2019年10月8日(火)

業務連絡 休日や深夜にも…

桑子
「働く人たちの“つながらない権利”、皆さんご存じでしょうか。
いま、働き方改革が進み、会社にいる時間を減らすことが求められていますが、その一方でこんなことありませんか。
『会社を離れたあと、上司から電話がかかってくる』
『休日にメールの対応を求められる』。
こうした時間外の業務連絡を、シャットアウトするのが“つながらない権利”です。」

有馬
「新たに誕生したこの考え方。
背景には、時間外の業務連絡が、働く人たちを追いつめている実態があるというんです。」

時間外の業務連絡にNO! “つながらない権利”とは…

都内の心療内科です。
いま、時間外の業務連絡に追いつめられる人たちからの相談が相次いでいます。

患者
「来たメールには早く返信したい。
早く返信することによって、仕事がうまく回ると思い込んでいる。
ひどいときには、夜中にコンピューターを開いたり。」

この20代の女性のカルテです。
メールの着信を気にするあまり、実際には着信がないのに衣服が肌に触れただけで、携帯電話の振動と誤認してしまう症状が出ていました。
こうした患者が、最近急増していると言います。

浅川クリニック 浅川雅晴院長
「注意信号が出ている。
土曜・休日・平日の夜間は“スイッチング”、切り替える必要があるから、会社とは連絡をとらないような社会作りが必要。」

大手コンサルティング会社の調査によると、勤務時間外に上司から来る緊急性のない連絡に週1回以上対応している人は、全体の15%にも上っています。
しかも、そのうちおよそ7割が「働き方改革」を実施している企業で働いていました。
こうした状況を変えようと登場したのが「つながらない権利」です。

労働安全衛生総合研究所 久保智英上席研究員
「“つながらない権利”は有効な手だて。」

先月開かれた講演会に集まったのは企業の労務担当者、およそ200人。
時間外の業務連絡をなくすのは、簡単ではないという声が相次ぎました。

労務担当者
「オンとオフのメリハリをつけた方がいい。
無くしたいところだが、現実的には難しい。」

「働き方改革なので…。
導入されてからも、時間外にメールのやりとりをやってはいるので、そういう所をどう変えていくか。」

時間外の業務連絡が無くならない中で、深刻なケースがあることも見えてきました。
去年(2018年)の春、コンサルティング会社に転職した40代の男性。
昼夜問わずに上司などからメールが送りつけられ、夜中もテレビ会議への参加を求められるなど、業務時間外も常に会社に縛られていたといいます。

男性
「常に緊張状態。
解放された気分は一切ない。
″いつでも(仕事のことを)考えているんだ”。
“考える時間がないというんじゃなくて、寝ている時間に考えられる”と言われていた。」

さらに時間外の業務連絡に対応出来なかった場合は、ペナルティーも課されていたといいます。

業務報告が遅れたら、-1ポイント。
帰宅後に開かれるテレビ会議に参加しなければ、-5ポイント。
給与にもかかわるため、評価を落とすまいと必死で対応しようとした結果、男性はうつ病を患い、休職を余儀なくされました。

男性
「すぐ電話がかかってきて、いつでも言いたいことを言われる。
インターネット(を介した業務連絡)は無法状態。
いつでも何でもやりたい放題。」

取材を進めると、つながらない権利を守ろうと動き出した企業が見つかりました。
都内のこのIT企業では1年あまり前、業務時間外のメールや電話をすべて禁止しました。
顧客に対しても…。

社員
「本日は金曜日なので、あす以降(休日)の対応は出来かねます。
内容に関しては、本日または週明けの月曜日に必ずご返信させて頂きます。」

取り引き先には自分の休みを前もって知らせ、メールが届いても、「休み」であることが自動で返信されるよう設定されています。

社員
「常に携帯電話を気にしなくてよくなった。
携帯を置いて外に遊びに行ったり、変わった。」

この取り組みが社員のやる気向上につながり、売り上げは4割増。
今後も取引先と協力し、“つながらない権利”の拡充を図りたいと考えています。

イグナイトアイ 吉田崇社長
「顧客・企業のパートナーとかもあるので、1社だけで完結するのは難しいが、こういったつながっている会社同士がお互いに理解、“つながらない権利”意識を高めていくことが非常に重要。」

有馬
「僕は胸に手を当てて、思いあたることがいくつもありますが、皆さんはいかがでしょうか。
この“つながらない権利”、海外ではもう広がり始めています。
フランスではおととし(2017年)、つながらない権利を定めた法律が施行されています。

桑子
「日本でもオンライン上での仕事のやりとりって増えていますよね。
そんな時代だからこそ改めて、自分のタイミングで連絡しそうになるのを一歩立ち止まって相手のことを考える、そんなことが必要なのかもしれません。」

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