2017年01月23日 (月)

五木寛之さん 小説「青春の門」 23年ぶり連載再開

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作家の五木寛之さんが、昭和44年に始めて平成6年から中断していた長編小説「青春の門」の連載を23年ぶりに再開することになり、23日に発売の週刊誌から掲載が始まります。五木さんは「主人公がふるさとに戻るまでを書ききりたい」と物語の完結に向けて意欲を見せています。

五木寛之さんの小説「青春の門」は、福岡県の筑豊地方の炭鉱の町に育った青年が、戦後の日本社会で生きる目的を探しながら苦闘する姿を描いた作品です。

昭和44年に週刊誌で連載が始まり、単行本と文庫本はこれまでに2200万部以上発行されるベストセラーになっています。

週刊誌の連載は平成6年から中断されていましたが、84歳になった五木さんは「物語の結末まで書き切れるのは、今しかない」として、23年ぶりに連載を再開することになりました。

連載は、1961年のシベリアを舞台に「第九部 漂流篇」と銘打って再開され、主人公がユーラシア大陸を横断してヨーロッパを目指す旅路が描かれる予定です。

五木さんは連載の再開にあたってNHKのインタビューに応じ、「この小説で描くのは、ある1人の人間の青春であると同時に、戦後日本の青春でもある。エネルギーに満ちた混とんの青春期を経て、主人公がふるさとの筑豊に戻るまでを書ききりたい」と話しています。

再開後の第1回は、23日に発売の「週刊現代」に掲載されます。

「青春の門」とは

「青春の門」は、昭和44年に講談社の「週刊現代」で連載が始まりました。

昭和10年に福岡県の筑豊地方の炭鉱の町に生まれた伊吹信介という青年が主人公で、「第一部 筑豊篇」では、信介が幼いころ仲間の炭鉱夫を助けるためにみずから犠牲になった父、重蔵の面影や、あふれる愛情を注いだ義母、タエの死、そして、幼なじみの織江との愛の芽生えや別れなどが描かれています。

その後、信介は、ふるさとへの思いを胸に大学入学のために上京し、東京をはじめとしたさまざまな土地で、事件に巻き込まれたり、人々と出会ったりする中で成長していきます。

生きる目的を探しながら苦闘する主人公の姿は、読者の大きな共感を呼び、二度にわたって映画化されたほか、テレビドラマや舞台にもなりました。

物語は、これまでに「第八部 風雲篇」まで続き、26歳になった信介が、北海道で出会った仲間とともにシベリアに渡り、国際的な陰謀に巻き込まれる昭和36年、1961年のシーンで中断しています。

連載の再開によって、日本を離れより広い世界への憧れを強めた信介の「その後」が、23年ぶりに描かれることになります。

湧き上がる好奇心 若者の熱気伝われば

連載の再開にあたって、五木寛之さんがNHKのインタビューに応じ、「書き始めたころは、こんな先のことまで考えていなかったので、作品も作者もよく生きながらえて連載を再開できたと思うと、感無量です」と今の心境を語りました。

小説では1950年代から60年代にかけての日本社会が描かれていますが、「戦後間もない時代というのは、敗戦から70年以上たった今から振り返れば、青春期のようなものだと思います。青春は一度しか来ませんが、老いてから振り返ることにも意味があると思います」と述べたうえで、「今の読者にどのように読まれるかは、作者にはわかりませんが、1人の人間の青春を描くとともに、エネルギーに満ちて混とんとした時代があったことや、湧き上がる好奇心で新たな天地を目指した若者たちの熱気があったことが伝われば」と話していました。

また、作品の今後について、「主人公が29歳になって故郷の筑豊に帰るところが、物語の終わりになると思っています。故郷を出るときに振り返った山の峠に立って、ふるさとを見渡すところまでを書ききりたいですね」と、物語の完結に向けて意欲を語っていました。

投稿者:かぶん |  投稿時間:05:30  | カテゴリ:文化のニュース
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