2019年2月13日(水)

“私も殺していたかも…” 虐待・DV加害者の告白

桑子
「亡くなった栗原心愛さんの隣で、ほほ笑む父親。
日常的に虐待を繰り返していたと見られています。」

有馬
「この事件のように『自分も子どもを殺していたかもしれない』。
そう語る男性に、なぜ虐待を繰り返すのか、問いました。」

虐待・DV 男性の告白 “私も殺していたかも…”

20代 男性
「上の子が言うこと全然聞かなかったので、そのときに頭をつかんでパシャンと。
カッとなって子どもを風呂に沈めました。」

20代の男性です。
小学校に上がる前の2人の子どもと妻に、毎週のように暴力を振るってきたといいます。

20代 男性
「頭押さえつけて風呂に投げ倒した。
子どもは全身風呂の中に入っておぼれていた。」

およそ3年前、ささいな口げんかがきっかけで妻への暴力が始まり、やがて子どもを虐待するようになったといいます。

今井翔馬リポーター
「具体的にどんな暴力を振るっていた?」

20代 男性
「妻に対しては、顔をはたいたり、髪の毛ひっぱって引きずりまわしたり、蹴りとばしたり。
この間、顔をはたいたら前歯2本折れて、顔もすごく腫れたことがあった。」

妻と子どもは、男性の暴力が原因で取材の前日、家を出ました。
そして、男性はその日のうちに、心理カウンセラーのもとを訪れました。

男性は、栗原心愛さんが死亡した事件のあと、自らへの危機感を募らせていたといいます。

20代 男性
「自分も今、そういう状況をつくっているので、自分もそういうふうに子どもを殺してしまう可能性があるのが怖い。」

虐待・DV 男性の告白 なぜ…止められない暴力

今井リポーター
「どういう感情になって暴力を?」

20代 男性
「自分の中でイライラをためて不機嫌になって、自分の思いどおりにならないときに、なんて言うんですかね、あの感情…。
本当に我慢できなくて、それが手を出す感情になっている。」

日常の些細なことがきっかけになることもあったといいます。

20代 男性
「右利きだが、箸の置く向きが反対になっている、サラダにドレッシングがかかっていない、そういうことでイラッとする。」

その感情を子どもに向け、暴力を振るってしまったといいます。

20代 男性
「イライラしているときが、(子どもに)手を出すとき。
瞬間的な暴力。
たたいたり、突き飛ばしたり、転ばせたり。」

今井リポーター
「しつけの意味でたたく?」

20代 男性
「子どものしつけでなく、自分の感情で手を出す。」

虐待・DV 男性の告白 外では見せない“裏の顔”

男性は、職場ではまったく違う一面を見せているといいます。

20代 男性
「職場で理不尽なこと、筋が通っていなくても文句は言わない。
むしろ常に『すみません、すみません』と言って仕事している感じなので、家とは真逆かも。」

“普通”の父親の姿もかいま見えます。
携帯電話に保存されていたのは、たくさんの子どもたちの写真や動画。
地域の行事にも家族で参加していました。

20代 男性
「『いいパパやっているね』『イクメンだね』『ちゃんと家のことやってえらいね』とか、周りの目はいい家族、幸せそうな家族、そうみているのではないかと思うが、実際、裏面があるのは事実。
それでも子どもは慕ってくれるので、『たたいちゃってごめんね』と言うと、『いいよ』と言ってくれる。
たたいても蹴ってもはたいても、それでもかわいい声で『パパ』って言ってくれる。
悲しいですよね、自分がやっていることは…。」

虐待・DV 男性の告白 幼いころの体験が…

男性が相談に訪れた、心理カウンセラーの松林三樹夫さんです。

心理カウンセラー 松林三樹夫さん
「ごく一般的な男性。
加害男性だけど、特段、悪人とかひどい男性と思わない。」

カウンセリングを進めると、男性は幼い時、親から暴力を受けていたことを明かしたといいます。

心理カウンセラー 松林三樹夫さん
「彼も子どもの頃、どなられたり殴られたり、かなりある家で育った。」

松林さんは、それが子どもや妻への暴力の背景にあると伝えました。

20代 男性
「頻繁に母親に手を出されていた。
すごく僕にとって怖かったし、嫌だったし、自分の子には(同じ気持ちに)させたくない気持ちがある。」

今井リポーター
「気持ちがあるのに、手は出してしまう?」

20代 男性
「そうですね…。
なんで本当に、なんていうか、なりたくない自分になっている、今。」

今井リポーター
「彼はこれからどうしなければいけない?」

心理カウンセラー 松林三樹夫さん
「自分の怒りがどこからくるか、育ちの中の暴力が横行していた家庭の中でつくられた怒りだということは、彼に理解してもらう。
今度は妻や子どもと、どうやわらかい関係をつくっていくのか、怒りのコントロール方法を学んでもらう。」

虐待・DV 男性の告白 “更生の取り組み必要”

松林さんは、10年ほど前から虐待やDVなど暴力を振るう加害者、およそ200人のカウンセリングをしてきました。
虐待をなくすためには、被害者の保護だけでなく、原因である加害者の更生に取り組む必要があると指摘します。

心理カウンセラー 松林三樹夫さん
「野田の事件でも、少女が言ったことで親から離れて保護される。
離れている期間に、父親が暴力克服するためのカウンセリングやプログラム受けていない。
だから、また一緒になれば、またやりますよね。
(親と子を)離すだけでは加害者は変わらない、また繰り返す。
被害者と同じ数だけの加害者がいる。
虐待・DVの加害者を更生するためのカウンセリングをしっかり受けさせないと、それが全国に広まらないと、虐待問題、DV問題は解決しない。」

虐待・DV 男性の告白 “やめられないのはつらい”

虐待を繰り返していた男性。
暴力を止めることができない自分を責めています。

20代 男性
「自分がやってること、やめられないのはつらい。
それだけ罪悪感がある。」

今井リポーター
「どんな家族になりたい?」

20代 男性
「常に笑ってて、幸せであったかい家族。」

今井リポーター
「いまはどう?」

20代 男性
「全然、反対ですよね…。」

今井リポーター
「虐待やめたい?」

20代 男性
「やめたい、子どものためにも。
やめられると信じている、僕は。」

虐待・DV 加害者の告白

桑子
「どんな生い立ちや精神状態であれ、手を出してしまうというのはやっぱり許されないことですよね。
ただ、印象的だったのは、被害者の数だけ加害者がいるというお話でした。
加害者が変わらないと、子どもや妻と一緒に暮らすことはできないですよね。」

有馬
「子どもを保護しただけでは虐待は止まらない、ということですよね。
子どもたちのために加害者の更生が必要だ、という専門家の指摘は重要だと感じました。」

Page Top