2016年5月

2016年05月27日 (金)

オレは最強だ 佐々木彩

この言葉を自らに言い聞かせ、体現してきたあの選手が、
4カ月ぶりにコートに帰ってきました。
車いすテニスの国枝信吾選手。
ひじを手術していたことを明かし、ファンを驚かせてから3週間。
月曜から始まった国別対抗選手権に臨んでいます。

異変が起きたのは、不動の世界ランキング1位として臨んだ、去年のマスターズ。
決勝で敗れ4連覇を逃すと、9度目の優勝を狙ったことしの全豪オープンでまさかの初戦敗退。衝撃が走りました。
試合後は、「パラリンピックに向けて周囲がレベルを上げてきた」と話していた国枝選手。
改めて聞いてみると、去年の秋には痛みがあり、練習を詰めることができなかったと明かしてくれました。

国枝選手は、ロンドン大会の前にも、同じ場所を手術しています。
車いすとラケットを操る太い腕に、傷跡が残っていました。
復帰の大変さを経験したこともあり、ギリギリまで(麻酔をかけられるくらいまで!)、
手術が正しい決断なのかどうか、迷ったそうです。

ケガの悩み、そして、何より“勝ってほっとしたい”と思っていること。
気取らない世界王者は、驚くほど正直な言葉で、
私たちの気持ちをすっかりすがすがしいものに変えてしまいました。

世界ランキング7位の強敵と対戦した、復帰戦。
接戦を制して勝利で飾ったものの、反応や、チェアワークに課題を残しました。
「次も頑張ります!」去り際に手を振ってくれましたが、
その厚い背中には、まだまだこんなものじゃないという闘志がみなぎっていました。


再び「最強」のポジションへ。
リオまで、あと、4カ月です。

投稿者:佐々木彩 | 投稿時間:13:20 | カテゴリ:佐々木彩 | 固定リンク


2016年05月20日 (金)

「1か月後」の熊本 田中泉

先週(5月8日~13日)1週間、熊本で取材しました。

この時間をわずかというべきか長いというべきか分かりませんが、本当に多くの方に出会いました。

地震のため授業を見合わせていた益城町の中学校が再開し、避難先の親戚宅から自転車で長い時間をかけ通い始めた中学3年生の女の子。
地震で地盤が緩んでいる上に雨が降り、土砂崩れを心配する人。
震災後に生まれた生後間もない赤ちゃんとその家族。
温泉旅館を代々営み、今回の地震で温泉が供給できなくなったという方…。
他にも多くの方がすべては伝えきれませんでしたが、今の状況や気持ちをとつとつと、そして真摯に教えて下さいました。

熊本に行くにあたり、地震から間もなく1か月というタイミングで被災した方々にどう接したらいいのか、そして私たちに率直に気持ちを語ってくれるだろうか、と迷いにも似た思いを抱えながら出発しました。
また、被災した方々の状況も人によっては事態が良くなっているのではないか、という期待も少し持ちながら。
しかしこれらの思いは、どちらもある意味裏切られました。
確かに被災状況は人それぞれ異なり、中には今まで通りの生活に近い状態に戻った・戻りつつあるという方もいました。
一概に「被災地は今も厳しい状況です」というのはちょっと違うように感じます。
ただ、今回の地震の特徴である「長期間続いている余震」が与える影響はどんな状況の人にも及んでいるのです。

一連の熊本地震では、最初の前震から今まで(5月19日時点)起きた震度1以上の地震が1500回に達しています。
震度7を観測した西原村でお会いした80代のご夫婦は、自宅は今は住める状態なのですが、余震を恐れて家の外に小さなトラックを出し、その荷台で毎晩寝ているということでした。
私が出会って話を聞いた日の前日は、地震後初めて家で寝てみようとしたそうですが、未明に震度4の地震が起き結局暗闇の中で準備をして外で寝たということでした。
奥さまは私に「下にマットを敷きその上には布団を敷いているから快適です」と話して下さいましたが、心臓に持病を抱えているお2人にとってそれが快適な空間だとはとても思えませんでした。
ただそのような状況でさえ、地震への恐怖よりは「まだまし」だということなのだと思います。
余震が収まってから本当の意味での復旧・復興のスタートが切れると話している方も多くいらっしゃいました。
被災地では、地震は過去のことではなく「今も続いていること」なのだと痛感しました。

