2018年10月25日(木)

いじめ 第三者委員会 不信感抱く遺族も… 実態は

有馬
「いじめの件数が過去最多になりました。」

上原
「昨年度、全国の学校で確認されたのは41万件を超えました。
なかでも自殺や不登校に至った深刻なケース、『重大事態』は、前年度から2割も増えて474件にのぼっています。」

有馬
「こうしたケースで詳しい調査を担うのが『第三者委員会』です。
しかし取材をすると、この第三者委員会に、不信感をいだく遺族が少なくないことがわかりました。」

いじめ 第三者委員会 情報少なく不安募る遺族

名古屋市に住む齋藤信太郎さんです。
今年(2018年)1月、中学1年生の娘を自殺で亡くしています。

齋藤信太郎さん
「………。
とにかく今は、『何でだろう、何でだろう』しかない。
本当は、ゆっくりお休みとか言ってあげればいいんでしょうけど、
そういう言葉はかけてあげられなくて…。」

自殺の背景にいじめがあったのではないか。
齋藤さんは、第三者委員会の設置を求めました。

齋藤さんは、第三者委員会に対し、調査を進めるにあたり、情報を共有するよう求めた要望書を手渡しました。
しかし、具体的な返事がないまま、調査は進んでいたといいます。
これまでに委員会は7回開かれましたが、調査がどの程度行われたのか分からず、真相がどこまで明らかにされるのか、不安を抱えています。

齋藤信太郎さん
「遺族にとって、第三者委員会は“最後のとりで”のようなもの。
遺族だけ何にも情報もらえない。
現場に入ることもできない。
僕らは当事者だということを、分かってくれているのか。」

いじめ 第三者委員会 “遺族に寄り添った調査”

いじめ対策が大きく変わったのは、5年前(2013年)でした。
大津市で起きた中学生のいじめ自殺をきっかけに、「いじめ防止対策推進法」が成立。
こどもたちの尊厳を守ることを目的としてかかげ、事実を解明して、いじめの早期発見や防止がねらいとされました。

そこで設けられるのが、第三者委員会。
こどもが自殺を図るなど重大な事態が起きた場合に、遺族の求めに応じて設置されます。
学校や教育委員会と、被害を受けた子どもや保護者との間に入り、事実関係の調査などを行います。

大津市のいじめ自殺で設けられた第三者委員会で委員長を務めた、横山巌弁護士です。
今の第三者委員会には、本来の目的にかなっていないケースがあると指摘します。

横山巌弁護士
「ご遺族・生徒・保護者にしっかり寄り添ったうえで調査をしていくということが、いちばん根本としてあるが、置いてきぼりにされてしまっているケースが、非常に多い。
そのために、ご遺族・生徒側、被害者側と、信頼関係が構築できていない結果になっているのではないかと思います。」

いじめ 第三者委員会 不信感抱くケース 全国で

20年以上にわたり、いじめの実態調査を行っている民間団体の代表、武田さち子さんです。
この5年間で、全国に設置された第三者委員会の資料を、独自に集めてきました。
武田さんの調査によると、全国で67の第三者委員会が設置されていますが、中には、遺族側が委員会の解散を申し出るなど、機能していないケースも少なくないと言います。

教育評論家 武田さち子さん
「調査日数や対象が少ないと思われるような調査委員会もあります。
ひどいところになると、第三者委員会が立ち上がることさえ、情報として知らされていなかった遺族もいます。」


遺族に寄り添うはずの第三者委員会。
その結論に遺族が納得いかず、再調査に至ったケースは、11件にのぼっています。

いじめ 第三者委員会 不信感…再調査求めた遺族

大森七海さん。
4年前の7月4日、学校の昼休み中に姿を消し、4日後に海で遺体が発見されました。
母親の大森冬実さんです。
七海さんの部屋は、いまも当時のまま残してあります。

大森冬実さん
「掃除機をかけれなくて、娘の髪1本でもなくなってしまうような気がして。
ずっと掃除機をかけられなかった。」

七海さんの死後、すぐに第三者委員会による調査が始まり、大森さんへの聞き取りも行われました。
生前、本人からいじめを受けていると聞かされていた大森さん。
しかし、委員会の聞き取りで、いじめに関する質問はなく、本人や家族の育て方に問題があったと、責めるような内容だったといいます。

大森冬実さん
「そもそも、ぼろぼろだったところに、そんなふうに責められて、本当につらかった。」

さらに、第三者委員会の調査に事実と異なる部分があったため、間違いを指摘した大森さん。
しかし、そこでかけられたのは思いもよらぬことばでした。

大森冬実さん
「本当にいらいらした感じで委員長が、『私たちこの調査をして100時間を超えているんです』って。
『きょう、あなたたちがこの話をしたおかげで、8合目までいっていた、報告書が、3合目まで戻りました』と言われて。
そういうこと私たちに、言うのかなって。」


結局、第三者委員会がまとめた報告書には、間違った情報が記載されたまま。
自殺の直接的な原因も、いじめでないとされました。
その後、大森さんの求めで、委員を一新して再調査が実施されました。
すると、「いじめと自殺の間には一定の因果関係がある」と、結論が覆ったのです。

大森冬実さん
「一回目の調査委員の人たちの接し方と、二回目の調査委員の接し方が、全く違っっていた。
人が変わったら結果が変わること自体、おかしい。」

いじめ 第三者委員会 不信感抱く遺族

上原
「遺族にとっては、大切な我が子を失った悲しみに、さらに新たな苦しみが加わってしまう、あってはならないことだと思います。」

有馬
「第三者委員会が遺族に寄り添うという当初の考えを反映しているとは、今、とても言いがたいのが実態です。
いじめ防止対策の法律ができて5年、問題点を検証する時期がきたのではないでしょうか。」

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