・ライフ・トイズ

ぬいぐるみが展示されているのは横浜市立大学付属病院です。
にわとりは、とさかが取れてしまったため、カエルのぬいぐるみの一部を使って再生させたものです。

クマも腕の部分が壊れたため、ボクシングのグローブをつけていたサルのぬいぐるみから腕の部分をもらったのです。
これらのぬいぐるみ、実は子どもへの臓器移植に理解を広めようと作られたもので、セカンド・ライフ・トイズと呼ばれています。

“移植”でぬいぐるみを再生

セカンド・ライフ・トイズの取り組みは、臓器移植について考えてもらう「グリーンリボンキャンペーン」の一環として行われています。
インターネットのサイトを通じて、壊れてしまったぬいぐるみを送ると、使われなくなったため提供されたぬいぐるみの一部を使って再生され、持ち主に戻されます。別のぬいぐるみからの移植を受けて、新しい命が吹き込まれたぬいぐるみとなるのです。

“移植”でぬいぐるみを再生

壊れたぬいぐるみを再生してもらった人は、修理に使ったぬいぐるみを提供した人、いわゆる“ドナー”に感謝の言葉などのメッセージを送ることになっています。大切なぬいぐるみに新しい命が吹き込まれる姿を見て、臓器移植で命をつなぐことを考えるきっかけを持ってもらう狙いです。

サイトの運営者によると、これまでに再生されたぬいぐるみは20体以上。壊れたぬいぐるみを再生させようと提供された“ドナー”のぬいぐるみは、世界中から200体近く届いているそうです。

救われる命 わずか2%

しかし、日本の臓器移植の現場に目を向けると厳しい現実があります。
臓器移植法が施行されて、ことしで20年になりますが、国内に臓器移植を待つ患者が常におよそ1万4000人いるのに対して、実際に手術を受けられるのは年間300人程度、その割合はわずか2%程度です。患者の数に比べて臓器の提供が追いついていないのです。

高額な海外での移植 後を絶たず

子どもへの臓器移植もドナーの不足が深刻です。
2010年に改正臓器移植法が施行され、15歳未満の子どもも臓器提供ができるようになりました。それまで海外でしか移植手術を受けられなかった重い心臓病の子どもにも、国内で移植を受ける道が開かれたのです。

しかし、移植を待つ子どもたちが常に100人程度いるのに対して、これまでに15歳未満で臓器提供をしたのは12人にとどまります。
また現在、心臓移植を待つ15歳未満の子どもたちは国内に32人いますが、改正臓器移植法が施行されたあとに、日本で手術を受けられた10歳未満の子どもはわずか5人。
そのため、海外で手術を受けるしか道がなくなり、数億円にのぼると言われている費用を賄うため必死で寄付を募るというケースが後を絶たないといいます。

臓器提供が進まない背景について、日本臓器移植ネットワークの栗原未紀さんは、脳死を“人の死”と受け入れにくい日本の死生観のほか、次のような点を指摘しています。
「臓器移植法が施行されて20年がたちますが、日本では死について話すことにタブーという意識が強いのです。臓器移植が必要になったり、また、臓器を提供できる状況になったりと、誰もが、突然、どちらの立場にもなり得ることなのです。しかし、なかなか“自分ごと”として考えられないようです」

家族のためにも意思表示を

家族のためにも意思表示を

臓器提供を進めようと、2010年の法改正では、臓器提供をするかどうかについて本人の意思が書面で残っていなくても、生前、本人が臓器の提供をしたくないと拒否の意志を示している場合を除き、家族の承諾で臓器の提供ができるようになりました。

しかし、大切な家族が亡くなる時は残される家族も大変混乱します。臓器を提供するかどうかの決断をすることは、家族にとって心理的な負担になるケースが多いそうです。

臓器提供の意思表示については意思表示カードの携帯や日本臓器移植ネットワークのホームページから登録する方法に加え、健康保険証や運転免許証の意思表示欄に書き込むなど身近なものに記入できるようになっています。

栗原さんは「臓器提供の“意思”はいつでも変えられますし、『提供する』、『提供しない』いずれの意思も等しく尊重されます。ご家族の承諾がなければ臓器提供には至りません。万一の際、ご本人の意思が活かされるためにも、いちど家族と話し合ってみていただきたいです」と話していました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:12:02  | カテゴリ:科学のニュース
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