2018年9月5日(水)

“機能停止” 関西空港


台風で機能が停止し、孤立状態に陥った関西空港。
一夜明け、取材クルーが中に入りました。




今井翔馬リポーター
「関空のターミナルビル前に来ました。
大きな荷物を持った、たくさんの人が列を作っています。
向こうまでいます。
かなり長い列です。」

“機能停止” 関西空港 空港で何が?孤立解消も…

ターミナルビル前には空港で夜を明かした人たちの長い列。
空港島の外に向かう船やバスを待っていました。

「5時半から待っている。
乗れるのは12時くらいかな。」

昨日(4日)、関西地方を直撃した台風21号。
日本の空の玄関口の1つ、関西空港では滑走路が浸水。
陸側とつながる連絡橋は強風で流されたタンカーが衝突して壊れ…。




ターミナルでは一部で停電が発生し、空港全体が閉鎖される事態に。
利用客およそ3,000人が取り残されました。

昨日午後1時半ごろ、まだ見えていた滑走路。
わずか1時間ほど後には水に浸かっています。

水は、ターミナルビルのすぐ近くにまで押し寄せました。
その様子を撮影していた人がいました。

関西空港にいた女性
「上が中庭みたいなところで、下にいけば荷物を置いているところ。
その荷物を置いているところに全部、雨が流れ込んでいる状態で。」

今井リポーター
「本当、滝みたいになっていますね。」

関西空港にいた女性
「まさかこんなことになるとは思ってなかった。
1階にいる係員は水が来ているので上に避難していた。」

関西空港にいた女性
「関空が沈むかと思った。
命の危機を感じました。」

空港内に残された人たちはどんな一夜を過ごしたのか。

今井リポーター
「空港の中、今も、電気が通ってないようです。
クーラーがついていないので、かなり蒸し暑いですね。」

暑さの中、ぐったりとしている人たち。

中国からの観光客
「疲れた。」

さらに進んでいくと…。

今井リポーター
「滑走路が見えるロビーに来ていますが、大きくまだ水だまりのように水が残っているところがあります。」

昨日浸水した滑走路にはまだ、水が残っていました。

近くにいた人は。

近くにいた女性
「あの辺も湖かなと思いました。
今見えてるので、滑走路だったんだと。
初めてですよね、関空こんなふうになるの。」

多くの人が不安な夜を過ごしたのです。

そして、今朝(5日朝)。
午前6時半頃からは、高速船で神戸空港に行けるように。

船に乗り込む男性
「(昨夜は)あんまり寝付けなかったです。
やっと帰れるなと。」

また、午前9時過ぎからは、およそ20時間ぶりに連絡橋の通行が可能に。
バスでも利用客などを対岸に運び始めました。
しかし…。

今井リポーター
「ここが船を待つ最後尾です。
ここから、ずらっとたくさんの人の行列ができています。」

高速船の乗り場に向かうバスに乗るだけでも、ひたすら待たされる状況に。

今井リポーター
「どれくらいかかりそうですかね?」

待つ利用客
「わからないですが、大丈夫かな。
子どもがいるから。」

待つ利用客
「乗れればいいのですが。
4時間ぐらい待っている。」

連絡橋を通って対岸に向かうバスに乗ったとしても通行できる車の数は大幅に制限されています。

今井リポーター
「この列先がつづいていて、進む気配はありません。」

今井リポーター
「どれくらい動いていないですか?』

バスに乗っている女性
「2時間。」

関西空港の運営会社は午後8時前から会見を開きました。

関西空港の運営会社 関西エアポート 西尾裕専務執行役員
「甚大な被害をもたらした台風で、われわれも戸惑っている。
皆様に非常にご迷惑をかけていることは、承知しています。」

“機能停止” 関西空港

桑子
「関西地方を直撃した台風21号。
海の上に作られ、今も混乱が続いているこの関西空港で、何が起こっていたのか、徐々に明らかになってきました。

こちら、模型を使って見ていきます。
関西空港は、海の上に作られた島になっています。
唯一この『連絡橋』で陸地とつながっています。



昨日の午後、この連絡橋に、風であおられたタンカーが衝突。
橋が破損して、空港にいた人たちの孤立が長期化することにもつながりました。
さらに、2つある島のうち『A滑走路』のある島の大部分が浸水。
この浸水によって、ターミナルでは停電が起きたところもあり、航空機の発着などに使われる『無線施設』の一部も浸水しました。
なぜ、こちらの島だけが浸水したのか。
立体的にした模型で説明します。
色が赤いほど標高が高いことを表している。
断面を見てみますと、浸水した島の方が、極端に低いことが分かります。
空港の運営会社は『防潮壁』を作るなど対策を進めてはきたんですが、今回の被害の発生は想定を超えていたということです。」

“機能停止” 関西空港 なぜ浸水? 対策は?

