2018年3月2日(金)

桑子が聞く! 吉永小百合さん

今年(2018年)映画デビューから60年目を迎えた、俳優、吉永小百合さん。
120本目の出演となる最新作では、戦中から戦後の激動の時代、息子を守り、懸命に生きた母親の役を演じました。



桑子
「映画俳優として、120人の女性の人生を演じてこられた吉永さん。
『一つの道を貫く』こと、そして『美しく生きる』ことへの思いを聞きました。」

デビュー60年目 “節目”迎えて

桑子
「はじめまして、桑子と申します。」

吉永小百合さん
「はじめまして、吉永です。
どうも今日はありがとうございます。」

桑子
「よろしくお願いいたします。」

吉永小百合さん
「よろしくお願いいたします。
ずっと11時台のニュースの時から、ずっと拝見していて、大変ファンなんで。」

桑子
「いや、そんな。」

吉永小百合さん
「よろしくお願いします。」

桑子
「恐縮です、ありがとうございます。」

桑子
「今回は、映画のデビュー60年目で120作目の映画が公開となります。
吉永さんご自身の中でも、やっぱり1つ節目というものを感じていらっしゃるんですか?」

吉永小百合さん
「そうですね、よくここまでたどり着いたという思いが、今しているんですね。
長かったような、短かったような、自分でも不思議な感覚なんですけれども、なかなかね、もうやるのも演じるのも、だんだん年を重ねると難しくなってはいくんですけれどもね、120本で幕を下ろそうか、ピリオドを打とうかっていうことも考えなくはなかったんですけれども、この辺でやめた方が、自分としては楽なのかしらということを考えたんですね。
ただ、やっぱり、もう少しやっていたいなという思いの方が強く、今なっています。」

高倉健さんとの出会い

1959年、14歳の時に映画デビューした、吉永さん。
デビューから、わずか3年で主演を務め、一躍、国民的スターに駆け上がりました。
しかし、多い時には、年に10本以上の映画への出演が続き、演じることに悩みを抱えるようになったと言います。

吉永小百合さん
「中学2年生の時に初めて映画に出て、最初はアルバイトのつもりで日活の映画会社に入ったんですよね。
だけど、とっても忙しくて、ただただ夢中でやってきて、それで20代になって大人の役をやらなければならない時になったのに、自分はまだそこまでいろいろいってなくて、レベルが。」

桑子
「気持ちの面で?」

吉永小百合さん
「そうですね。
レベルも上になれなくて、とても悩んで、声が出なくなったりして本当に落ち込んだんですけど。」

そんな吉永さんにとって、転機となったのは、30代半ばでの高倉健さんとの共演でした。
特に印象深いと語るのが、このシーンです。

“東京へ帰りましょう。”

“私を抱いて。
お願い。”

撮影前、高倉さんが誰とも話さず役作りに没頭する姿を見て、役に向き合うことの奥深さを感じたと言います。

吉永小百合さん
「お会いしてみて、集中力というのが本当にすばらしくて。」

桑子
「集中力が。」

吉永小百合さん
「はい。
ワンカット、ワンカット、全て役を表現するためにやっていらっしゃる。
1年を通しての1つの役を自分の中にきちっと持っていらっしゃる。
それがぶれない。
『像』ですね。
彫像というか、まあ仏像ではないんだけど、運慶じゃないけど、そういう感じの『像』。
1つの映画にかける情熱というのをそこで感じて、『そうだ私、もう1回、映画の世界でしっかり生きてみよう』というふうに思ったんですね。」

いまも“一歩でも前に”

桑子
「これまで120人の女性を演じてこられて、どれも芯が通っていて、何か1つのことを貫こうとする女性という印象が強いんですね。
それは吉永さんがご自身でそういう役を選ぶというか、受けるようにされているんですか?」

吉永小百合さん
「そうですね、やっぱりそういう役が好きなんですね。
自分の性格も、将棋でいうと香車みたいなところがあるので、やっぱりひたむきに前に進もうとする女性に憧れるし、どうしてもそういう役を演じたがるとこあるんですけどね。
前に虚言癖のある役っていうのをオファーいただいたんですけど、やっぱりうそはつきたくないなと思って、お断りしてしまったんですけども。」

桑子
「納得がいかないと、やっぱりできないっていうところなんですね。」

吉永小百合さん
「『どうして私こんなにだめなんだろう』と思いながらやることもありますし、映画が終わってから、『はぁ、もう1回、シーン1から撮り直してもらいたい』と思うこともあるんですよ、本当のことを言うと。
やっぱり好きだから、少しでも一歩でも前に歩いて行きたいと思う。
そうすると、何かだめな部分も自分で許せるし、今回だめだったから、次はもうちょっと進歩したいなとか思えるんですよね。」

120作目となった今回の作品でも、演じることに新たな発見があったといいます。

吉永小百合さん
「とってもたくましくて、肝っ玉母さんですよね。
1人で生きていきなさいっていうふうに、獅子が子どもを谷底に落とすような言い方をして子どもを自立させようとする、とても強い母親で、こんなに強い母親は今までやったことなかったんですね。
やってて、とても楽しかったんです。
それは堺さんと私の演技のしかたが違うんで、『ああ、こういうふうに演じるのね』っていうことを堺さんのお芝居を観ながら、それを受け止めていくという、いつもそういうキャッチボールがあったんですね。
昔、若いころはピッチャーだったんですよね。」

桑子
「ピッチャー?」

吉永小百合さん
「はい。」

桑子
「投げる方?」

吉永小百合さん
「もう直球しか投げられないピッチャーだった。
それで今は、どちらかというとキャッチャーですね。」

桑子
「受け止める側ですか?」

吉永小百合さん
「そうですね、相手の方がどういうお芝居をするかによって、自分はそれを受け止める楽しさというのがありますね。
やっぱり年を重ねてきて、そうじゃない部分も必要かしらと思うし、監督やその共演者の方に寄り添っていくということが、とても大事というふうに思うようになったんですね。」

“凛とした女性”とは

デビューから60年目を迎えてなお、1つの道を歩み続ける吉永さんに、どうしても聞きたいことがありました。

桑子
「多くの女性が、本当に憧れる対象である吉永さんに、これは伺いたいなと思って。
凛とした女性であるためには、どうしたらいいでしょうか?」

吉永小百合さん
「いや、凛としていたいと思うんですけれども、ただ1つ、私が映画をもう1回やってみようと思ってから決めたことは、『はい』と『いいえ』をきちんと自分で言えるようになることだったんですね。
そういう中で仕事を選んでいけば、ずっと次につながるんじゃないかなと思いまして、うまくいけばいいけども、だめだった場合に、逆にこう落ち込んじゃうんだけど、今は自分で選んでやっているから、全て納得なので、そういう意味で、やっぱり自分で決めるっていうことが大事かしらと思いますね。」

桑子が聞く! 吉永小百合さん

有馬
「『全て納得して、自分で決める』。
凛とした美しさの秘密を聞いたように思いました。」

桑子
「インタビューの時間は、穏やかで、優しさに包み込まれているようなひと時だったんですけど、その言葉、表情、そして瞳は、本当に真っ直ぐなんですよね。
自分に正直な吉永さんの素顔を見せていただいた気がしました。」

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