田中泉

2016年05月20日 (金)

「1か月後」の熊本 田中泉

先週(5月8日~13日)1週間、熊本で取材しました。

この時間をわずかというべきか長いというべきか分かりませんが、本当に多くの方に出会いました。

地震のため授業を見合わせていた益城町の中学校が再開し、避難先の親戚宅から自転車で長い時間をかけ通い始めた中学3年生の女の子。
地震で地盤が緩んでいる上に雨が降り、土砂崩れを心配する人。
震災後に生まれた生後間もない赤ちゃんとその家族。
温泉旅館を代々営み、今回の地震で温泉が供給できなくなったという方…。
他にも多くの方がすべては伝えきれませんでしたが、今の状況や気持ちをとつとつと、そして真摯に教えて下さいました。

熊本に行くにあたり、地震から間もなく1か月というタイミングで被災した方々にどう接したらいいのか、そして私たちに率直に気持ちを語ってくれるだろうか、と迷いにも似た思いを抱えながら出発しました。
また、被災した方々の状況も人によっては事態が良くなっているのではないか、という期待も少し持ちながら。
しかしこれらの思いは、どちらもある意味裏切られました。
確かに被災状況は人それぞれ異なり、中には今まで通りの生活に近い状態に戻った・戻りつつあるという方もいました。
一概に「被災地は今も厳しい状況です」というのはちょっと違うように感じます。
ただ、今回の地震の特徴である「長期間続いている余震」が与える影響はどんな状況の人にも及んでいるのです。

一連の熊本地震では、最初の前震から今まで(5月19日時点)起きた震度1以上の地震が1500回に達しています。
震度7を観測した西原村でお会いした80代のご夫婦は、自宅は今は住める状態なのですが、余震を恐れて家の外に小さなトラックを出し、その荷台で毎晩寝ているということでした。
私が出会って話を聞いた日の前日は、地震後初めて家で寝てみようとしたそうですが、未明に震度4の地震が起き結局暗闇の中で準備をして外で寝たということでした。
奥さまは私に「下にマットを敷きその上には布団を敷いているから快適です」と話して下さいましたが、心臓に持病を抱えているお2人にとってそれが快適な空間だとはとても思えませんでした。
ただそのような状況でさえ、地震への恐怖よりは「まだまし」だということなのだと思います。
余震が収まってから本当の意味での復旧・復興のスタートが切れると話している方も多くいらっしゃいました。
被災地では、地震は過去のことではなく「今も続いていること」なのだと痛感しました。

自然の脅威はコントロールできませんが、それでも一日一日時間は過ぎ日々の生活は続いていきます。
住まいの問題など乗り越えていかなければいけない課題は少なくありません。
少しでも早く元の暮らしに戻れますように、そして明るい気持ちで前を向いて過ごせる日が来ますように…。
私たちにできることは時間の経過などで予断を持たず、被災した方々の声に愚直に耳を傾け伝え続けることだと感じました。

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美しい阿蘇の風景

 

 

 

投稿者:田中泉 | 投稿時間:13:50 | 固定リンク


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