2018年1月4日(木)

海外メディア初 緊迫の南北最前線

桑子
「2日付けの韓国の新聞、『朝鮮日報』です。
北朝鮮のキム委員長の右手には核のボタン、左手にはオリンピックのマークが描かれています。」

有馬
「この風刺画、キム委員長の元日の演説を描いたものです。
核兵器で威嚇する一方、韓国には関係改善のメッセージを出し、事態に変化も見え始めています。
その北朝鮮の情勢、今年(2018年)はどうなっていくのか。
その手がかりを探ろうと、軍事境界線を隔てて北朝鮮と向き合う韓国側の最前線『キョドン島』に、海外メディアとして初めて取材で入りました。」

厳戒 最前線の島

有馬
「軍事境界線近くに来ました。
川の対岸が北朝鮮です。
その軍事境界線近くにある島に、これから渡ります。」

向かったのは、北朝鮮からわずか3キロの位置にある島、韓国のキョドン島です。

有馬
「監視小屋の数、ぐっと増えてきました。
島に近づいてくると分かるんですが、この島全体が鉄条網のフェンスで囲われている様子が分かります。」

島に駐屯する韓国軍の部隊です。
交渉の末、その様子を取材することが許可されました。

有馬
「今、この鉄条網のフェンスのパトロールを海兵隊が行っているところです。」

こうしたパトロールは毎日行われ、対岸の北朝鮮の動きに監視の目を光らせています。
当初、元日の取材を予定していたのですが、韓国軍が急きょ、島に入ることを禁じ、一昨日(2日)になって取材が許されました。

ベールの向こうの現実

島から見える北朝鮮には、どんな光景が広がっているのか。
対岸を一望する高台に向かいました。

有馬
「建物が点在しています。
集合住宅のようにも見えるし、村なんでしょうか…。」

人の姿は見えないのかと思っていましたが…。

有馬
「あ、見えた、2人見える。
あ、自転車だ。
走ってる走ってる。」

有馬
「ボールが見えた、サッカーだ。
子どもたちがボールを追いかけていますね。」

有馬
「これ、監視小屋ですね。
人が動いているのが確認できます。
向こうからこっちも見てるのかな。」

氷点下7度の寒さの中、川に入り、漁をしているような人の姿もありました。
島に暮らす男性です。
この島から見える北朝鮮の「変化」を、年々強く感じるようになったといいます。

島に暮らす男性
「燃料にしようと木を切り倒したせいで、山がはげてしまった。
海辺の明かりも全く見えない。
電気が足りないからだ。」

続く南北の“応酬”

核開発と並行して経済立て直しを進めるという北朝鮮。
そこに生きる人々の厳しい暮らしを、かいま見た気がしました。
では、島の人たちはどんな思いで暮らしてきたんでしょうか。

島の人口は、およそ3,000人。
新年を祝う和やかな催しが行われていました。
しかし、その雰囲気とは裏腹に、多くの島民が口にしたのは北朝鮮への警戒心でした。

島民
「何を爆発させるのか分からず、信頼できない。」

島民
「常にハラハラしている。
寝ている時も何か起きるのではと心配だが、ここで暮らすしかない。」

取材をしていると、どこか遠くで音が響くのが聞こえてきました。

有馬
「音楽、聞こえますかね…。
韓国側から北朝鮮の方に向けた宣伝放送が今、聞こえてます。」

北朝鮮の外では自由と豊かさがあることを知らせ、キム・ジョンウン政権を揺さぶるためだといいます。

有馬
「優しい音楽ですね。」

しばらくすると、北朝鮮の方からも不気味な音が聞こえてきました。

“英雄的な…革命的な歴史を…”

自らの体制が盤石だと、韓国に誇示するかのような内容。
宣伝放送の応酬が繰り広げられていました。
夜になると、こうした放送は、この一帯に響きわたります。

有馬
「時間は朝3時を回ったところなんですけれども、北朝鮮の宣伝放送が先ほどからまた始まりました。」

“キム・ジョンウン将軍の不敗の偉業を、高く轟(とどろ)かせていく”

有馬
「人も動物も寝静まっているようなこの時間なんですが、誰に向けて語りかけているんだろうかと、そんな気がします。」

3年前、この宣伝放送をきっかけに、一触即発の事態が起きました。
北朝鮮が韓国側の宣伝放送に反発し、いつでも戦闘が可能な「準戦時状態」を宣言。
キョドン島は大混乱に陥ったのです。

有事への備え 着々と

島では、万が一の事態に備える動きが広がっています。

有馬
「草が盛ってあって、周囲と溶け込むようにできているんですね。」

島民が有事の際に逃げ込むシェルターです。
今、島には、こうしたシェルターが7つもあるといいます。
今回、特別な許可を得て、去年(2017年)できたばかりのシェルターの内部を撮影することができました。
コンクリートでできた壁の厚さは50センチ。
140人余りが避難することができるといいます。

有馬
「ガスマスクも常備されていると。
ドキっとするような常備品ですけどね。

本当にリアルに、危機に備えているシェルターだとよく分かります。」

緊迫の軍事境界線

桑子
「いつ何が起こるか分からない緊迫感がよく伝わってきました。」

有馬
「日常の中に、緊張や緊迫感があるんですよね。
では、そのキョドン島がどんなところなのか、こちらの地図で見ていきたいと思います。

朝鮮半島のこの部分をわかりやすくしたのが、こちらのジオラマです。

南北分断の象徴とされるのが『パンムンジョム』。」

桑子
「先日、北朝鮮の兵士が脱北した時に逃げ込んだ場所ですよね。」

有馬
「そうです。
そのど真ん中、北緯38度の付近を、黄色い線=軍事境界線が東西に走っています。
この軍事境界線の南北にそれぞれ2キロが、非武装地帯となっています。

そして今回取材したキョドン島は、こちら。」

桑子
「軍事境界線のすぐ南ですよね。」

有馬
「そうなんです、わずか3キロ。
北朝鮮は、この非武装地帯のすぐ外側に長距離砲などの兵器を配備しているんです。
いつでも韓国を攻撃できるようにしているわけです。」

桑子
「地図を見ると、韓国の首都・ソウルも近いですね。」

有馬
「軍事境界線からわずか30キロ余りのところにあります。
なので、こうしたシェルターがあるのは、キョドン島だけではないんです。
ソウルをはじめ、韓国全土におよそ1万9,000か所あるんです。」

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