2017年01月19日 (木)

芥川賞に山下澄人さんの「しんせかい」

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第156回芥川賞と直木賞の選考会が19日、東京で開かれ、芥川賞に山下澄人さんの「しんせかい」が選ばれました。

第156回芥川賞と直木賞の選考会は19日、東京・中央区で開かれ、このうち芥川賞には、山下澄人さんの「しんせかい」が選ばれました。

芥川賞の受賞が決まった山下澄人さんは、兵庫県出身の50歳。神戸市内の高校を卒業後、脚本家の倉本聰さんが北海道富良野市に設立した「富良野塾」に2期生として入り、脚本や演出などを学びました。

平成8年に劇団を立ち上げ、演劇の台本の制作や演出を行うかたわら、みずからも舞台に立ち、平成23年からは小説の執筆も始めるなど多彩な活動を続けています。

芥川賞は4回目の候補で受賞となりました。

受賞作の「しんせかい」は、「富良野塾」で過ごした日々を題材にした短編小説で、ふとしたきっかけで俳優を目指して北海道に渡ることになった主人公が、志を同じくする若者たちと出会い、自然豊かな山の中で共同生活をしながら演劇について学ぶ日々を描いています。

共同生活を営む先輩や仲間たちとのやり取りや、「先生」の厳しい指導などが、主人公の心の動きとからめて丁寧に表現されています。

山下さん「ほっとした」

山下澄人さんはNHKの取材に対し、「突如、知り合いからメールと電話が大量に届き、びっくりしている。実感はないが、これまで何回か候補になっているので、自分自身はうれしいというよりもほっとしたのがいちばんです。私の仕事は、求められなければ書く機会がなくなるので、もうしばらくは書き続けられるのでありがたいです」と話していました。

受賞作の「しんせかい」には、倉本聰さんをモデルにした「先生」が登場します。
山下さんは芥川賞の候補になったあと、倉本さんに連絡を取ったということで、今月10日、報道陣の取材に対し、「こちらから連絡したら、『ああ、本当?取れるといいね』と言われた」と話していました。
そのうえで山下さんは、自身が書いてきた小説について「倉本先生には『よくわからない、何でもっと普通に書かないの』と言われています」などと話していました。

倉本さん “澄人は長男”

倉本聰さんは「おめでとうということと、奥さんに感謝しろよと言いたいです。富良野塾は家族のようなものなので、初期の苦労した時期を経験している2期生の澄人は長男のような位置です。人柄もとてもよく、長い間苦労していたのを知っているので、今回受賞できてうれしかったです」と話しています。

受賞作の単行本は、表紙の題字を倉本さんが手がけ、力強い筆づかいで「しんせかい」と記しています。倉本さんによりますと、「倉本さんの字が好きなので書いてほしい」と山下さんから頼まれ、「自分は字が下手なので」と一度は断ったが、結局、書くことになったということです。

山下さん「うそやろう 友達びっくりすると思う」

山下さんは記者会見で、「僕が芥川賞作家、うそやろうと。友達びっくりすると思う」と独特な表現で受賞の喜びを語りました。

東京都内で担当の編集者とともに、連絡を待っていたという山下さんは「編集者のほうが緊張していて、落選して『すみません』と言う準備をして待っていた」と話し、「本当にほっとしました」と受賞の連絡を受けたときの気持ちを説明しました。

また、作品に登場する「先生」のモデルとなった倉本聰さんについては「若いときに両親を亡くしたので父親みたいなものです。いちばん思うのは、こういう記者会見を見て怒られるかな、ちゃんとしゃべれと。そんな存在です」と話していました。

吉田修一さん「王道の青春小説」

山下さんの「しんせかい」を芥川賞に選んだ理由について、選考委員の1人で作家の吉田修一さんが会見しました。

会見で吉田さんは、選考過程について「はじめから一番高い点数を取って、宮内悠介さんの『カブールの園』と争う形になった。最終的に山下さんの作品の受賞が決まりました」と説明しました。

受賞の理由については、「山下さんの作品は、これまではかなり実験的なものというイメージがあったが、今回の作品は王道の青春小説でおもしろく、山下さんの作品としては新しいと感じた」と説明しました。

そのうえで吉田さんは「これまで書かれている小説のチャレンジがあって、その先に今回の作品のような構成が出てきたんだと思う。物語が考えて練られているし、ちゃんと青春小説を書こうとして書かれたものだと感じた」と話していました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:21:40  | カテゴリ:文化のニュース
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