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2017年11月14日(火)

昭和のアニメ音楽が再評価される理由

高瀬
「けさのクローズアップ、中澤アナウンサーです。」




中澤アナウンサー
「今日(14日)は、先週末に開かれた“ある音楽”のコンサートについてお伝えします。」

都内で行われたオーケストラのコンサート。
演奏するのは、モーツァルトでも、ベートーベンでもなく…。

ドラえもんをはじめとした、アニメの音楽です。
今、こうしたアニメ音楽のコンサートが、大人になった“昭和の子どもたち”の人気を集めています。



「最高です、泣きました。
人生の応援歌なので。」

「子どものころからずっと好きだったアニメの曲が生で聴けるなんて一生ないと思っていたので、すごく感動しました。」

和久田
「みなさん、興奮していましたね。」

中澤アナウンサー
「実際に演奏されたのが、ドラえもんなどをはじめとした11のアニメ作品の主題歌やBGMです。
これらの音楽、実は全て1人の作曲家が手がけたものなんです。
その方というのが、菊池俊輔さん。
昭和のアニメ音楽界を代表する作曲家の1人なんです。
なぜ今、アニメ音楽が大人の心をつかむのか、取材しました。」

“バビル2世”“タイガーマスク” 1000曲以上作曲 菊池俊輔さん

中澤アナウンサー
「懐かしの昭和のアニメ音楽。
みなさんの記憶に残っているのでしょうか。」

中澤アナウンサー
「聴いたことは?」

「ありますね。
♪超能力少年 バビル2世
ロデムという黒ひょうがいて、覚えています。」

「ドクタースランプですね。
アラレちゃんの曲です。
子どものころの記憶と一緒になって覚えている。」

作曲家の菊池俊輔さん。
激しいブラスで始まる「仮面ライダー」の主題歌など、リズミカルで疾走感のある音楽が菊池さんの特徴です。
一方で、バラードなど心に染みるメロディーも得意で、アニメや特撮の主題歌やBGMを1,000曲以上作曲しています。
曲の知名度の高さは、海外でも。

カナダ人
「ドラゴンボール!」





アメリカ人
「ドラえもん。」

JASRACが毎年発表している、海外での音楽使用料ランキング。
菊池さんのアニメ音楽は、過去30年あまりで7回1位になっています。
今月(11月)86歳になった菊池さん。
現在は、病気療養中のため作曲活動を休んでいますが、その音楽は今も愛され続けています。

菊池さんのアニメ音楽を、オーケストラで演奏する初めてのコンサート。
先週、リハーサルが行われました。
30代が中心のプロのオーケストラ。
演奏者にとって、クラシック音楽と違う、新たな魅力があるといいます。

ビオラ 伊藤美香さん
「映像もいろいろ浮かんできて、楽しいし、ワクワクする感じ。」

トロンボーン 山本靖之さん
「どっちかというとトロンボーンは“抑えろ”“静かに”と言われることが多いので、思いっきり吹けるというのは、確かにちょっと魅力かもしれない。」

ドラえもんで使われるユニークな効果音も、楽器で巧みに表現しています。

日本独自に発展したアニメ音楽

なぜ、アニメ音楽が人々を惹きつけるのか。

コンサートを企画した音楽プロデューサーの西耕一さんです。
昭和のアニメや特撮の音楽は、当時、オーケストラの生演奏を録音して作られていました。
ロックやジャズなど、その時代の最先端の音楽が組み込まれ、日本独自に発展していったと言います。

音楽プロデューサー 西耕一さん
「普通のクラシックにはないような、ありとあらゆる音楽を吸収して作っている。
実はあのアニメの音楽は、本当にすばらしかったんじゃないか。」

さらに、作曲家たちもそれぞれ独自の工夫を凝らしてきました。

巨匠・渡辺宙明さん 曲作りのヒミツ

「マジンガーZ」など、数々の人気アニメの音楽を手がけた、渡辺宙明さん、92歳です。
菊池さんと並ぶ、アニメ音楽の巨匠の宙明さん。
メロディーラインに、ある日本の伝統音楽を取り入れたと言います。

