キャスター・アナウンサー BLOG

世界遺産・屋久島 【荒木美和】

2008年11月12日 (水)

世界遺産・屋久島の山が、今、危機にさらされている。
今年の夏の休暇中、訪れた屋久島で、島の人たちが山のトイレ問題に心を痛めていると知りました。

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15年前、世界遺産に登録された屋久島。
ヤクシカ、ヤクシマザルや樹齢1000年を超える「屋久杉」と呼ばれる杉。多様な動植物の生態系が保たれています。
中でも山の中腹にあり、樹齢数千年と言われる「縄文杉」は長老のような巨大な杉で、まさに島の守り神のような風格です。
その屋久島の山が、森が、直面しているのは、観光客の増加によって起こる様々な問題でした。

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昨年だけで年間8万人以上の人たちが屋久島の山に訪れました。
登山道は木の根を保護するために木道になっていますが、場所によっては木道の周りが踏み荒らされ、根が土の外へ現れてしまっているところもあります。
屋久島の縄文杉ブームの中で進む環境への影響。

特に住民たちが心を痛めているのは山のトイレ問題でした。
これまで、屋久島の山ではトイレの排泄物を山中に埋めて処理してきました。
しかし、年々登山客が増え続ける中で埋めるのも間に合わない事態が起こるほどです。
そこで、この4月から関係機関が連携して「屋久島山岳部保全募金」を立ち上げ、募金をつのり、人力で排泄物をふもとまで運びおろすことにしたのです。
すべて運びおろすのに必要な費用は年間およそ4000万円。しかし、4月から始まったこの募金。9月末までで、およそ660万円しか集まりませんでした。
トイレの利用料を徴収する案や入山料をとる案なども検討されてきましたが、関係機関の間で調整がつきませんでした。
お金が集まらない事には、今までと同じように埋めるしかない。
埋めて捨てる処理は続けられてきました。

10月上旬、地元の人たちが心を痛める屋久島の現状を撮影するために、屋久島の山に再び登りました。

今回のこの取材、何より山を案内してくれた地元のガイド・寺田賢志さんと歩荷をしてくれた地元の真辺大さんのご協力があってこそでした。
寺田さんの「自分の子どもや孫たちに、このすばらしい自然を残してあげたい。でも今のままじゃ残せない気がします」という言葉は私の胸に、深く深く突き刺さりました。

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(左から石山カメラマン・寺田賢志さん・成瀬音照マン・真辺大さん・渡辺記者:
 下山直後の様子です)

観光客の増加による自然破壊やトイレ問題は、屋久島だけで起こっている問題ではありません。全国の山で起きている問題です。
今回の取材によって、屋久島の自然をめぐる問題、そして全国の山の自然をめぐる問題が少しでも良い方へ向かう事を願ってやみません。

地元の人たちの話ですと、放送後、トイレに関する意見や募金の申し込みなどが多数寄せられ、少しずつですが事態は改善の方向に動いているそうです。

もし皆さんが山に登る機会があれば…
どうか、こうした問題を心の片隅にでも留めておいてください。
私自身も山を愛し、登る一人として、自分自身が山に登る時には環境への意識をけっして忘れずにいたいと、改めて思いました。

 

投稿者:荒木 美和 | 投稿時間:19:14
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