「リポート・命を救った情報ライフライン」(科文・西村敏記者)

情報の重要性を改めて思い知らされる毎日ですが、震災の直後に、まさに命をつないだ情報がありました。宮城県気仙沼市であった奇跡的な情報リレーについてお伝えします。
(4月15日にニュースウオッチ9で放送したリポート内容を掲載します)
【震災直後に情報を発信し続けた自治体】

気仙沼市危機管理課の伊東秋広さん。
震災が起きたとき、防災情報の発信を担当していました。

地震の直後から市役所は停電。次々に通信手段が失われる中、最後までつながった携帯電話の回線をつかい、ツイッターで防災情報を発信しました。

気仙沼市危機管理課 伊東秋広さん
「住民にはとにかく助かってほしいと。この情報を見て助かってほしい。今思いつく(発信手段)はこれしかないっていうところがありましたので。」

携帯電話は、基地局が地域の高台にあったため津波の被害を逃れ、非常用の電源で数時間は通信することが出来ました。

市役所の屋上から撮影された映像です。急速に水かさが増え、庁舎の1階が水没しました。


津波から逃れるために、伊東さんは4階の駐車場に移動して、情報を発信。
伊東さん:
「見て状況を確認して防災無線を聞いてそして戻ってパソコンを打つっていう感じです。」

投稿サイトを使って、津波の情報を伝え続けました。

震災直後、伊東さんが発信した情報はテレビやラジオで紹介され、情報が少なく混乱していた時期に多くの人が気仙沼市の被災状況を知ることが出来たのです。
【ツイッターで救助された命】


同じ気仙沼市で、情報のリレーが多くの命を救っていました。児童福祉施設の園長をつとめる内海直子さんです。

地震のあと、内海さんは子どもたちをつれて、隣の公民館に避難しました。すぐに津波が押し寄せてきました。

公民館の屋上には内海さんたちをはじめ400人あまりが孤立。
その中には病気のお年寄りや、生まれてまもない乳児もいました。

さらに市内では火災が起き、公民館にも火が迫っていました。

気仙沼市マザーズホーム園長 内海直子さん
「本当に孤立状態ですね。情報もなくて電気もなくて、余震がひどくてガタガタと揺れて、それからガスがばんばんって爆発している状況で。なんかもう、これで終わりかなって何回も思いました。」


内海さんも唯一通じた携帯電話のメールで家族に危機を伝えました。
「公民館にいます」
「火の海ダメかも、がんばる」

メールを受け取った長男の直仁さんは、イギリスで暮らしています。
日本の消防などには電話がつながらず、祈る思いで以下のメッセージをインターネットに投稿しました。

「障害者児童施設の園長である私の母が、その子供たち10数人と一緒に、避難先の宮城県気仙沼市中央公民館の3階にまだ取り残されています。下階や外は津波で浸水し、地上からは近寄れない模様。空から救助が可能であれば、子供達だけでも助けてあげられませんか」
直仁さん:
「ニュースの映像で炎に包まれた街が見えた時点で、あの中に母がいるって思うと。何かできないかって。」


メッセージは瞬く間に広がりました。東京で偶然読んだ鈴木修一さんはすぐに動いてもらえそうな人物を考え、面識のない東京都の副知事に送りました。
鈴木修一さん:
「なんとかしなきゃっていうふうに思いましたね。何か行政の機関にね、これが明確に伝わればいいなっていう思いで。」


翌朝の気仙沼は、まだ煙が各地で上がり、公民館では400人あまりが孤立したままでした。

副知事からの情報を受けて、東京消防庁のヘリコプターが、急きょ、公民館に向かいました。

避難してからおよそ18時間後。
容態が悪化したお年寄りや子どもから順番に救助が始まり、2日間かけて全員無事救助されました。

内海直子さん:
「なぜヘリコプターが来たんだろう?って思いましたね。
『障害者施設の施設長さんいますか?』って消防士さんが呼びかけられたので『はい』って出たら『子どもさんたちがいるということで助けにきたんですけど』って話されて。
いろんな情報がある中で、それを拾って下さったっていうのは奇跡だし、あきらめないでずっとやっててくれた。
ありがたいなって思いますね。」


災害時の情報伝達を研究している、東洋大学の中村功教授です。
今回、震災直後の情報のやりとりで、携帯電話のメールなどの有効性が明らかになったとして、今後はシステムを強化する必要を指摘しています。
東洋大学 中村功教授:
「災害の直後というのは、情報過疎に陥ります。どこで被害が大きいのか、救援の手がどこで必要なのかというのがなかなかつかみにくい。データ通信を使って救援や被災状況を自治体の本部が進めていくと。これはまず、推奨していいんじゃないかなと思います」。
投稿者:かぶん | 投稿時間:22:30
| カテゴリ:科学のニュース
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驚くべき内容。強い意思が情報の伝達にうまくつながって奇跡を起こした実例、最後に東京都の副知事の迅速対応が最終的な受け皿になって的確な行動を起こした。そこに到達するまで実にそれぞれの方々が有機的に行動された素晴らしい軌跡。
投稿日時:2011年04月27日 03:32 | 小野田邦男
すばらしい内容。携帯メールやソーシャルネットワークを利用し、全くつながりのなかった方々が有機的に行動することにより、まるで意志を持った生き物や組織のように救助の行動へつながった。人類の可能性を感じさせる内容。
投稿日時:2011年05月04日 22:26 | 柏木宏之







