2018年9月10日(月)

住宅地の“成り立ち”に潜むリスク

桑子
「北海道で震度7を観測した地震で亡くなった方は、41人となりました。
今回の地震で生じたさまざまな被害、その検証も始まっています。」

有馬
「このうち、ニュースウオッチ9が取材したのは、液状化の大きな被害が出た札幌市の住宅地です。
現場をつぶさに見ていくと、その“成り立ち”にリスクが潜んでいたことがわかりました。」

北海道地震“液状化” 被害の現場は

今井リポーター
「札幌市清田区です。
液状化現象が起こり、今もこの住宅街の一帯、広い範囲で今も通行止めの状態が続いています。
道路は陥没していたり、家が傾いたりしていて危険な状態だということです。」

人の背の高さ程まで陥没した道路。
大きく傾く住宅。
この地域では、地下水と泥や砂が混じって地表に噴き出す「液状化現象」が広範囲で発生。
倒壊のおそれなどがあり、立ち入りが危険とされる建物は一昨日(8日)までに83棟に上っています。

「地震が来てこんなことになるとは誰も思わない。
何をしていいかわからない。」

原因 住宅地の成り立ちに

今回、液状化の被害が起きたのは、海から離れた内陸部の札幌市清田区にある住宅地です。
画面の赤い点で示されたところが、被害が確認されたところです。
複数の点が、線状に連なっていることがわかります。
なぜ、このように並んでいるのか。

現地で液状化の原因を調べている、釜井俊孝(かまい・としたか)教授に同行しました。
釜井教授がまず指摘したのは、このあたりの地質です。

今井リポーター
「さらさらして、粒子もすごく小さい感じがしますね。」

京都大学防災研究所 釜井俊孝教授
「液状化しやすい土と言える。」

では、液状化の被害が線状に連なっているのは、なぜなのか。
釜井教授は、この住宅地の成り立ちにその理由があるといいます。

今井リポーター
「この青い印は何ですか?」

京都大学防災研究所 釜井俊孝教授
「青い印は昔の谷筋。
昔、谷があった。」

今井リポーター
「ちょうど今、谷筋の場所にいる?」

京都大学防災研究所 釜井俊孝教授
「かつての谷の真ん中にいる。
でも(今)、谷はない。
なぜないかというと、埋めたから。
埋めて平らにして、住宅地・道路に使っている。」

谷埋め造成した地形で…

先ほど示した被害場所を、1950年代の地図に重ねてみます。
青い線を引いた部分は、等高線から当時、谷間になっているとみられる部分。
被害が起こった場所と一致しています。

かつて、ここに川があったと証言する人に出会いました。

「沢ですよね。
見たとおり、ここが一番低いところ。
昔、国道に橋があって、ちゃんと川があった。」

現地で取材していても、かつての川の痕跡を見つけることができました。

今井リポーター
「こちらのマンホールのふた、『河』とありますね。
この地下に水路があって、もともとあった川がここを流れているんです。」

では、その川はどこにいったのか。
航空写真を、年代を追って見てみます。
1960年代、まだ谷は残ったままのように見えます。

ところが1980年代には、谷の一部が住宅地に。

そして最新の写真では、谷の様子はほとんどわからなくなります。

地元で生まれ育った、71歳の男性です。

男性
「だいぶ埋め立てた、宅地造成するときに。
昭和50年代初めに宅地造成して販売して、家が建って、現在に至っている。」

被害のメカニズムについて、釜井教授は次のように考えています。
周囲の尾根を削って、谷に埋める形で平らな広い土地が造成され、住宅地が開発されました。

ところが、この一帯は、火山の軽石や火山灰に広く覆われていたため、埋め立てた谷筋は密度が低く、液状化が発生しやすい地盤だといいます。
そこに大きな揺れが襲ったことで、以前、谷筋だった場所を中心に液状化が起きたと考えているのです。

京都大学防災研究所 釜井俊孝教授
「谷を埋めて造成した場所は、液状化が起きやすい。
容易に液状化する土が現場にあって、それが谷を埋めてしまった。
そのことが今回の液状化した原因。」

さらに、地震の前の日に北海道に接近した、台風21号の雨の影響を指摘する専門家も…。

電話:産業技術総合研究所 吉見雅行主任研究員
「もともと山を削って谷を埋めたようなところに雨が降ると、雨はもともとの地形にそって、地下水がどんどん集まるという性質を持つ。
盛り土の部分に水が多い状況で、揺れが襲った。
そのため、ふだんより非常に激しい液状化などの現象が起きやすかったのでは。」

“全国に同じような住宅地”

かつてあった谷筋に沿って、取材を進めてみると…。
崖下に転落した車を発見。
駐車場が崩れ転げ落ちたということです。

車の持ち主
「端に止めておいて、地震の土砂崩れで一緒に持っていかれてしまった。」

建物が傾いてしまったという住宅に入れてもらいました。

今井リポーター
「ガムテープ、置いてみただけでもかなり勢い良く転がっていきますね。」

また、壁にはいくつもの亀裂が入っていました。

住民
「恐怖で住めない。
住みたいけど、住めない。」

さらに、液状化による被害が2回目だという住宅も…。

住民
「外から見たら後ろ側に倒れている。
毎回、地震が震度5以上になったらこういう状態になる。」

実はこの地区では、15年前の平成15年の十勝沖地震の際にも同様に液状化が発生しています。

釜井教授は、全国には同じように谷を埋め立てて作られた住宅地は多く、液状化などの被害がでるおそれがあると言います。

京都大学防災研究所 釜井俊孝教授
「谷というか沢筋を埋めて住宅地を造るというのは、日本全国で行われている。
こういった問題はここだけの問題ではなくて、日本中の大都市のどこでも起きうる。
液状化だったり、地滑りだったり、土石流だったり。
われわれの住生活に脅威を与えているのが実態。」

液状化のハザードマップ

桑子
「全国各地で同じような住宅開発が行われているんですよね。」

有馬
「私の家は大丈夫だろうかと思われる方、いらっしゃるかもしれません。
こちらをご覧ください。
このような液状化のハザードマップを出している自治体もあるんです。
この場合、黄色や赤になっている部分が液状化発生の可能性が高い地域ということになります。」

桑子
「液状化というと、沿岸部や埋め立て地で発生しやすいという印象がありますが、こういった内陸でも液状化の危険性があるということが分かりますよね。」

有馬
「こういったものを参考にして、備える必要があります。」

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