2017年7月13日(木)

なぜ? 夏の子どもツアー“中止”

桑子
「花火にキャンプ、虫とりに海水浴場。
もうすぐ夏休みですね。
計画を立てている人も多いと思いますが、その計画を見直さなくてはならない子どもたちがいます。」

有馬
「各地の自治体が子ども向けに実施してきた夏休みの研修やツアーが、相次いで中止に追い込まれているんです。
いったい何が起きているんでしょうか。」

夏の子どもツアー“中止” 全国各地で…なぜ?

栗原リポーター
「神奈川県山北町のキャンプ場です。
今月(7月)、この場所で行われる予定だった子ども向けの野外研修が中止になりました。」

中止になった野外研修。
神奈川県二宮町の教育委員会が町内の子ども向けに企画し、1泊2日の日程で、料金は食費などを含め3,000円でした。

キャンプや川遊びなどを体験。
家庭の事情などで旅行に出かける機会がない子どもたちに夏休みの思い出を作ってほしいと、40年以上、続けてきました。

キャンプ場の三尋木裕介(みひろぎ・ゆうすけ)さんです。
子どもたちが訪れるのを楽しみにしていた中での、中止の知らせに…。

丹沢湖ロッヂ 三尋木裕介さん
「子どもたちの大切な夏のイベント。
大人へ成長するための大切なイベント。
すごくがっかりしたのは正直なところ。」

野外研修は、なぜ中止になったのでしょうか。
鍵となるのが旅行業法です。

不特定多数の人を対象に国内旅行を実施する場合、都道府県への登録を義務づけています。
例えば、学校の修学旅行や職場の慰安旅行など、顔見知りどうしの場合は登録の必要はありませんが、今回のケースは町の教育委員会が町内に住む小学生を対象に広く参加者を募集したため、法律に違反するおそれがあるということです。
同じような理由で、この夏、自治体が主催する子ども向けのツアーに中止などの影響が出たケースは、全国で少なくとも11件に上っています。

“準備していたのに…”

子どもたちはどう受け止めたのでしょうか。
神奈川県二宮町の小学6年生、鈴木あやめさんです。
山北町で予定されていた野外研修に参加を申し込んでいました。

鈴木あやめさん
「中学生になったら友だちと離れちゃうから、最後にみんなで行きたいなと。」

「無くなったと聞いてどうだった?」

鈴木あやめさん
「すごくイヤ、イヤだーっ。」

事前のオリエンテーションにも出席したあやめさん。
研修に向け、さまざまな準備を進めていました。

鈴木あやめさん
「クマが来ちゃうから、クマよけの鈴。
友だちとみんなでおそろいで買った。」

川遊び用の靴も新たに購入。
その後、中止が決まったということです。
2人の幼い妹がいるあやめさん。
家族そろって旅行に出かける機会はほとんどないといいます。

母親 鈴木若葉さん
「こういうイベントはすごく貴重で大事。
だからすごく残念。
何とか復活させてほしい。」

鈴木あやめさん
「みんなで歌を歌ってキャンプファイア。
すごく楽しみにしていて、みんなで。」

企画した自治体は

今回の研修を企画した二宮町の教育委員会。
先月、旅行業法に違反するおそれのある行事を行わないよう神奈川県から通達を受けていました。
しかし、この野外研修が該当することに気がつかなかったとしています。

二宮町教委 生涯学習課 椎野文彦課長
「(子どもたちは)突然中止になって、とても残念な気持ちになっている。
申し訳ない。
勉強不足、認識不足があったとは思うが、(国・県から)具体的に通知してもらえればありがたかった。」

観光庁「あらためて徹底を」

観光庁は、法律の規定が自治体に十分認識されていなかったとして、近く全国の自治体に通知を出し、法律を順守するよう改めて周知を図る方針です。

観光庁 観光産業課 黒須卓参事官
「自治体、旅行業界、地域という中で、法の趣旨を守り、やっていけることを目指したい。」

長年子どもたちを受け入れてきた三尋木(みひろぎ)さん。
かつて研修で育った子どもたちが今、ボランティアとして参加するなど、世代をつなぐ交流も生まれてきただけに、今回の中止をより残念に感じています。

丹沢湖ロッヂ 三尋木裕介さん
「(OB・OGが)大きな声を張り上げ盛り上げている姿は見ていて感動的な場面。
今年はそれが見れないのが残念。」

夏の子どもツアー“中止”

桑子
「キャンプ場もご家族も、なにより子どもたちが楽しみにしているイベントですよね。
どうしたらいいんでしょうか。」

有馬
「子どもたちの期待に応えるには法律にのっとってやるしかないわけです。
ただし、ハードルはそれほど低くないんです。
その法律がこちら。」

桑子
「『旅行業法』、昭和27年の施行なんですね。」

有馬
「けっこう古い法律ですよね。
このように義務があります。
『旅行業務取扱管理者』を配置しないといけない。
そして『営業保証金』を法務局に預けることを義務づけているんです。
しかしこちらは『国家資格』。
そして、保証金は…。」

桑子
「最低でも100万円必要なんですか、なかなか大変ですね。
しかも国家資格というのは、ハードルは確かに高いですね。」

有馬
「自治体でやろうとするとかなり大変ですよね。
ですから、旅行業者に委託してツアーを実施する自治体もあるそうなんです。
ただしコストがかかります。
そうすると、これまでのように低価格にはならないかもしれないわけです。」

桑子
「キャンプ場の方がおっしゃってましたが、子どもたちにとって大人に成長するための本当に大切な機会です。
何とかならないものかと思いますね。」

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