2017年03月22日 (水)

NPOの卵子提供仲介 初の子どもが誕生

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国内のNPO法人が、妻の病気などが原因で不妊に悩む夫婦に第三者からの卵子の提供を仲介する取り組みで、ことし1月、初めて子どもが生まれたことを記者会見で明らかにしました。

記者会見を行ったのは病気などが原因で不妊になった女性とその家族、それに医師などで作るNPO法人「OD-NET」です。

「OD-NET」は4年前から、不妊に悩む夫婦に第三者から無償で提供を受けた卵子を仲介する取り組みを始め、これまでに合わせて26組の夫婦とドナーのマッチングを行いました。
しかし、家族の理解が得られないなどの理由で多くが提供を辞退し、実際に卵子提供を受けた夫婦4組中1組に、ことし1月、初めて子どもが生まれたということです。ほかの3組のうち1組は流産しましたが、2組は妊娠中だということです。

NPOによりますと、子どもが生まれたのは、40代の妻が、若い時期に卵巣の機能が低下する早発閉経で不妊の夫婦で、去年、30代半ばの女性から提供された卵子と、夫の精子による受精卵を妻の子宮に移植していました。生まれたのは女の子で母子ともに健康だということです。

国内には生殖補助医療に関する法律がなく、卵子の提供を受けるなど第三者が関わる治療で生まれた子どもと夫婦の親子関係は明確には定められていません。

NPOでは、子どもが自分の遺伝上の親を知る権利を尊重したいとして、夫婦に対し、子どもに卵子提供により生まれたことを告知するよう促していますが、親子関係をめぐるトラブルも予想されることから、今後、医療機関で作る団体のサポートを受けながら進めてもらうことにしています。

NPOの岸本佐智子理事長は、「長年の希望が叶い子どもが生まれたことが嬉しくて涙が出た。その一方で、日本では法律がなく、子どもの福祉が守られない可能性があることを危惧している。現実を見て法整備を急いでほしい」と訴えています。

夫婦「ドナーに深く感謝」

22日に開かれた記者会見では子どもが生まれた夫婦のコメントが読み上げられ、「妊娠、出産、育児を通して『生きる希望』ができたと感じています。子どもがほしいと強く感じていながらも、病気のために恵まれず現在も苦しんでいる人が大勢います。そういう方々の希望になれば幸いです。ドナーに深く深く感謝しています」としています。

また、卵子を提供したドナーの手紙も読み上げられました。この女性は「皆に望まれた命がこの世に生まれるお手伝いができたことを大変嬉しく思います。子どもの誕生を待ち望んでいる夫婦に、子どもと共に育つ喜びを感じてもらいたい。できるだけ多くの命が愛情を受けて健やかに育ってもらいたい。そのために自分にできることは何かと考えドナー登録を決めました。無事に出産されたお母様とお子様に心からの祝福とこれからの御多幸をお祈り申し上げます」と綴っています。

専門家「法整備に向け議論を」

親子関係の法律に詳しい東洋大学の中村恵教授は「最近は体外受精の技術が発達し、第三者から提供を受けた卵子で妊娠するなど、出産した人と子どもとの間に遺伝上のつながりがないという法律をつくる際には想定していなかった事態が生じている。今は、法律の解釈だけで親子関係が決められているにすぎず、将来的には相続などをめぐり、子どもが不利益を背負わされる可能性もある」と指摘しています。

そのうえで、「自然な妊娠で生まれた子どもと医療の技術で生まれた子どもも同じ子どもで、社会的な扱いに差があってはならない。生殖補助医療によってすでに多くの子どもが生まれているにもかかわらず、問題を放置しておくのはあってはならないことで法整備に向けた議論をすぐにでも行わなければならない」と話しています。

投稿者:かぶん |  投稿時間:16:12  | カテゴリ:科学のニュース
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