自然の脅威はコントロールできませんが、それでも一日一日時間は過ぎ日々の生活は続いていきます。
住まいの問題など乗り越えていかなければいけない課題は少なくありません。
少しでも早く元の暮らしに戻れますように、そして明るい気持ちで前を向いて過ごせる日が来ますように…。
私たちにできることは時間の経過などで予断を持たず、被災した方々の声に愚直に耳を傾け伝え続けることだと感じました。

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美しい阿蘇の風景

 

 

 

投稿者:田中泉 | 投稿時間:13:50 | カテゴリ:田中泉 | 固定リンク


2016年05月12日 (木)

熊本地震の現場を取材して 伊藤海彦

リポーターの伊藤海彦です。
私が熊本に最初に入ったのは、最初の地震から5日後の19日でした。
完全に倒壊してしまっている家屋、揺れで傾き、今にも倒れてきそうな家屋などを
目の前にし、正直、言葉が出ませんでした。
避難所に行くと廊下まで人であふれ、駐車場にも多くの車中泊をする方々がいました。
中には生まれて間もない赤ちゃんと寄り添うようにして眠るお母さんもいました。
ただ、こうした状況の中にも関わらず、多くの方が私たちに話をしてくださいました。
しかも、皆、涙を流しながらです。
「家をすべて失ってしまった」「この避難生活がいつまで続くのか」
「同じ大学の人を助けることができなかった」
「仕事場が大きな被害を受けた くやしい」
その涙には、悲しみや不安、悔しさなど様々な感情が含まれていました。
一方で、「こういう状況だからこそ、みんなで協力しながら前向きに」という声も
聞かれました。
そうした方々の生の声をしっかりと聞き、今何が求められているのかを
伝えることこそが私たちの役割であると改めて感じました。

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熊本空港で働くスタッフが掲げたメッセージ

投稿者:伊藤海彦 | 投稿時間:22:47 | カテゴリ:伊藤海彦 | 固定リンク


2016年05月06日 (金)

米大統領選 共和党はトランプ氏で決まり     河野憲治

あっけない幕切れでした。

3日の中西部インディアナ州の予備選挙。
反トランプ陣営は、ここでトランプ氏の勢いを止めれば、代議員の過半数獲得を阻止できる可能性が生まれると、奇策を企てました。
インディアナ州は、2位のクルーズ氏が人気のある州です。そこで3位のケーシック氏は選挙運動を中止し、クルーズ氏にチャンスを譲ります。
その代わり、クルーズ氏は、そのあとに予定されているオレゴン州とニューメキシコ州の戦いで、ケーシック氏にチャンスを与えるという異例の選挙協力です。
そうやってトランプ氏の獲得代議員数が過半数に達するのを阻止し、7月の党大会での決選投票に持ち込めば、トランプ氏の指名獲得を封じることが可能になるからです。
ところが、奇策の最初の関門インディアナで、ふたを開けてみれば、トランプ氏の圧勝。
反トランプ陣営は命運が尽き、クルーズ氏とケーシック氏は相次いで撤退を表明するしかなくなったのです。

ただ、トランプ氏。大統領への道は、かなり険しそうです。 
最初の課題は、共和党内での仲直りです。「アウトサイダー」を売りものにして、共和党主流派をこてんぱんに攻撃して、政治家に不満をもつ人たちの支持を取り付けたわけですので、感情的なしこりはたいへんなものです。ブッシュ前大統領やその一族のほか、前の大統領候補のロムニー氏などは、党大会への出席を拒否しています。主流派のなかには、「トランプよりも民主党候補を選ぶ」と話す人すら出ていて、関係修復は容易ではありません。

そのうえで、民主党の指名候補になる見通しのクリントン氏とどう戦うか。現時点では、クリントン氏との一騎打ちになった場合、支持率で10ポイント前後リードを許しています。

一方、トランプ氏を「支持しない」と答えた人は、有権者の3人に2人に上り、アメリカの新聞では「近代でもっとも嫌われている大統領候補」とまで呼ばれています。
これまで共和党内での戦いでは、白人低所得者層を中心とした支持基盤から確実に支持を取り付けていればよかったのですが、今後は、有権者のおよそ4割と言われる無党派層の人たちの間でどこまで支持を広げられるかが勝敗の鍵を握ります。さまざまな暴言も、共和党支持者以外からは、必ずしも「率直な物言い」と好意的に受け止めてもらえる保証はありません。
ただ、これまでも専門家の読みをことごとく覆してきたのがトランプ氏です。奇想天外なドラマが待っていそうな予感もします。
「まさかトランプ大統領なんて!?」と、世界中が落ち着かない思いをしながら、本選挙までの6か月間を見守ることになります。

