2012年01月18日 (水)

全文掲載:芥川賞受賞会見 円城塔さん

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(写真: (C)講談社)

さまざまな言語を操る謎の作家や「架空の蝶」などが登場する前衛的な作品、「道化師の蝶」で芥川賞受賞が決まった円城塔さん(39)。受賞会見を全文掲載します。

 

(司会)まずは円城さんから今のお気持ちを一言。

本当にこのたびは栄誉ある賞をいただきまして本当にありがとうございます。
大変大胆な決断があったのではないかなと思っています。
私が書くものは割と奇妙な小説と言われることが多いのですが、その奇妙な方向でやってみろと言われたと認識しておりますので、奇妙な小説をもっとやっていければと思います、どうもありがとうございました。

 

(以下 質疑応答)

Q:2007年のデビュー、3度目のノミネートでの受賞でとんとん拍子の印象もあるが、
ご自分では長かったと感じているか?

順調に来たかという話についてですが、早稲田大学の坪内逍遥大賞奨励賞を11月にいただいて、あの賞は3回目なんですが、過去2回の受賞者が芥川賞をとらなくてはならないという大変怖い賞でして、今回無事、いただけて大変ありがたいことだと思っています。順調という話だが、私は当然新人でといっても5年目なんですが、まだまだ直さないといけないところも多いですし、ようやく、少し文芸誌に載るものというか、小説として自分がやりたいものがつかめてきたというところでいただけけたという感じで、大変良いタイミングでいただけたと思います。

 

Q:ご両親に電話はかけましたか?

かけたんですけれどもお話し中で、向こうからかかってきた、どうしておまえは連絡しないと言われました。

 

Q:「大胆な決断」とおっしゃいましたが、どういうところがそう感じたのか。

自分のことだけなのですが、芥川賞というのはやはり、多くの方に読まれる賞なので、それにはまだ足りないと言われる可能性は高かったなと前もって思っていました。
それがほぼ、そうですね。ただ、小説というのはいろいろなことが出来るものですので、こういうものも広めてもいいのではないかということで判断いただけたのかなと思っています。

 

Q:ものを書くとか想像すると言うことについて

言葉というものは何かという不思議なことを考えているとああいう風に書いてしまう、ただそれが小説として完全に前面に出てくることがいいかというといいとは必ずしも思っていないので、それは力不足だと思っています。もっと多くの方に読んでもらうためにも、色々考えていきたいです。

 

Q:言葉の不思議さとは

本当に素朴な話で今こうして話している言葉がどう伝わっているのかというような話しからどうして外国語は存在するのか、とか言葉が分かれたのであればどこで分かれたのだろう、始まったのであればどこで始まったのだろう、というような日常的な普通、素朴に感じる不思議ですね。

 

Q:純文学、SFとか幅広いが今後は。

いろいろやっていければと思っているが、とりあえず次なんですが、私は今年でデビューして5年目になるが、ほぼ同時期にデビューして3年前に亡くなりました伊藤計劃という大変力のある作家がいたんですが、伊藤計劃が残した冒頭30枚ほどの原稿があります、それを書き継ぐことは出来ないんですが、完結させるということをこの3年間やってきました、そろそろ終わりそうです。なぜお前がという批判はあると思うんですが、次の仕事としてやらせて頂ければと思っています。

 

Q:きょう受賞連絡を一緒に待っていた奥さんからはどんな言葉があったか

特に。直前に体調を崩してホテルの部屋でニコニコ動画をみながら待っていました。結果が張り出されましたというので、あれ、電話来てないよと言って、そしたら直木賞だったんですね、そうか直木賞か早いなといったら、電話が鳴って、あー、今ニコニコ動画見ているのにと取ったら、「おめでとうございます」といわれたので、よく分からないうちにばたばたと。

 

Q:石原都知事の発言についてはどう受け止めたか

石原さんの会見は動画で見ましたが動画で見ると別に石原さんらしい会見であるということで、あれは都庁での都知事としての会見なので、質問があったから答えたという以上のものではないと思っています。あと一作は読んでいないんだけどねとか言っている、気軽な会話だと思っているので、報道が先走ったとまでは言わないですが。

