2018年1月9日(火)

ライバルに禁止薬物

桑子
「オリンピック種目、カヌー・スプリントで、日本代表を目指す選手があるまじき行為です。」

有馬
「ライバル選手の飲み物に薬物を入れて、ドーピング違反の処分に陥れていたんです。」

ライバルに禁止薬物 東京五輪目指す選手が

日本カヌー連盟 古谷利彦専務理事
「日本代表たる地位を争う立場の鈴木選手が、ライバル選手に禁止薬物を投与し、規定違反によって、その成績を失効させた、前代未聞の事案。
このたびは誠に申し訳ございませんでした。」



日本カヌー連盟の幹部が、“前代未聞”と謝罪した理由。
それは、32歳の鈴木康大選手がとった行動にありました。
去年(2017年)9月、石川県で行われた、カヌー・スプリントの日本選手権。
鈴木選手は、同じ種目に出場した小松正治選手の飲み物に禁止薬物を入れていたのです。

この飲み物を飲んだ小松選手は、レース後のドーピング検査で陽性反応を示し、JADA=日本アンチドーピング機構から、暫定的な資格停止処分を受けていました。
なぜ、このような問題が起きたのか。

日本カヌー連盟 古谷利彦専務理事
「地元での五輪にぜひ出たいという焦りがあったと思う。」

連盟によりますと、鈴木選手は、小松選手がドーピング検査で陽性になれば、自らが東京オリンピックの代表に選ばれる可能性が高まると考え、小松選手を陥れようと、禁止薬物を混入したということです。
福島県二本松市を拠点に活動していた、鈴木選手。
最後のチャンスと考えていた一昨年(2016年)のリオデジャネイロオリンピックに出場できず、一度は引退したものの、妻から改めて挑戦するよう促され、競技に復帰したと、県の広報誌は紹介していました。

鈴木選手の妻の父親
「一度は引退したものの、東京五輪でなんとか頑張りたい。
ただ、実力が落ちたのだろう。
『どうしても勝ちたい、出場出来るならしたいという気持ちから』と言っていた。」


薬物は、どのように混入したのか。
鈴木選手は、JADAが出した別の競技でのドーピングの報告で禁止薬物のことを知り、去年8月、インターネットを使って購入。
例年、ドーピング検査が行われる日本選手権に錠剤タイプの薬物1錠を砕いた状態で小瓶に入れて持ち込んだといいます。
そして…。

日本カヌー連盟 古谷利彦専務理事
「鈴木選手は一緒に遠征するなかで、小松選手が使っているボトルも見分けがつくので、これはきっと小松選手のだということで混入されたと聞いている。」

混入は、小松選手が水上にいる間に持ち出し、周囲の目が届かないロッカールームに持ち込んで薬物を混入させたということです。
その後、協会が調査を続けたところ、去年11月になって、自ら混入したことを認めていました。

日本カヌー連盟 古谷利彦専務理事
「『今回の薬物については、私が投与したんだ。やってしまった後、こわくなって、どうしていいかわからなくなった。全面的に私の愚かな至らない点、私の弱い部分のために』と言っていた。」

さらに鈴木選手は、複数のライバル選手の練習や競技で使用する道具を盗むなどの妨害行為を繰り返し行っていたことも認めました。
JADAは、鈴木選手を8年間の資格停止処分に。
一方、小松選手に出されていた暫定的な資格停止処分は取り消しました。
被害を受けた小松選手は、被害届を提出。
警察が詳しいいきさつなどを調べています。
日本カヌー連盟は再発防止策として、今後、連盟が主催する競技会で禁止薬物の混入を防ぐため、選手の飲み物を預かって保管する専門の部署となる「ドリンク保管所」を設けるなど、対策に乗り出すことにしました。
ライバル選手など、他者からの禁止物質の混入によってドーピング違反が発生したケースは、国内ではこれが初めてです。

陥れる行為は過去にも

ライバルを陥れる行為は、過去にも。

1994年、リレハンメルオリンピックの出場を争った、アメリカ女子フィギュアスケートのトーニャ・ハーディング選手と、ナンシー・ケリガン選手。
オリンピックの有力候補だったケリガン選手が、代表選考会を前にした練習後に襲撃され、けがをします。
この事件で逮捕されたのが、ハーディング選手の前の夫ら。
前の夫は、「襲撃計画には、当初からハーディング選手も加わっていた」と証言しました。
オリンピックには、両選手とも出場しましたが、ケリガン選手が銀メダルを獲得した一方、ハーディング選手は8位に終わりました。
スポーツ倫理の専門家は、問題の背景について、次のように指摘しています。

早稲田大学 友添秀則教授
「今まで以上にハイレベルの競争が、五輪が近づくにつれ、いっそう激しさを伴う。
敗北をしたという自分自身を、どのように受け入れるか。
これは非常に難しい。
今回も、その受け入れがうまくいかなかった事例のひとつだ。
負ける選手のケアをどのようにしていくか、団体・組織の中で、しっかりと考えていかないといけない。」

五輪 金メダリストは

陸上ハンマー投げの元選手で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のスポーツ局長を務める、この人は。

陸上ハンマー投げ 元選手 室伏広治さん
「本当に自分のスポーツが好きであれば、自分のスポーツを汚すようなことをすることは、もってのほか。
スポーツの尊厳、価値を保っていくべき、許されることではない。」

正々堂々フェアプレーを

桑子
「本当におっしゃる通りですよね。
地元の東京のオリンピックに何としてでも出たいというのは、どの選手もみなさん一緒だと思いますけど、でも、今回のようなことは絶対にあってはいけないことですよね。」

有馬
「不正をして日本代表になってどうするのかっていうふうに思いますよね。
スポーツですから、競技で正々堂々と決めてほしいと思います。」

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