2019年2月28日(木)

米朝首脳会談 予想外の物別れ 背景に何が

米朝両首脳による昼食会の開始を待つ、報道カメラの映像。
ところが、聞こえてきたのは…。

「予定の変更があった。
控え室に戻って下さい。」

「昼食会はなくなったのか?」

「報道官が説明する。」

突然“予定変更”が告げられ、昼食会は取りやめ。

両首脳の合意文書への署名も見送られ、トランプ大統領は予定を2時間近く前倒しして、記者会見に臨みました。

アメリカ トランプ大統領
「合意文書に署名することはできた。
紙まで用意していた。
しかし、最終的には署名を見送った。」

さかのぼること、5時間あまり。

アメリカ トランプ大統領
「キム委員長からどうぞ。」

北朝鮮 キム委員長
「昨日に引き続き、いまこの瞬間、世界がこの場に注目している。
私たちが隣あって座っている。
ファンタジーのワンシーンのように思っていることだろう。
良い結果がでるようにすべての努力を尽くす。」

アメリカ トランプ大統領
「昨夜の夕食会は良かった。
多くのいいアイデアが出た。
我々の関係は非常に強固だ。
関係が良好であれば、そこからいいことがたくさん生まれる。」

友好的なムードで始まった2日目の米朝首脳会談。
その冒頭、キム委員長が外国人記者の質問に答える異例の場面も。

記者
「キム委員長、会談に自信はあるのか。」

北朝鮮 キム委員長
「即断にはまだ早い。
予断は持たないが、私の直感では、良い結果が出る。」

両首脳はそろって「良い結果」への期待をにじませていました。

ただ、両首脳は、こんな発言もしていました。

アメリカ トランプ大統領
「私はスピードは重視していない。
くり返すが、急いでいない。」

トランプ大統領が「急がない」と強調した一方、キム委員長は…。

北朝鮮 キム委員長
「十分な話しあいの時間がほしい。
私たちには1分でも貴重なのだ。」

今回の会談で、何らかの合意を予期させた、米朝の首脳。
その思惑は、どこですれ違ったのでしょうか。

米朝首脳会談 ファンタジーから一転

有馬
「トランプ大統領とキム委員長の首脳会談。
それぞれが具体的な成果を求めて、前のめりだと見られてきました。
しかし会談は、その予想を覆して物別れとなりました。」

桑子
「一体何があったのか。
そして、北朝鮮の非核化はどうなるのか。
両首脳の発言から読み解きます。」

なぜ折り合わず?

日本時間の午後4時すぎ。
会見したトランプ大統領は、合意に至らなかった理由を説明しました。

アメリカ トランプ大統領
「北朝鮮についてだ。
先ほどまでキム委員長と会っていた。
とても建設的な議論だった。
ポンペイオ国務長官も合意に署名するのは、よくないと考えた。
我々には、今回いくつかの選択肢があったが、それを選ばないと決めた。」

その上で。

アメリカ トランプ大統領
「私の決断だとは言いたくない。
キム委員長との関係を今後も続けていきたいから。
これは交渉の決裂ではなく、非常に友好的なものだった。
握手も交わした。」

キム委員長との関係は良好だと強調し、引き続き交渉を進めていきたいという考えを示しました。
ではなぜ、折り合いがつかなかったのか。

トランプ大統領は、キム委員長が主要な核施設であるニョンビョンの施設の廃棄と引き替えに、制裁の完全な解除を求めたと説明したうえで…。

アメリカ トランプ大統領
「私はそれでは不十分だと考えた。
ポンペイオ長官とも何度も話し合った。
ニョンビョンの核施設は大きいものだが、制裁の解除には不十分だ。
我々は、それ以上を求めており、1つと引き換えにすべての影響力を失いたくはなかった。」

さらに、同盟国との関係についても言及しました。

アメリカ トランプ大統領
「制裁に関していえば、たくさんの同盟国も関わってくる。
韓国も日本も重要だ。
築いてきた強い信頼関係を裏切ることはしたくなかった。」

また、ポンペイオ国務長官は次のように説明。

アメリカ ポンペイオ国務長官
「ニョンビョンの核施設廃棄も重要だが、廃棄したとしてもミサイル・核弾頭などは残る。
武器などの完全な申告にも、今日の段階では至れなかった。」

“物別れ”に各国は

各国のメディアは…。

アメリカ ABC
「今回は2歩下がって1歩前進。
改めて認識に根本的な食い違いがあったと分かった。」

韓国 KBS
「会談が異例の決裂になった。
今回は合意に至らず立ち消えになり、朝鮮半島の非核化はストップしてしまった。」

韓国、ソウルでは。

韓国市民
「なぜうまくいかなかったのか、残念だ。
いい結果になることを願っていた。」

韓国では首脳会談の結果に対する悲観的な見方から、株価が大きく下落しました。

また、中国外務省の報道官は。

中国外務省 陸慷報道官
「双方は誠意を示して互いに歩み寄り、対話と協議を通じ問題解決する必要がある。」

安倍総理大臣は米朝の会談終了後、トランプ大統領と電話で会談しました。

安倍首相
「朝鮮半島の非核化を実現するとの強い決意のもと、安易な譲歩を行わず、同時に建設的な議論を続け、北朝鮮の具体的な行動を促していく。
そのトランプ大統領の決断を日本は全面的に支持する。
日本にとって重要な拉致問題については、昨夜、一対一の会談で、私の拉致問題についての考え方をキム・ジョンウン委員長に伝えていただいた。
夕食会でも、再びトランプ大統領が拉致問題を提起し、首脳間で真剣な議論が行われたと伺っている。
次は私自身がキム・ジョンウン委員長と向きあわなければいけない。」

「どうなるか見てみよう」

今後の交渉の行方は。
そして、北朝鮮はどう動くのか。
会見で問われたトランプ大統領は。

記者
「まだ『完全で検証可能・不可逆的な非核化』(CVID)が、制裁解除の条件だと考えているのか?」

アメリカ トランプ大統領
「それには答えたくない。
交渉の観点から、答えるつもりはないが、北朝鮮は多くのものを放棄しなければならない。
我々も妥協する。
キム委員長は、核に関連するロケット・ミサイルの発射実験はしないと言っていた。
そう言っていたんだ。
どうなるか見てみよう。」

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