 

Q:尊敬している作家は

安部公房さんがとても大きな存在だと思います。安部公房さんの系譜というとあれだが、ちょっとはずれたと見なされがちなものは少なくなっている気がするので、安部さんが一番気になっている。

 

Q:伊藤計劃さんの書き継ぐ作品について。
また奥さんは円城さんの作品についてどう言っているか

後の質問からですが、あまり聞かないことにしています、こっそり読んでいてもあまり教えてくれるなと言っています、日々の暮らしのことですので、横にいつも読んでいる人がいるとつらいというのはあります。
伊藤計劃は「屍者の帝国」というのが(未完で)残っています。
友人だったのかと言われると、あまりにも早い短い期間だったので他にももっと昔からの付き合いのある人もいて、私が友人面をするのはあれなんですが、大変優れた作家であって大変僕も影響を受けた作家だったということなので大変残念でした。

 

Q:要約しにくい物語。一般の方に説明して欲しい。

(ニコニコ動画の中継で解説した)栗原さんがあれほどこまったあらすじです。当然、読めないという方がいらっしゃるのは、ただ、それは私の力不足というしかなくて、より広く読まれるようにその方法を探したいとは思っています。精進します。あらすじは「着想をどうつかまえるか」という話を書こうと思っていて、着想は変なもので、あらかじめ知っている必要はないんですね。それはどこかから降ってこなくてはいけないんですが、降ってくるって何?という話があり、自分でもわからないけれども、まわりの環境では決まっているというだろうというものが確実に自分の中に入ってきてしまうという状況を書くとどうなるのかな、という話です。
あらすじではなくてどうして書いたのかみたいな話になっていますが、あらすじはいろんな人が出てきて旅をする話だと思ってもらえれば大丈夫です(笑)。

 

Q:科学用語が分からない、面白そうだとはわかるんだけど、自分がわかるところしか読めなかったのだが。

小説なので好きに読んでいただければいい、拾い読みでどこか笑ってもらえるところを拾ってもらえれるのが一番ありがたくて、笑えるところは人それぞれなので拾ってもらえるようにあちこちにまいているという側面もありますので、楽しんでもらえるところを楽しんでいただいて、忘れたころにまた読んでいただければと思います。

 

Q:小説を書くにあたって

何が自分で変わったかというと、僕は割とかっちり構成を決めてから書くことが多かったんですが、最近そこからずれても書けるらしいということに気づき、書いている間に問いを見つけて答えを見つけて、自分の中で答えが見つかったら終える、というような。最初から問題と答えが決まっているのではなく、書けるようになったという気がしています。なので、そこが一番変わったところだと思います。

 

Q:小説を通じて獲得したいこと

書き方がそう変わっていくのでそれはなんなのか考えるのが癖なので、小説を実際に書かないと考えられないようなことを考えられればおもしろいなと思います。あると楽しそうだと思います。

 

Q:田中さんと二作受賞。両極の作品だが。

ふたりで田中さんと一緒にいただけたのは大変ありがたい、気が楽というとあれだが右を守れ左を守れという分担というイメージは若干あります。
新しさとは何かというと実験的なものを書かれている方は100年前200年前からいるわけなので、本当に新しいものを出すのは大変難しくそれすら古くなっているというのがあるので、なのでその辺は非常に難しいバランスを探していかなくてはいけないのでまだ迷っているという感じです。

 

投稿者:かぶん |  投稿時間:18:27  | カテゴリ:会見&インタビュー
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芥川賞受賞作家  スカイプ読書会での課題図書。決して芥川賞を受賞したから読んだんじゃないんだから! ニコニコ動画で生中継してたこととか他に奥さんが具合を悪...続き(NEXT)

受信日時 : 2012年01月26日 17:47 | 有沢翔治のlivedoorブログ

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