2009年05月02日 (土)ハナミズキの旅 - 野村正育


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  写真①

桜が散って、緑がまぶしくなる初夏の頃、咲きはじめるハナミズキ。
白やピンクの花が風に揺れるさまは、どこか貴婦人の帽子を思わせる優雅な佇まいです。
最近は東京でも街路樹や庭木として見かけることが多くなりました。(写真①)

この花を見ると、18年前、アメリカの放送局ABCで研修を始めた頃のことを思い出します。まだ英語にも不慣れで、成果をあげられるのかどうか一抹の不安も感じていたときに、町ではちょうどハナミズキが咲き始める季節でした。首都ワシントンの赤レンガ風の町並みにとてもよく似合う花で、見ているだけで心癒されました。
ハナミズキは北アメリカ原産です。
英語の名前はdog woodワシントンの隣にあるバージニア州の花でもあります。

ワシントンの春を彩るポトマック河畔の桜は、かつて日本がアメリカに贈ったものですが、その返礼として、アメリカから贈られたのがハナミズキでした。
当時の東京市長・尾崎行雄が日米親善交流を深めるため桜を贈ったのが1912年、その3年後にアメリカのタフト大統領から40本のハナミズキの苗が贈られてきました。
その当時のハナミズキが日比谷公園にあると、どこかで読んだ記憶があったので、訪ねてみました。
日比谷通りの地下鉄出口から公園に入り、案内板を見ると、大噴水の近くに「ハナミズキの森」と書かれています。行ってみると、白い花がホテルやオフィスのビルを背景に咲いていました。ただ、それほど大きな木ではありません。

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  写真②

一角に木の立て札がありました。(写真②)13年前のもののようです。
「原木の子ハナミズキ、都立園芸高等学校の原木より育成。」
ということは、ここにあるのは二代目の木で、園芸高校に原木、つまり最初に日本に来たハナミズキがあるのでしょうか。
早速、電話してみると、
「ありますよ。どうぞ見にいらしてください」との快いお返事でした。

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  写真③

都立園芸高校は、世田谷区の住宅地のなかにありました。
校内には木々がうっそうと茂っています。むしろ豊かな森林の中に学校があるという印象です。温室や畑、実習用の立派な庭園もあります。銀杏並木の先に校舎が見えます。
「あそこに咲いてますよ」
副校長の後藤哲さんの指し示す先に、たしかに白い花が見えます。
日比谷公園で見たのと良く似た、白く小ぶりな花です。
アメリカから贈られたハナミズキは、校舎の向い側で、いままさに満開を迎えていました。(写真③④)
木の高さは6,7メートル。幹の直径は30センチほどあるでしょうか。
深い緑の中に静かに立っていました。

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  写真④

この木が日本にやってきてから94年。ほぼ一世紀です。
その間、第二次大戦があり、敵国の木として白眼視された時代もあったとか。時代の変遷の中、静かに、たしかに、この木は年輪を重ねてきたのです。
なぜ、園芸高校にハナミズキが植えられたのか、それは、熊谷八十三・初代校長が、ワシントンに贈られる桜の苗の育成に当たった縁からだそうです。
去年、創立百年を迎えた園芸高校では、記念に「日米・さくら・ハナミズキ国際交流」という企画をたて、生徒も含めた代表団をワシントンに派遣し交流を深めました。
桜とハナミズキの交流の精神は脈々と、いまも受け継がれていました。

(園芸高校では、事務室に立ち寄っていただければ、ハナミズキの見学は自由にできるということです。)

投稿者:野村正育 | 投稿時間:21:20

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