2013年2月11日(月)

漁業水域の“境界線”激化する攻防

大越
「中国の海洋進出が盛んになる中で、緊張が増す東シナ海。
実は、自衛隊や海上保安庁以外にも、日々、中国からの圧力を感じている人たちがいます。
漁業に従事する人たちです。」

井上
「日中の間には、水産資源をめぐるもうひとつの境界があります。
付近では、中国漁船の集団が大量に操業し、日本の漁業にとっての脅威となっています。」

東シナ海に群がる中国漁船団

先週末、NHKが空から撮影した東シナ海の映像です。

「中国漁船が強力なライトを使って海を照らしています。」

サバやアジの格好の漁場となる東シナ海。

水産庁担当者
「このかたまりが全部そうです。」

この漁場に群がる300隻を超える中国の大型漁船。
水産資源をめぐる攻防が激化しています。

核心:もう1つの“境界”最前線

宇宙から夜の光を撮影した衛星写真です。
東シナ海でひときわ明るい光の塊は、中国漁船の集団です。




東シナ海の漁場は、日本と中国の主張の違いで境界線が確定していません。
そのため、両国が共同で漁をする水域が設けられています。
その日本側の境界線にへばりつくように中国の漁船団が。
乱獲で魚が減った中国近海から日本側の水域に近づいてきているとみられます。


去年(2012年)夏、台風を避けて長崎県、五島列島にやってきた100隻を超える中国漁船です。

「威圧感を感じた。」

大型化し、最新の設備を備えた船。
勢力を伸ばす中国漁業の姿を感じさせるものでした。

群がる中国漁船 最前線の攻防

日本の水域で違法操業を行う外国漁船がいないか。
24時間態勢で見張っている水産庁の漁業取締船「白鴎丸」です。
この日、外国の漁船に立ち入り検査を行いました。
韓国のはえ縄漁船でした。

「私は何も隠していない。」

漁の許可証を持っているのか、漁獲量を正確に申告しているか、徹底的に調べます。

水産庁 漁業取締船 白鴎丸 橋本高明船長
「私たちはきっちりと調べる。
見逃さない。」

水産庁が今、特に監視を強めているのが、“虎網漁船”と呼ばれる中国の最新漁船です。

水産庁 漁業取締船 白鴎丸 橋本高明船長
「あのアンカー打って動きがないのが『虎網漁船』だと思う。」

強力な明かりで一気に魚を集めます。
資源保護を優先する日本では認められていません。
さらに、巨大な網で根こそぎ魚を取り尽くしていきます。

漁業者が減り続ける日本。
中国側の勢いの前に、共同の水域は中国漁船に事実上独占されている状態です。

第二十八野村丸 吉本洋一郎漁労長
「彼らが密集している海域にはもう入らない。
ルールも何もない。
めちゃくちゃ、やり方が。
結局は泣き寝入りだ。」

漁業の衰退は、境界線を越える外国の船をみつけることも難しくしています。

第二十八野村丸 吉本洋一郎漁労長
「あの船、中国船か台湾船か。
今まで見たことない。」

漁船には、水産庁や海上保安庁に見慣れない船を通報する役目もあります。

「こちら二十八野村丸。
中国船らしき漁船、2、4、6隻ほどいる。
何もなく入ってきてたら密漁かもしれないと思って連絡した。」

しかし、こうした貴重な情報が次第に集まりにくくなっていると言います。
押し寄せる中国漁船に危機感を強める漁業者。
そして、日本の水域を守る人たち。
東シナ海の厳しい現状です。

井上
「日本ではここ10年で漁業に従事する人は3割減っているということです。」

大越
「現場が懸命に奮闘しても、監視機能の低下が避けらないのが実態です。
脅威にさらされる現場がここにもあります。」

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