2017年2月27日(月)

原発事故6年 廃炉の現場は

鈴木
「東京電力福島第一原発の事故からまもなく6年です。」

河野
「今日(27日)、ほぼ1年ぶりに福島第一原発を取材してきました。
現地での今の焦点は、溶け落ちた核燃料の取り出しに向けて、その状態がどうなっているのかを調べることです。
しかし、前例のない取り組みなだけに、その調査自体、なかなか想定通りに進まない難しいものであることを取材を通じて実感しました。」

河野キャスター 現地取材

私が福島第一原発に入るのは3回目です。
ほぼ1年ぶりに訪れてみると、1号機の姿が大きく変わっていました。



 

河野
「原子炉建屋の前にやって来ました。
これ80メートルほどのところなんですが、ご覧ください、1号機です。
前はカバーに覆われていた1号機ですが、今はカバーが取り外されています。
放射性物質が飛び散るのを防ぐ対策ができたため取り外したということですから、これは1つ進展していることを示していると思います。」

外から見ると、片づけなどが進む原子炉建屋。
今、焦点になっているのは、その中で行われている溶け落ちた核燃料がどこにあるのか調べる作業です。

サソリ型ロボットで… 2号機の調査は

河野
「2号機です。
ここまで来られるようになったのは初めてです。

奥に1号機が少し見えていますが、両方で溶け落ちた核燃料の調査が本格化しています。
ただ、中は放射線量が高いので、これ以上入ることはできません。」

先月(1月)末、事故後初めて捉えられた2号機の原子炉の真下の様子です。
何かが溶けたような堆積物。
溶けた核燃料が内部の構造物と混じり合った「燃料デブリ」の可能性があるとみられています。

燃料デブリはどのような状態なのか。
それを探る切り札となったのが、ロボットを使った調査です。
調査がどう行われたのか、2号機と同型の5号機の中で詳しく取材しました。

まず訪れたのは画面の赤い印の部分。
原子炉を取り囲む格納容器の、さらに外側です。

河野
「こちら、少し壁が丸くなっているように感じます。
ここが格納容器ですね。
格納容器に丸い貫通孔がみえますが、(ここから)ロボットを入れたということなんです。」

 

NHKで用意した模型を使って、状況を聞きました。
2号機で使われたのが「サソリ型」と呼ばれるロボットです。

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「これを伸ばした状態で入れていく。」



 

計画では、ロボットは原子炉の真下の部分に入って映像の撮影や放射線量の計測など詳しく調査する予定でした。
しかし、実際は計画通りにはいきませんでした。
ここは格納容器の内側です。


 

河野
「あの丸いのが、先ほど外側から見た貫通孔ですよね。
そこからロボットを入れたと。」

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「はい。
このように前進していきました。」

河野
「撮影したり、線量を測ったりしながら。」
 

レールの上を降りていったロボット。
その行く手を阻んだのはレールの上にたまっていた堆積物でした。

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「事前調査で堆積物が多いことは分かっていた。
そういったもの(堆積物)をのけながら、よけながら進んでいったが、最終的には3メートル程度の距離を進んだところまでいった。」

ロボットは途中で進めなくなってしまい、この位置で止まりました。




 

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「堆積物が可動式のキャタピラ部分に挟まった可能性が高いと考えている。」



 

東京電力は別のロボット投入も含め、今後の調査計画を検討することにしています。

河野
「現実は難しい?」

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「初めての作業なので、これも1つのプロセスと考えている。
必ず次につなげることが必要だと思う。」

“釣り糸”ロボット 1号機調査 ヤマ場へ

さらに、今後、大きなヤマ場を迎えるのが1号機の調査です。

1号機では、溶け落ちた核燃料が原子炉の底を抜け、構造物と混じり合った「燃料デブリ」になり、格納容器の下に広がっているとみられます。

同じように、5号機の格納容器内部で見てみます。
1号機では、この金網の足場の下。




こちらの空間に汚染水が2メートル余りの深さまでたまっているため、直接ロボットを近づけることができません。

その調査のために開発されたロボットです。
釣り糸を垂らすようにしてカメラを下ろすことができます。

格納容器の中に入り、足場の上を移動して水中の様子を調べます。

河野
「1号機で使うロボットの模型を用意したが、どんなふうになる?」

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「ヘビ型といいまして、長い筒状のガイドパイプを通じて中に下ろす。




下ろしたら『コ』の字型に変形して、床面をはい回る。
つり下げ式のカメラがついている。
グレーチング(足場)のすき間にカメラを入れて、そこから得られる情報で調査することになる。」


 

1号機でも来月(3月)中旬以降、ロボットが投入されます。

河野
「パイプとかいろんな配管が通っていて、すぐ引っかかりそうな感じ。」

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「場所としては下まで下ろせる場所は限られてくると思うが、場所を選定しながら、長い時間をかけて調査していきたい。
水の中にあるデブリをしっかりと調査する。
相手の正体を見極めた上で、取り出しの計画につなげていく。」

燃料デブリ取り出しへ スタートライン

原発事故からまもなく6年。
現状について、東京電力の担当者は…。

東京電力 原子力・立地本部長代理 岡村祐一さん
「燃料デブリの取り出し、廃炉(まで)の長さ30年・40年というのは、まさにそこの難しい技術を確立していく、そのためには調査して相手を知らないといけない。
少しずつそういったものがわかりかけてきている段階。
本丸のデブリの取り出し、使用済み燃料を安定的に取り出す、そういうところに注力する時期にきた。」

原発事故6年 廃炉の現場は

鈴木
「これが調査用ロボットの模型で実物大ということですが、思ったより小さいですね。」



 

河野
「実際に使う時は、こうして伸ばして使うと。
これで全長60センチほどなんですね。
あの大きな格納容器の中で、溶け落ちた核燃料がどこにあるのかというのを探しにいく。
まさにこれにかかっているわけですよね。
その手がかりを得るための大きな期待を背負っていたのが、この小さなロボットということなんです。」

鈴木
「ただ、このロボットが原子炉の真下に届く前に止まってしまったということですか?」

河野
「今回はそういう結果になったんですが、担当者は、ひとつひとつ課題を解決しながら進むしかないと話しています。

来月には、1号機でこちらのタイプのロボットを使って調査を始めることになっています。
溶け落ちた核燃料の取り出しはまさに未知の世界で、今後もいろんな障害がありうると考えると、廃炉までの道のりの長さを改めて思い知らされます。
世界の英知と技術を結集して、道を切り開くしかないと改めて実感しました。」

Page Top