
清盛は、中国大陸との貿易を盛んに行いました。その拠点となったのが、今の博多(福岡県)です。平安時代後期には、中国の人たちが住むチャイナタウンも博多にありました。そこは、中国語、朝鮮語、日本語が入り交じる、まさに国際都市でした。日本人も商売を通して、中国語や朝鮮語を覚えていったのでしょう。
清盛は福原(現在の神戸)から船を出して、瀬戸内海を抜けて、博多、そして中国大陸へ出向くルートを確立しました。
当時はまだ瀬戸内海という言葉はありませんが、瀬戸内海を1つの海運として整備したのが清盛だと思います。
当時の最先端である中国大陸との貿易を行うことで、清盛はお金持ちになったのと同時に、最新の文化や考え方を日本へ数多くもたらしました。


清盛が、平安末期に成し遂げたこと。それは、武士に世を開いたということです。
今の時代でもそうですが、社会の仕組みを改革するには、それを中からやるか、外からやるか2つの方法があります。清盛は、天皇や貴族という政権の中枢にいて、そこから改革しようとしました。そして、その清盛を見ていた源頼朝は、「ああ、権力の中にいてはだめなんだ、だったら自分は外から改革しよう」と考えたのです。ですから、頼朝は京都には近づこうとせず、鎌倉で手腕を発揮しました。
清盛がいたからこそ、武士の時代を、鎌倉幕府を誕生させることができた。
そのことは、きっと頼朝もわかっていたはずです。鎌倉幕府から武士の時代は約700年にわたり続きます。清盛は、そのパイオニア的な存在だったのです。


今回の大河ドラマで和久井映見さんが演じる、平忠盛の妻である宗子は、とても立派な女性であり、人格者だったと思います。
宗子にとって清盛は自分のおなかを痛めて産んだ子どもではありません。
ですが、平家の長男として清盛を大切に育てました。
宗子の実子である息子たちに対しても、常に兄・清盛に従うように言い聞かせました。これはなかなかできることではないと思います。
平家一門の強い団結力の陰には、宗子の存在が大きかったはずです。


今回の脚本を読んで思ったのは、
脚本家の藤本有紀さんの心理描写のすばらしさです。
特に、女性の心理描写は読んでいていつも驚かされます。
しなやかで、それでいて説得力がある。きっと、この時代のことをすごく勉強された上で、それぞれの人物の心の動きにフォーカスされているのでしょう。
あるエピソードが史実として残っていたら、ぼくらはそれをその時代の制度などに照らし合わせて客観的な事実として研究します。そのエピソードを引き起こした人たちの心情などは考えない。でも、
どんなエピソードでも、それを紡いでいるのは人間と人間なんですよね。脚本を読んでいて「ああ、だから宗子さんは、こんなことを言ったのだ」、「なるほど、清盛の心情はそうだったかもしれない」と、逆に教えられます。
ぼくは平安末期の史実や制度に照らし合わせてアドバイスはできますが、人間関係の解釈は藤本さんの足元にも及びませんね。
時代考証の立場から見ても、すばらしい脚本に仕上がっていると思います。
