キャスター・アナウンサー BLOG

ラクイラサミット取材記【制作スタッフ 石井康夫】

2009年07月31日 (金)


7月8日から10日まで開かれたイタリアサミット。
ニュースウォッチ9では、田口キャスターが現地から中継でお伝えしましたが、
私はその事前取材のため6月下旬からイタリア入りしました。

サミットのテーマは、地球温暖化対策などの「環境問題」。
そこで、訪れたのがオルビエイト。
険しい山の上に中世からの石造りの町並みが並ぶ、天空の城といった感もある街です。

orubieito.JPG

ファーストフードに反対する立場から生まれた「スローフード」運動発祥の地の一つで、
運動を世界に広めようという事務局がおかれています。
現在16カ国120都市が参加しているということです。
この「スローフード」運動。
ポイントは地産地消です。
地元で採れたものを食べれば、新鮮なものをおいしく食べられる上、
輸送用の燃料もかからなくなるということで、環境面でも意義があるということ。
地元の農家を訪れると「ぜひ食べていけ」と野菜や果物、ソーセージやハムにワイン、すべて自家製のものを出してくれました。
しかも映画の一場面に出てくるような、庭のテーブルを囲んでの優雅なひと時。
いつもロケは時間に追われるものですが、今回だけはゆったりとした時間の流れ。
まさにこれぞスローシティー!

そして、サミットのもう一つのテーマは「経済」。
イタリアというとファッションということで、着目したのが繊維産業。
生地の染色などの加工をしている会社を訪れました。
世界に冠たる有名ブランドとも取引しているというこの会社。
しかし、昨年来の金融危機の影響で、取引は激減。
先月は売り上げが前年比で半減したといいます。
世界的な知名度がある企業も、またその取引先も大きな打撃を受けていました。
この会社があるのはフィレンツェ近くのプラートという町。
china.jpg

日本ではほとんどなじみのない一地方都市ですが、
驚かされたのが、町の郊外に突如現れた中国語の看板の列。
話を聞きに行ってみると出てきたのは中国人。
経営不振で売りに出されたイタリア企業を安く買い3~4年前に進出してきたという。
目的は「メイド・イン・イタリア」を名乗るため。
でも働いているのは人件費が安い同じ中国人。
イタリアにありながら、中国流をそのまま持ち込んでいました。
ここで作られた製品、品質は中の下だといいます。
しかし景気悪化の影響はイタリアでも日本同様で、「安くないと売れない」と現地の衣料品店の経営者も仕入れに来ていました。
日本でもよく見かける“イタリア製”の激安スーツやネクタイ。
安さのからくりはこんなところにありました。
世界に膨張する中国パワー。
改めて強く実感させられた現場でした。

そして、サミット会場となったラクイラ。
ここは4月の地震で大きな被害を受け、街の中心部の建物は今も立ち入り禁止。
被災者が避難生活をおくるテント村があちこちにあります。

onna.JPGこうした状況でのサミットについて
被災者はどう思っているのか。
“サミットにかける資金があるのなら
 生活再建のために使って欲しい”と
批判もあるのではと思っていましたが、
みな一様に「世界の関心が集まるのは
ありがたい」と好意的な反応。
やはり話は現場で聞いてみないと
わからない。それを実感しました。
一方で「重要なのは開かれたあと
どうなるか」という声も多く、
一時的な盛り上がりではなく、本当の意味で地域再建につなげてほしいという思いが伝わってきました。

サミットが一過性のものに終わらず、
ぜひ、ラクイラの復興につながるものになってほしいと思いました。                      

投稿者:番組スタッフ  | 投稿時間:14:28
twitterにURLを送る facebookにURLを送る mixiにURLを送る Yahoo!ブックマークに追加 Googleブックマークに追加 ソーシャルブックマークについて
※NHKサイトを離れます。

ページの一番上へ