投稿者:河野憲治 | 投稿時間:23:26 | カテゴリ:河野憲治 | 固定リンク


2016年05月06日 (金)

声なき"悲鳴"      鈴木奈穂子

鈴木奈穂子です。

4月末、地震が起きてから初めて熊本に入りました。

当初は被災地の子供たちの様子を中心に取材をさせてもらいたいと思っていたのですが、皆さんに話を聞いていくと、子供もそうですがそれ以上に「子供を守らなくては」という思いに押しつぶされそうになっているお母さん達の姿が見えてきました。

 

「地震のあと、子供が怯えたり、攻撃的になったり、夜泣きしたりするようになった」。

いつもと様子が変わってしまった子供たちを見てお母さんは「大丈夫だよ」と気丈に振る舞います。

「お母さんは子供の前で強くなくちゃいけない」「次に大きな地震がきたら、この子の命をどう守ればいいのか。ずっと気が張り詰めているんです…」

こんな声を聞きました。

親御さんの覚悟や思いの強さに頭が下がる思いと同時に、全てを抱え込み、自分を追い詰めてしまっている方もいるように感じました。

弱音を吐けない、大きな声で怖いと言えない。お母さん達の心の悲鳴が伝わってきました。

 

そうした中で熊本市内では、助産師さんによる相談会や、地震のトラウマを克服しようというワークショップが開かれていました。

 

ワークショップ講師で心理カウンセラーの山本トースネスみゆきさんにどんな事が大切か聞きました。放送に入らなかった部分も含めてお伝えします。

 

【誰かに吐き出す】

誰かに不安を話せる環境というのはとても大事。話せる人はたくさんいなくていい。

自分が信頼できる人に「質のよい」相談ができる事が大切。なんだそうです。

 

でも、人と関わるのが苦手、人に悩みを話す事が逆にストレスになってしまうという人もいますよね。そうした場合に1人でもできる解消法もあります。

 

【1人で出来る解消法】

深呼吸をする。とくに「吐くこと」を意識する。

緊張すると締めつけられる胸のあたりをほぐしてくれる効果があるそうです。

また、お子さんや、ぬいぐるみなどを胸の前でぎゅーっと抱きしめる。

これもリラックス効果があると教えてくれました。

 

親子が安心して1日を過ごせる日が少しでも早く来るよう願うと共に、私たちは今後も放送を通して、何が出来るのかを考えていきます。

投稿者:鈴木奈穂子 | 投稿時間:19:59 | カテゴリ:鈴木奈穂子 | 固定リンク


2016年05月05日 (木)

日常を取り戻すために    記者 安田嘉英

夕方、駐車場に次々と集まってくる車。狭い車内のスペースを家族と分け合うようにしながら毛布にくるまる人たち。うつろな目で飼い犬を抱きしめている人もいます。震度7の激震に相次いで襲われた熊本のあちこちで今や日常となってしまった風景です。

私は2回目の震度7からおよそ1週間たった4月下旬、三條リポーターとともに熊本に入りました。

車中での生活を続けている人はさまざまな事情を抱えています。中でも多くの人が訴えるのが相次ぐ揺れへの恐怖です。被災地では今も活発な地震活動が続き、震度1以上の地震はすでに1000回を超えました。もしあの激しい揺れが再び襲ってきたら大切な家族の命を守ることはできるのか。揺れのたびに目に不安の色を浮かべ、不自由な車中泊を続ける人たちの姿に胸をえぐられる思いがしました。

やまぬ揺れ、車内での生活。それだけではありません。崩れたままにされた家、小さい子供を抱えて配給の列に並ぶ母親、水が出ない蛇口、ネオンの消えた繁華街、いつまでも回収されない山積みのごみ。被災地ではいま、異常な日常が溢れています。そしてその異常な日常は人々の体を確実に蝕み始めています。

事実、車中泊をしていてエコノミークラス症候群で命を奪われる人も出てきています。精神的に追い込まれつつある人も大勢います。地震で救われた命が今も危機にさらされ続けている現実があります。異常な日常を一日でも早くもとの正常な日常に戻すために何ができるのか。これからも模索を続けながら被災地の現実や課題を伝え続けていきたいと思います。

 

 

投稿者:番組スタッフ | 投稿時間:19:26 | カテゴリ:番組スタッフ | 固定リンク


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