2017年01月13日 (金)

劇団四季 新作に込めた思いは

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今、上演中の「劇団四季」の舞台、『ミュージカルノートルダムの鐘』。フランスの文豪、ヴィクトル・ユーゴーの原作に沿ったシリアスな人間ドラマで、2年前にアメリカで上演された、ディズニーの舞台を元にしています。

舞台が大好きな和久田麻由子アナウンサーが、製作総指揮の吉田智誉樹さんに、新作に込めた思いを聞きました。

差別・迫害を正面から

物語の舞台は15世紀のパリ。差別や迫害を正面から描いた作品です。

主人公は、大聖堂に住む男、カジモド。みにくい姿のため、閉じ込められていて、外の世界を知りません。

ヒロインのエメラルダは、迫害を受けている民の踊り子です。

年に1度の祭りの日。カジモドは、言いつけを破って外に出て、エスメラルダと出会ったことから、物語が動き始めます。
製作総指揮を務める、吉田智誉樹さんは、この作品の上演を、強く推し進めました。

(和久田)
吉田さんがこの作品に出会われたきっかけは?

(吉田)
「アメリカでの舞台は結末が、ユーゴーの原作に近い大人向きのシリアスなものでした。もう感動でね、立てなかったです。終演したあと、しばらく自分の席にいつづけた感じです。訴えているものは、本当に人間の存在の根源に迫る深いものだと思いました」

自由を願う強い気持ち

物語を貫くのは、自由を願う主人公の強い気持ちです。重いテーマの歌詞を訳すために起用されたのが、高橋知伽江さん。ミュージカルの翻訳では第一人者で、映画『アナと雪の女王』の歌の翻訳も手がけています。

『ノートルダムの鐘』で、主人公が外の世界への憧れを歌う、歌の歌詞の一節、「out there」。直訳すると「外へ」という意味ですが、高橋さんは、『僕は・いきたい・陽ざしの中へ』と訳しました。

(高橋さん)
「石の壁に囲まれた、人のぬくもりのないところではなくて、陽ざしの中へ行きたい、この陽ざしというものが命のぬくもりとか、そういうものを象徴できればいいなと」

カジモドを演じる飯田達郎さんもこの歌を大切にしています。

(飯田さん)
「僕はやってるとね、涙がけっこうあふれますね。明るくて希望に満ちたシーンなんだけど、それはかなわないことなんだって。神様に祈っている気持ちになるんですよね」

主人公たちを迫害する側の心の闇も描かれます。
カジモドを閉じ込めた聖職者、フロロー。エスメラルダのとりこになり、権力をかさに着て彼女を手に入れようとします。

(吉田さん)
「彼は自分の信念に従っているだけで、正確には欲望に従っているだけで、単なる悪役じゃないんです。社会における自分の役割に押しつぶされそうになる。そこに絶世の美女が現れて、その結果の悲劇です」

希望の歌

物語が悲劇的な結末へと向かう中、終盤、エスメラルダは、希望の歌を歌います。 
『いつか・人がみんな・賢くなるときがくる』
差別や戦争がやまない今の世界にも、問いかけるような言葉だと感じました。

(和久田)
いつか人が賢くなるときがくる、というセリフが胸に刺さりました。

(吉田さん)
「現代の社会でも自分とは違うグループをなかなか受け入れられなかったり、極端な孤立主義があったり、宗教の問題があったりします。異なるものを同じ人間として受け入れていく、そこが人として生きるためにとっても大切なことだということを、この21世紀、こんな社会状況の中で、図らずもこの作品がいろいろ訴えかけてしまっているということでしょうかね」

劇団四季の作品には、すべて「人生には生きる価値がある」というメッセージが込められているそうです。

この作品は、決してハッピーエンドではありませんが、製作総指揮の吉田さんは次のように話していました。
「人生の理不尽さや切なさの中に、人の強さや生きることへの希望を感じとってほしい」

投稿者:かぶん |  投稿時間:23:49  | カテゴリ:文化のニュース
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