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2017年11月15日(水)

全国の学校が注目する修学旅行とは

和久田
「今日(15日)のテーマは、『修学旅行』です。
11月は、高校生の修学旅行がいちばん多い時期なんです。
その行き先のベスト3がこちら。
3位が京都、2位が東京、そして1位が沖縄です。
ちなみに沖縄は、13年連続1位になっています。」

高瀬
「沖縄の修学旅行では、『ひめゆりの塔』など沖縄戦の戦跡をめぐるのが定番ですが、沖縄が抱える今の問題にも向き合う修学旅行が、全国の学校や教育委員会から注目を集めています。」

行き先ナンバー1の沖縄で

リポート:関徳二(おはよう日本)

年間45万人もの修学旅行生が訪れる沖縄。
この日、東京・文京区にある高校の生徒たちがやってきました。
まず向かったのは、沖縄戦で大きな被害を受けた場所です。

語り部
「兵隊にピストルで撃たれて死にます、小さい子どもが。
誰も声をあげることができなかったそうです。」

語り部の話を聞きながら、当時、住民や日本兵の隠れ場所だった「ガマ」といわれる洞窟を見て回ります。
さらに、この修学旅行、今の沖縄にも目を向けます。
訪れたのは、普天間基地です。
ここで、基地問題について学びます。
地元の学生ガイドの説明の途中…。

轟音が響き渡ります。
生徒たちの頭上を、アメリカ軍の輸送機オスプレイが通り過ぎていきました。

学生ガイド
「もっと大きな飛行機・輸送機が飛ぶんです。」

「これが普天間基地、いちばんよく見える場所かな。」

沖縄出身の若者がプロデュース

この修学旅行を企画したのは、地元・沖縄出身の国仲瞬(くになか・しゅん)さんです。
戦争で亡くなった人たちの名前が刻まれた平和の礎(いしじ)。
ここに国仲さんのひいおじいさんの名前もあります。

沖縄戦について話を聞いて育ち、大学時代は戦跡めぐりのガイドもしていた国仲さん。
活動を続ける中で、戦争の歴史だけでなく、今の沖縄の問題についても伝えるべきだと思うようになりました。
そこで国仲さんは、大学在学中だった3年前、沖縄の修学旅行をプロデュースする会社を立ち上げました。
沖縄を訪れる全国の若者たちに、修学旅行をきっかけに基地問題について知ってもらおうと考えたのです。

『がちゆん』社長 国仲瞬さん
「沖縄だけの固有の課題ではなくて、これは僕は日本全体の話だと思っている。
思っているからこそ、伝えたい。
それ(基地問題)が学べるタイミングを作り出してあげることが大事で、一生に一度かもしれないからこそ、修学旅行でやらないといけないと思っています。」

国仲さんが企画した修学旅行では、基地を見た後、地元の博物館に向かいます。
見せるのは、宜野湾市全体の模型。
市の中心部に広大な普天間基地があることが一目でわかります。

この模型を見て、何を感じるのか生徒たちに聞いていきます。
普段はあまり考えない、基地周辺に住む人たちの生活を想像してもらうのが目的です。

「見て回る」だけでなく「考える」

ガイド
「宜野湾市の街に米軍基地がある影響を考えてほしいです。
街の真ん中にあることで、どんな影響があるか。」

生徒
「例えば(基地の)こっち側にいるときに、(街を)突っ切れないとか、あると思います。」

ガイド
「いい視点、ありがとうございます。
消防署とか本当は大きい道が通ってるところにあったりします。
ただ、宜野湾市の場合は真ん中に米軍基地がありますので、(消防署は)3つに分かれています。」

その後、生徒たちが訪れたのは、地元の大学。
ここで行ったのは、基地問題にはさまざまな意見があることを実感させるプログラムです。
基地に関する意見が書かれたカードを使います。

「抑止力のためにアメリカ軍の基地は必要だ」という意見。
「生まれた時から基地があるので、基地があるのが当たり前」という地元住民の意見。
まずは、さまざまな意見が書かれたカードから、自分の意見にいちばん近いカードを選んでもらいます。

国仲瞬さん
「あなたに、いちばん関わるカードはどれですか。」

多くの生徒が選んだのは、「自宅近くに基地がないため、メリットもデメリットもわからない」という意見です。
「日本の安全のためには基地が必要だ」というカードを選んだ生徒も多くいました。
次に、基地周辺の住民の立場でカードを選んでもらいます。

国仲瞬さん
「基地周辺で生活する人が訴えていそうなことはどれですか。」

多くの生徒が選んだのは、「ヘリコプターの墜落事故などがあり基地は危険だ」という意見です。

“沖縄の今”に関心を

生徒
「住宅がいっぱいあるところに落ちて、死者がたくさん出ると、やっぱり問題なのかな。」

基地問題はそれぞれの立場によって意見が違い、解決が難しい問題であることを学んでいきます。
こうしたプログラムを通して、生徒たちはあまり知らなかった基地問題に関心を持ち始めていました。

生徒
「(基地問題を)そんなに深く知ることはなかったと思います。
自分の知っていたこと以上のことを知れたので、来てよかった。」

生徒
「漠然と基地があるっていうのは分かってたけど、国の問題だよねっていう感じはしていました。
ここで話を聞いて、自分たちも考えることが必要なんだな。」

沖縄の現実を知ってもらう修学旅行。
これにより、基地問題が沖縄だけの問題ではないと考える若者たちが増えてほしいと国仲さんは願っています。

国仲瞬さん
「(基地問題を)知ってほしい。
知ってもらうだけで僕らはすごい一歩踏めたなと思う。
それ(基地問題)が、しょうがないじゃんという思考停止、しょうがないじゃんっていう人を減らしたい。
その取り組みの一つになればと思います。」

和久田
「実際に行ってみて、見てみないと分からないことってたくさんありますが、その上でさまざまな立場から考えてみることで、高校生たちは意識が大きく変わっていったようですね。」

高瀬
「授業では学べないことを、自分の目で見て、聞いて、考えるという機会。
こういった修学旅行、現在は年間100校で実施されているということなんですが、全国の学校や教育委員会からの依頼が急増しているため、今後、もっと多くの学校を受け入れられるようにしていきたいということです。」

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