2019年2月18日(月)

福島第一原発の周辺で… 外国人が「無断」で侵入

桑子
「こちらの看板、英語で『Caution=注意』『No Entry=入るな』と書かれています。
どこに置かれているのかと言いますと、福島第一原発の周辺で立ち入りが厳しく制限されている『帰還困難区域』です。」

有馬
「実は今、こうした『帰還困難区域』に無断で入り込む外国人が後を絶たないというのです。」

福島第一原発周辺に外国人が無許可で侵入 動画投稿

リポート:樽野章(NHK福島)

動画配信サイト、ユーチューブに投稿された映像です。
外国人と見られる複数の人物が、福島第一原発の周辺の帰還困難区域とみられる場所を防護服を着て走っています。
「捕まることは考えていない」との字幕が。

施設の中に入ると、中にあるものを物色する様子も。
笑い声が聞こえます。
施設の関係者や役場の職員が同行している様子はなく、無許可で立ち入っているものとみられます。

YouTubeより
“この家を撮影したいと思います”

ユーチューブに投稿された別の動画です。
住宅に入り込み、物をあさっています。
似たような動画は多数投稿されています。

無許可で侵入 動画撮影 動画配信大手でも

高橋篤史リポーター
「常磐道富岡インターチェンジを降りてすぐのところです。
3キロ先に帰還困難区域があること示す看板があります。
そして、その後ろ、英語で書かれています。
外国人に向けて注意を促す看板も、このように立てられています。」

国は外国人の無断立ち入りを防ごうと、「帰還困難区域」の道路など12か所に26枚の英語看板を設置。

ただ、無断で立ち入ったとみられるケースは後を絶ちません。
アメリカの動画配信大手の「ネットフリックス」は去年(2018年)、福島県の被災地を取材した動画を世界190の国と地域に公開。
富岡町の帰還困難区域の中にあるゲームセンターに侵入したとみられる様子を伝えました。

NETFLIX「世界の“現実”旅行」より
“ゲームセンターは大震災で今も手つかずのまま。
おもちゃがああして転がっているのは、かなり不気味ですね”

富岡町は、この映像は帰還困難区域に入る許可を受けずに撮影されたとしています。

富岡町 宮本皓一町長
「許可なしで入る、侵入するというのは、まったくの違反行為。
町としても看過できないことだと思う。」

ネットフリックスはNHKの取材に対し、「この作品はプロダクション会社によって制作され、弊社側には無許可であったとの連絡は行政側から頂いておらず、回答できかねます」としたうえで、「現時点でこの番組を取り下げる予定はありません」などとコメントしています。

福島第一原発周辺に外国人が無許可で侵入 住民の思いは

住民たちは、こうした動画をどう感じているのか。
富岡町で、原発事故の被災の経験を語り継ぐ活動をしている青木淑子さんです。
無許可で中に入る行為は、撮影者にどんな意図があろうと許せないと言います。

富岡町で語り部の活動 青木淑子さん
「町民の中でも、立ち入り禁止区域の中に家がある人は、ものすごく帰りたくても、入りたくても、自分の家に入るのにさまざまな手続きが必要。
手続きを踏んでわが家に入って、荒れていくわが家を見てがっかりして帰ってくる。
そういうことが今でも続いている。
それなのに許可も得ず、人の家、敷地に入るのは、土足で町を汚されている感じがしてすごく嫌。」

国は、新たな対策を検討しています。
ホームページなどに、帰還困難区域に立ち入るための手続きなどを説明する文章を英語で載せる方針です。

内閣府原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チーム 栗本聡参事官
「非常に遺憾。
(外国人への)情報提供などを強化していくかたちで取り組んでいきたい。」

“被災地の思い 理解して”外国人対象のツアーも

外国人に被災地の人たちの思いを理解してもらおうという動きも始まっています。
青木さんが語り部として同行している福島県の被災地をめぐるツアー。
この日は、首都圏に住む外国人を対象に行われました。

富岡町で語り部の活動 青木淑子さん
「地震があって津波があって、とにかく逃げろと言われ、なにがなんだか分からないけど逃げる。」

青木さんが案内したのは、富岡町の中でも原発の近くに位置する夜の森地区。
今も、一部を除いて、帰還困難区域です。
青木さんは、住民たちの思いを伝えます。

富岡町で語り部の活動 青木淑子さん
「そんなに簡単な被害、何年たったから終わりましたという被害ではない。
じわじわ、じわじわ来る被害だから。」

ツアーに参加した外国人
「時間によって完全に(町を)捨てることはできないですよね。」

ツアーに参加した中国人
「いろいろ見て人と話して、やはり地元の人はすごいなと。」

ツアーに参加したアメリカ人
「災害はまだ続いていると思う。
いつかここに人々が戻ってこられるといいね。」

青木さんは。

富岡町で語り部の活動 青木淑子さん
「まだまだのところも見てもらいたい、壊れてしまったところも見てもらいたい。
それは、いつでもきちっと申し込んでもらえたら案内する。
黙ってこっそりガードレールやバリケードを乗り越えて、こそこそ入るよりはずっと有意義な説明できる。
違法な入り方ではなく、マナーとルール守った入り方のほうが収穫は大きいと思う。」

福島第一原発周辺に外国人が

桑子
「青木さん、“ちゃんと聞いてくれれば、いつでも案内する”とおっしゃっていましたけれども、知ってほしくないのではなくて、正しく知ってほしいということですよね。」

有馬
「不謹慎な振る舞い、違法行為をするのは外国人に限ったことではないかもしれないのですが、こういう様子がネットを通じて世界に出ていくことで、福島の本当の今の姿がゆがめられて伝わることを地元の人たちは心配しているわけです。
私たちも正しい姿の発信に努めなければいけないなと思いました。」

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