2016年05月14日 (土)

売却の危機脱した名画 日本で公開

アメリカを代表する美術館の1つ、デトロイト美術館の所蔵作品を紹介する展示会が、愛知県で始まりました。モネ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ。公開されている名画は3年前、市の財政破綻によって「売却の危機」に直面し、市民の反対などで守られたといういきさつがあります。ヨーロッパ絵画の潮流をたどりつつ、文化を守ることの大切さも実感できる展示です。

ヨーロッパの名画 52点

展示会は、愛知・大阪・東京の3つの会場を巡回します。スタートは愛知県の豊田市美術館。デトロイト市と豊田市は「クルマのまち」として、姉妹都市提携を結んでいます。
デトロイト美術館には古代エジプト美術から現代美術に至る6万5000点以上の多彩なコレクションがありますが、展示会では19世紀後半から20世紀前半のヨーロッパの絵画に絞って紹介。日本でもよく知られた画家たちの作品、合わせて52点が展示されています。
「印象派」のコーナーはドガやモネ、ルノワールなどの作品が続き、「ポスト印象派」にはゴーギャンやゴッホの自画像が並びます。
最後の「20世紀のフランス絵画」にはピカソの作品が6点。このうち3点は日本初公開だということです。
展示を担当した豊田市美術館の西崎紀衣さんは「何が見どころかと聞かれるのが悩みです。どれもポスターに載せてもおかしくない作品ばかりで、作品が『山脈』となって連なっています。美術の潮流、連綿とした流れを感じていただければ」と話します。

3年前に売却の危機

デトロイト美術館は全米でも指折りのコレクションを持ちますが、3年前、危機に直面します。2013年7月、デトロイト市が財政破綻し、美術館のコレクションを売却すべしという声が上がったのです。
巡回展の次の会場、大阪市立美術館の篠雅廣館長によりますと、コレクションの時価総額は85億ドル(約9600億円)。市の負債総額の半分近くに相当する額です。
しかし、市民の多くは売却に反対し、ミシガン州の上院議会が売却禁止を可決。さらには周辺の自治体では住民投票によって特別課税が美術館の支援に回されることになったということです。このほか日本企業の寄付などの支援もあり、コレクションは守られました。
篠館長は「アメリカ市民は美術館や公共施設は『自分たちのもの』という意識が強く、一人一人の善意がデトロイト美術館を守った」と指摘しています。

写真撮影OK

写真撮影OK

危機を免れて来日した作品を見るにあたって、会場では珍しい試みも。カメラやスマホで写真を撮ることができるのです。
美術館や博物館で開かれる企画展や特別展は、他館の所蔵品が多いこともあって「会場内は撮影不可」が一般的ですが、今回はデトロイト美術館がすべての作品について写真撮影を認め、一部を除いてツイッターやフェイスブックなどSNSでの公開も可能です。
とはいえ何でもできるわけではなく、会場の入り口に設けられた「写真撮影に関してのご案内」という看板には、撮影は平日に限られることや、フラッシュ撮影や動画撮影などの禁止事項が記されています。
この「写真OK」は大型連休後に始まり、SNSには会場内の写真の投稿や、「国内で撮影OKは珍しいですよね」といった書き込みが見られます。
豊田市美術館は、撮影を巡ってトラブルなどが起きないよう気を配りつつ、「SNSに写真がアップされると『百聞は一見にしかず』で興味がある人は『行ってみよう』となる」(西崎紀衣さん)と宣伝効果に期待を寄せています。

デトロイト美術館展

▽豊田市美術館   6月26日まで
▽大阪市立美術館  7月9日から9月25日まで
▽上野の森美術館  10月7日から来年1月21日まで

投稿者:かぶん |  投稿時間:11:15  | カテゴリ:文化のニュース
コメント(1) | トラックバック (0)


トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント(1)

デトロイトの財政がそこまで逼迫していたのは、本当に深刻な話ですね。
これ程の世界的巨匠の所蔵を売りに出すなんて、一国が国状極まって他国に国本を譲渡するのと同じこと、市民が押し留めてよかったですね。
ルノアールは、近眼が幸いしましたね。あの緩やかな輪郭線は、見ていて癒されます。
売却でなく、多くの国に貸し出して、貸与料をたくさん貰って財政を立て直してほしいです。

投稿日時:2016年05月15日 02:45 | 雪うさぎ

コメントの投稿

ページの一番上へ▲