作曲家 渡辺宙明さん
「日本人には日本人の音階があるんだと。
それは民謡音階と、ロックのラドレミソラシ。
♪パパッパーパーパ パヤパヤパパパーパ
で、♪ズンズンチュチュ ズンズンチュチュ
こうやってバックでやるとね、音は民謡の音と同じだけど、それをロックのリズムに乗っけちゃうと、かっこよくなる。」

民謡特有の音階。
それを「マジンガーZ」にも取り入れていたというのです。
そして、もう1つ大切にしているのは…。

作曲家 渡辺宙明さん
「私の場合、子どもだからといって子どもっぽくしない気持ちは持って、大人も子どもも楽しめるようにということは、ある意味で長続きするんじゃないかと思う。」



しかし、こうした作曲家たちは、音楽雑誌がまとめた作曲家リストには名前も載らず、日陰の存在でした。
きちんと光を当てたいと、西さんはコンサートを企画したのです。

音楽プロデューサー 西耕一さん
「アニメの作曲家が載っていないことに、私はすごくおかしいと言ったらあれですが、違和感も感じて。
オーケストラで日本のアニメ音楽を演奏することが誇りになっている。
そういう時代が来ればいいと。」


今回、西さんが手がける、菊池俊輔さんのコンサート。
アニメのBGMは1曲1曲が短いため、20分近い組曲に編曲します。
編曲作業を行う中で、アニメ音楽の魅力を再発見した人がいます。

「ドラえもん」組曲を担当した、東京藝術大学音楽学部の木下紀子さんです。
木下さんは、数多くのBGMに、主題歌のメロディーが巧みにアレンジされて使われていることに気づきました。



聞けば、すぐに作品が思い浮かぶ。
そんな工夫が凝らされていたのです。

東京藝術大学音楽学部 木下紀子さん
「同じモチーフを使うことで、作品の中で統一感を持たせている。」

中澤アナウンサー
「同じメロディーを重ねることで、より印象をつけると。」

そして、コンサート当日。
大人になった“昭和の子どもたち”400人が集まりました。

木下さんが編曲したドラえもんの組曲が演奏され、最後は、お客さんも一緒にバビル2世を大合唱。




♪砂のあらしに隠された バビルの塔に住んでいる
超能力少年 バビル2世
地球の平和を守るため 三つのしもべに命令だ ヤー!

今後もアニメ音楽作曲家のコンサートを

高瀬
「♪超能力少年
歌えますもんね。
みなさん神妙な顔で聴いていましたけど、でも本当は子どものころのワクワク感がよみがえってきて、もっと“やあー!”とやりたいところなんですけど、演奏する人も聴く人もみんな静かに聴いているなって、逆に面白かったです。」

中澤アナウンサー
「その場面やっぱり、じーんときたのかもしれませんね。
コンサートの中を見ていますと、実際お客さんだけではなくて、演奏する方も時折、笑みがこぼれる場面があったんですよね。
なかなかクラッシックのコンサートってないじゃないですか。
それも良かったなと思いますし、あと最後に3曲大合唱したんですけど、仮面ライダーと、バビル2世と、ゲッターロボ。
仮面ライダーは知っていたので一緒に歌うことができて、一体感というのが格別でしたね。」

高瀬
「あんなに壮大なスケールになるんですね。」

和久田
「しかも効果音をクラッシック音楽の楽曲を駆使して表現するのもまた面白かったですよね。」

中澤アナウンサー
「それを思わず笑ってしまう方も多かったというのはありますね。
音楽プロデューサーの西さんなんですけれども、『音楽は演奏されてこそのもの、音楽は聴いてこそのものだ』と話していました。
なので、今後もさまざまなアニメ音楽の作曲家のコンサートを開いていきたいと。
実際、観客のみなさんも、ぜひタイガーマスクも聴きたいという声がありました。」

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