2016年5月31日(火)

クルーズ船で入国 中国人失踪相次ぐ

鈴木
「こちら、巨大なマンションのように見えますが、けさ、中国の上海からやってきた大型のクルーズ船です。
およそ5,000人を乗せてきました。


こうしたクルーズ船でやってくる外国人は急増していて、去年(2015年)は年間110万人を超えて、過去最高となりました。
『爆買い』などで経済効果が注目されていますが、そのかげで、日本に入国した後、失踪する中国人が相次いでいることが明らかになりました。」

クルーズ船急増 爆買いなどで

猪俣康太郎(ニュースウオッチ9)
「この船は中国の上海から来たクルーズ船です。
およそ5,000人が乗っています。



今からこちらの100台以上のバスに分かれて、市内の観光に出かけることになっています。」




 

けさ到着して、夜には上海に出港。
半日の日本観光です。

お目当ては、もちろん「爆買い」。




 

中国人観光客
「子どもの先生と、友達のお土産です。
先生3人と友達36人分です。」


 

これまでの富裕層に加え、最近では数万円と比較的手頃な価格のツアーも増えてきたことから、中間層などにも利用が広がっているということです。

クルーズ船で入国後 福岡で長崎で

ところが…。

猪俣
「今月(5月)17日、中国人の57歳の男が、この付近で目撃された後、行方がわからなくなっています。」



 

男は1人でツアーに参加したとみられています。
福岡市内に出かけた後、バスの出発時間になっても戻らなかったということです。
その間、入国からわずか3時間余り。
警察などは、当初から不法滞在する目的でツアーに参加した可能性もあるとみています。
 

失踪は長崎でも…。

長崎港では去年、大型のクルーズ船から40代の中国人の男3人が一度に失踪しました。
長崎県によりますと、3人は中国の青島(チンタオ)からのツアーで、去年10月中旬に長崎港に来ました。



3人は、貸し切りバスに他の観光客とともに乗車。
市内の平和祈念像の前で集合写真を撮影しましたが…。



 

伊津見総一郎(長崎局)
「クルーズ船で入国した3人は、ここで姿が見えなくなりました。
バスの集合時間にも現れなかったということです。」


 

警察と海上保安部で3人が宿泊していた船の客室を捜索したところ、インターネットの地図を印刷したものが見つかり、大阪までの交通機関の経路も記されていたということです。
このインターネットの地図は、中国では閲覧が制限されていることから、警察などは、3人が不法滞在を手配する組織などから事前に入手した可能性もあるとみています。
クルーズ船で入国したあと、船に戻らずに失踪する中国人。
警察や入国管理局、海上保安庁に取材したところ、去年7月から今月にかけて、22人に上っていることが分かりました。

クルーズ船の客 入国要件緩和

相次ぐ失踪の背景には、クルーズ船を利用した日本への入国の要件の緩和がありました。

中国人観光客
「簡単になった。
自分で申請する必要もないし、すべて済んでいた。」


 

以前は、中国人観光客がクルーズ船で来日する際、現地の大使館などで事前にビザを取得する必要がありました。
しかし、クルーズ船では一度に大勢が来日し、入国審査に時間がかかっていたことから、法務省入国管理局は、去年1月、審査の方法を見直しました。



ビザを取得する代わりに、クルーズ船の運航会社が、客の本人確認を行った上で一括して入国の許可を申請します。
さらに、港で行っていた顔写真の撮影も省略され、こうした制度のない航空機での来日に比べ、手続きなどの時間が短縮されました。



ただ、船の運航会社は、管理が十分でないと判断されると許可の申請ができなくなる場合もあるということです。





入国管理局や警察などは、ビザが不要となったことなどを悪用した、不法滞在の新たな手口として警戒を強めています。





こうした問題にどう対応していけばいいのか。
専門家は…。 

元法務省入国管理局長 高宅茂教授
「たくさんの方が来るので、その中に不法滞在目的の人が入る。
査証がとりにくい人が来るというのはあり得る。
入国のところで防止しなくてはならない。
その場合には、運送業者の方の協力が非常に重要な鍵になる。
そういった意味では、それを強化していく必要がある。」

クルーズ船 急増 相次ぐ中国人の失踪

鈴木
「外国人旅行者の利便性を高めるための緩和が、こうした不法滞在につながってしまっているという現実があると。
これは難しい問題ですね。」

河野
「取材した専門家の高宅さんは、失踪している中国人は、不法就労が目的と見られる人もいるということで、入国管理の水際対策だけでなく、国内での不法就労の対策もあわせて強化していく必要があるのではないかと指摘していました。」

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