2016年7月21日(木)

“自動車の運転を多くの人に”

鈴木
「車いすを使っている人たちは日常生活でさまざまな不自由を余儀なくされていますが、その1つが自動車の運転です。
アクセルやブレーキを手で操作する車に改造するには、数十万円の費用がかかります。
そして、免許を取る際もこうした改造車がある教習所を探す必要があります。」
 

河野
「この課題に挑んでいるのが、自らも車いすで生活している男性です。
普及に取り組んできた単純な構造の装置が今、徐々に広がり始めています。」

“車の運転を多くの人に” 車いすの男性の思い

東京都内の自動車販売店です。
あす(22日)から試乗車で使われる新しい装置の説明会が開かれました。



 

販売会社の担当者
「全く改造を施さずに、手でアクセル・ブレーキ操作できる状態にする。」



 

車いすを使う人が運転できるよう開発されたこの装置。
最大のポイントは乗用車に簡単に取り付けられる利便性の高さです。

販売会社の担当者
「押してブレーキ、引いてアクセル。」



 

運転する人の手の動きに合わせて足元のペダルが作動し、アクセルとブレーキをコントロールできます。
こうした手動運転ができる車に改造するには、これまでは数十万円の費用がかかりましたが、この装置は10万円。
自治体からの助成を受ければ、負担はほとんどありません。
 

装置を販売する会社の神村浩平さんです。
16歳の時に交通事故に遭って以来、車いすで生活しています。

販売会社 社長 神村浩平さん
「足が不自由な方々の移動手段が非常に制限されている。
身体障害がある方も、ない方も同じ車を使って移動を楽しみましょう。」


 

神村さんが装置に出会ったのは3年前。
改造した車しか運転できないため、希望していた営業の仕事を諦めかけていたころでした。

その時、目にしたのがインターネットの掲示板です。
そこには装置を手作りしていた男性の思いがつづられていました。

販売会社 社長 神村浩平さん
「“こういうのニーズありますかね”と書いていて、その瞬間“あります”と思って。
すぐに連絡して“僕にこれを売らせてください”って。」

その男性は荒木正文さん。
自動車メーカーの元エンジニアでした。
車いすを使う同僚たちが自分の会社の車を運転できない姿を見て、1人で開発していました。
荒木さんが作った装置を自分が売る。
しかし、二人三脚で取り組み始めたやさき、荒木さんががんで亡くなりました。
神村さんは遺志を継ごうと会社を立ち上げました。

販売会社 社長 神村浩平さん
「もうこれやって、これで生きていこう。
これを広めることで自分の人生を使いたいと直感で思った。」


 

装置の普及を進めるため、安全性の向上に取り組んだ神村さん。
第三者機関の審査にも合格し、本格的な販売に乗り出しました。

その装置は今、少しずつ活躍の場を広げています。
この自動車教習所では、車いすを使う人が免許を取得しやすくするために、先月(6月)から使い始めました。
車いすの生活で行動範囲が限られていた人たち。
車に乗ることができるようになり、可能性が広がったと言います。

教習生
「こういう装置を知らなかった時は、自分には運転ができないのではと思っていた。
これから生きていくうえで、明るく前向きになれたと思う。」

 

神村さんは車いすを使う人たちのため、装置の普及に努めていくつもりです。

販売会社 社長 神村浩平さん
「車を買って出かけてみようかな、仕事をしてみようかなというきっかけになる。
売っているのは、ただのアルミのパイプだが、その先の人生の広がりや人生を楽しんでもらえる。
そういう可能性を広げられるものではないかなと思う。」

“車の運転を多くの人に” 装置に託した思い

鈴木
「乗用車に簡単に取りつけられるということで、移動の選択肢も広がるし日常生活が大きく変わることにつながるかもしれないということですよね。
この装置なんですが、インターネットでも販売されているということです。」

河野
「障害がある人への配慮は、4月に施行された障害者差別解消法で民間にも求められるようになっています。
これからはいろいろな分野で、さまざまな工夫や心配りが大切になってくるように思います。」

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