閉鎖が続く関西空港。
浸水被害はどのようにして起きたのか。
高潮などの災害に詳しい専門家は。

高潮など災害に詳しい 早稲田大学 柴山知也教授
「今回の台風は移動速度が非常に速かった。
台風の移動に伴い、強い風が吹いて、一気に『吹き寄せ』によって高潮が発生した。
空港は基本的に5メートルの津波に対する防潮堤で守られているが、それを超えて水が入ってくるほどに、急速に水位が高まった。」

満潮に向かい、水位が上昇していた大阪湾。
そこに台風が接近して気圧が低下、海水が吸い上げられて海面が上昇します。
台風の強い風によって海水が吹き寄せられて、さらに海面が上昇。
海水が防潮壁を越えて流れ込んだのです。

世界で初めて、海上に建設された関西空港では、過去にも台風の接近に伴い、滑走路が水に浸かる被害が。
地盤が軟弱なため、最も大きい場所で4メートル余り地盤が沈んでいて、これまで防潮壁を高くする工事などを行ってきました。
現在は、海面からおよそ5メートルの高さの防潮壁が整備され、これにより、大阪湾で過去にあった最も高い高潮や、さらに50年に1度の高波が来ても浸水を防げるとしていました。

“機能停止” 関西空港 衝突タンカーは”走錨”か

そして、関西空港をひと晩、孤立状態に陥れた連絡橋へのタンカーの衝突事故。
民間のホームページに記録された航跡では、タンカーは徐々にスピードをあげながら北の方向に流されていき、時速およそ8キロで連絡橋に衝突しました。
その少し前、午後1時すぎの現場の映像です。
流されていく船の影が映っていました。
3時間前には、連絡橋の手前に1隻の船が停泊している様子がわかります。
ほぼ同じ位置から流されていく船の影。
橋に衝突したタンカーとみられます。

衝突によって連絡橋の道路は大きくずれ、通行できなくなりました。

専門家は、強い風や波の影響で、海底に下ろしていた錨や鎖ごと、船が流されてしまう、「走錨(そうびょう)」と呼ばれる現象が起きた可能性が高いと指摘しています。

船舶の事故に詳しい 神戸大学大学院 若林伸和教授
「今回の台風は非常に強い勢力で、風がとても強かった。
予想以上の風がきて錨が耐えきれなくなった。
非常に短時間の間に、反対方向に回るような風の変化があり、なかなか船も十分に対応する時間がなかった。
(台風の)情報を得た時点で、安全な所に移動させておくことが必要だった。」

“機能停止” 関西空港 観光の一大拠点が混乱

羽田、成田に次ぐ旅客数をほこる関西空港。
1日平均、7万8,000人余りが利用しています。
世界80以上の都市との間で国際線が就航する、観光の一大拠点です。
一部で停電が続き、携帯電話もつながりにくくなっている中、外国人観光客にも不安が広がっていました。

フランスからの観光客
「家族に電話する手段もない。」

フランスからの観光客
「空港について何も情報がないんだ。
どうしていいか分からない。」

国土交通省によりますと、高潮で、航空機の発着などに使われる無線施設の一部が浸水したため、現在、点検や復旧を進めています。
また、航空会社のコンピューターシステムも一部で支障が出ているほか、乗客から預かった手荷物を旅客機ごとに自動で仕分けるシステムの一部も使えなくなっているということです。

“機能停止” 関西空港 経済活動に影響

一方、物流の一大拠点でもある関西空港の閉鎖で、経済活動にも影響が。
日本郵便は、国際郵便や長距離の国内郵便などに関西空港からの航空便を利用していますが、ほかの空港やトラック輸送に切り替えました。
この影響で、一部の配達に遅れが出る可能性があるということです。
また、関西空港は半導体部品などの輸出拠点となっていて、メーカーの間では、ほかの空港からの出荷に切り替える動きが相次いでいます。

三菱UFJ銀行経済調査室 吉村晃調査役
「関空が長期間使えなくなったことで停滞してしまうことは、関西経済のみならず、日本経済全体にとっても一定程度のインパクトがある。」

関西空港の再開の見通しについて、空港の運営会社は。

関西空港の運営会社 関西エアポート 西尾裕専務執行役員
「機械が水没したりもしているので、点検に時間がかかっている。
今のところ再開のめどはありません。」

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