2019年2月19日(火)

リュウグウノツカイの謎 世界初の快挙!

桑子
「深海魚の『リュウグウノツカイ』です。
竜宮城からの使者というミステリアスな名前のとおり、その生態は謎に包まれています。」

有馬
「今回、この謎の深海魚をめぐって世界で初めてだという快挙がありました。
舞台は沖縄。
取材班が現地に飛びました。」

深海魚「リュウグウノツカイ」 沖縄の海 2匹が定置網に

栗原リポーター
「沖縄県読谷村の漁港です。
この場所で先月(1月)、リュウグウノツカイが2匹発見されたということなのですが、どういう状況だったのでしょうか。」

栗原リポーター
「確かに見ました?」

「見ました!」

「でかくて、きれいで、たて泳ぎで泳いでいた。」

「漁師さんもみんなびっくりしていた。」

定置網にかかっていたという、2匹のリュウグウノツカイ。
なかにはこんな人も…。

漁協の組合長
「これは“竜宮から来た大漁の知らせ”だと僕らは感じた。」

栗原リポーター
「ここから穫れるぞって感じ?」

漁協の組合長
「そうですね。」

この男性、漁協の組合長です。
当時の状況を聞くと…。

漁協の組合長
「折れたものもあったが、折れたものは“味見”してみようと。」

栗原リポーター
「味見?」

漁協の組合長
「ちょっといただいて食べてみた。」

栗原リポーター
「味はどうでした?」

漁協の組合長
「味は“伊勢エビ”のお刺身のぷりっとした食感の、ちょっと“水っぽいバージョン”。
“おなか”の部分がおいしそうだったので切ろうかと思ったけど、生きていたので、かわいそうなので、しっぽの部分だけちょっと食べた。」

「おなかは食べなかった」という組合長。
これが実に重大な判断だったことは、後になって分かります。

詳しい生態はわからず…

長く伸びる赤い背びれ。
銀色に輝く細長い体。

「竜宮城からの使者」という意味の名前がつけられた「リュウグウノツカイ」。
全長5メートルのものも確認され、深さ200メートル以上の深海に生息するとされていますが、詳しい生態はわかっていません。
その不思議な姿は、「人魚伝説のもとになった」という説を生んだほか、「天変地異の前触れだ」、「大漁のしるしだ」と人々の想像力をさまざまに刺激してきました。
今年(2019年)に入ってからは、富山県や兵庫県でも定置網にかかっています。

「プニプニしてる。」

「怖かった。」

人工授精に大成功!

栗原リポーター
「読谷の漁港で発見されたリュウグウノツカイは、こちら美ら海水族館の中へと運び込まれました。」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「これが水族館に運ばれてきた状況。」

この2匹を研究者が調べたところ、新たな発見がありました。
2匹はオスとメスで、メスの「おなか」の部分には、卵があったのです。

そしてオスの精子の状態を見ると…。

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「こういうふうに動く細胞があった。」

栗原リポーター
「動いていますね。」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「これが精子。
少なくとも精子は生きているということで、人工授精をやってみようと思った。」

そこで、さっそく。

栗原リポーター
「振っている、振っている。」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「ちゃんとした人工授精だと、柔らかい鳥の羽とか筆でやさしく混ぜ合わせるのですが。」

栗原リポーター
「こんな混ぜ方でいいんですか?」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「よかったんです。
ほとんど、だめもとでやっているというのが前提。」

“世界初の人工授精・人工ふ化”

ところが、これが大当たり。

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「細胞が分裂した痕跡というか、している状況が認められた。」

栗原リポーター
「どんどん中で細胞分裂している、ということですよね?
どんな様子でしたか?」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「すごい。
やってみるもんだねって。」

2週間ほどたつと…。
そしてついに、およそ20匹が誕生しました。

ふ化した後、全長およそ7ミリまで成長。
成魚に似た、長く伸びる背びれが確認されました。
専門家によりますと、リュウグウノツカイの人工授精と人工ふ化は世界初の快挙だといいます。

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「テンションはあがりましたが、データをどう取るか、どう生かすか現実的なことを考えていました。」

そしてついに、取材班も対面。

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「いまこのあたりに浮いている小さな…。」

栗原リポーター
「いたいたいた、いました。
小さい、1センチ行かないくらいの大きさですけれど。」

ところが…。

栗原リポーター
「この水槽の中見てみると1匹、2匹?」

使う水や水槽の形などに気を遣いながら成長を見守っていましたが、エサを食べずに次第に衰弱し、次々に死んでしまったといいます。
生き残った最後の1匹を撮影すると…。

頭を下に向け、胸びれをふるわせて泳ぐ様子。
透き通った体の中で心臓が拍動しています。
しかし…。

栗原リポーター
「さっきまで動いていたんですけどね。」

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「えさを食べていない状態だと思うので、昨日に比べると衰弱したような泳ぎだった。
おそらく死んでいますね。
最後の1匹、死んでいると思います。」

栗原リポーター
「ああ、本当だ。」

研究者は、今回得られた情報を謎の生態の解明へと向かう、確かな一歩にしたいと話します。

沖縄美ら島財団 総合研究センター 岡慎一郎さん
「データとか情報が集まった状態。
本当にこれから。
今ある情報で、どれだけ掘り下げられるかがポイント。
背中のポールの意義やいろんな姿勢で泳いでいたが、その姿勢がどういった意味を持つか。
それをまた科学の情報として公表し活用してもらえたら、水族館で人が育てたリュウグウノツカイを見ることもできるかもしれない。
こういった発見と失敗とを繰り返して、そういった成果に結びついていくのかなと。」

有馬
「かわいらしいというか、不思議な稚魚でした。
死んでしまったのは残念ではありますが、集まったデータは貴重ですよね。」

桑子
「研究にあたった岡さんは、今回の記録を詳細に分析して論文にまとめるということです。
研究の進展が楽しみです。」

 

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