2017年03月15日 (水)

がんのリハビリ 退院後実施は拠点病院でも24%

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がんを経験した、いわゆるがんサバイバーと呼ばれる人は、国内で推計500万人にのぼり、治療後の社会復帰が重要な課題となっていますが、復帰の妨げとなる手足の激しい腫れなど、がんの後遺症を回復させるリハビリを、退院後行う医療機関は全国のがん拠点病院でも24%しかないことが、国の研究班の調査で初めてわかりました。研究班は「多くの人ががんを乗り越え社会復帰を目指す中、拠点病院が態勢を早く整えられるよう、国は制度を改善すべきだ」としています。

がんは医療技術の向上によって命をとりとめる人が増え、いわゆるがんサバイバーと呼ばれる人は、国内で推計500万人にのぼっていて、いかに社会復帰を果たすかが重要な課題です。

このため去年12月のがん対策基本法の改正でも、国や自治体は、患者の状況に応じた良質なリハビリを提供できるようにすることが新たに加えられました。

ところが慶応大学の辻哲也准教授ら国の研究班が、全国427のがん拠点病院を対象に調査したところ、回答を寄せた188病院のうち、退院後、外来でリハビリを行っていたのは45病院と、全体の24%しかありませんでした。

実施できない理由として、最も多かったのは、保険診療の対象外となっているで65.5%、次いで、担当する医療スタッフの不足が56.4%などとなっていました。

調査を担当した辻准教授は「拠点病院であっても態勢が十分でないことは重く受け止めるべきだ。がん患者の社会復帰には、外来での長期的な支援が重要で、国は早急に診療報酬など制度を改善してほしい」と話しています。

がんのリハビリ 痛みや合併症抑える効果

社会復帰を目指すうえで重要な、がんの後遺症などへのリハビリテーションについては、4年前、日本リハビリテーション医学会が国内初のガイドラインをまとめました。

このうち「リンパ浮腫」は、リンパ節の切除によって手足が激しく腫れる後遺症ですが、乳がんになったあと、柔軟体操やマッサージなどのリハビリを継続して受けた人は、後遺症が出るリスクが7割以上減らせることが指摘され、リハビリの実施が強く推奨されています。

また、肺がんや大腸がんなど、ほかのがんでも、国内外の研究結果を元に、継続的にリハビリテーションを行うことで、手術後に続く痛みやしびれを抑えたり、治療後に起こる肺炎などの合併症の発症リスクを下げたりする効果があるとしています。

後遺症に苦しむ患者は

手術や抗がん剤などの治療で命を取りとめても、その後、長期間、後遺症に苦しむがん患者は少なくありません。

東京・江東区にある、がん研有明病院で行われた患者会には、体が動かしにくくなったり、手足の痛みやしびれが何年も続くといったがんの後遺症に苦しむ患者らが参加し、悩みを話し合っています。

このうち9年前、40代のときに乳がんになった女性は「リンパ浮腫」と呼ばれる症状に苦しめられてきました。
リンパ浮腫はがんの転移を防ぐために、リンパ節を切除してからしばらくして起こることが多く、手足がむくんで重さやだるさを感じるようになるほか、悪化すると炎症を起こし、痛みや高熱が出たりします。

症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、悪化した場合は長期間、安静が必要になることもあるため、仕事や生活に深刻な影響を及ぼします。

この女性の場合、治療で中断していた塾講師の仕事を再開した直後から左腕全体がたびたび腫れるようになり、症状が落ち着くまで1か月以上かかることも少なくないため、仕事は辞めざるを得ませんでした。

現在は週に1回程度、時間を限って働くのがやっとだと言います。
また、ほかの参加者からも、痛みやしびれといったがんの後遺症は周りから理解されにくく、仕事をやめたり、家族とうまくいかなくなってしまったりするなど後遺症が引き起こす深刻な影響を訴える声が相次いでいました。

リンパ浮腫に苦しむ女性は「当初は治療を終えることで頭がいっぱいで、後遺症のことまで考えていませんでした。治療が終わり、仕事ができるかもしれないと思って再開したら症状が出てしまったので、いろいろなことにだんだんと消極的になってしまうこともあり、とてもつらいです」と話していました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:17:54  | カテゴリ:科学のニュース
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