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2017年11月19日(日)

2019W杯へ データで分析 ラグビー日本代表 課題と希望

一昨年(2015年)のラグビー・ワールドカップ。
日本代表は、世界ランキング3位の強豪・南アフリカを破るなど、躍進を遂げました。
そして、日本時間のけさ。
世界ランキング14位で、日本と同じ程度の実力を持つと言われる、トンガにも快勝。
2019年、日本で開かれるワールドカップでは、ベスト8を目指します。
ところが…。
ランキング上位の強豪国との強化試合では、思うような結果が出ていません。
勝つためには、何が必要なのか。
世界の代表チームの試合を解析している情報会社のデータを基に、日本代表をパスやタックルの成功率など、あらゆる数値から徹底分析。
ラグビーのデータ解析の第一人者とともに、日本の課題と希望の光を探ります。

2019W杯へ データで分析 ラグビー日本代表 課題と希望

小郷
「ちょうど2年後の11月、ワールドカップの決勝が日本で行われるということで、けさはラグビー日本代表に注目します。
再び、スポーツの北野アナウンサーとともにお伝えします。」

北野
「よろしくお願いします。
まずは、日本の現在位置を確認しておきましょう。
世界ランキング、現在、日本は11位。
前回ワールドカップの前が13位だったので、目標とされるベスト8、十分に狙える位置にいるんですよね。」

小郷
「前回のワールドカップよりも上位を目指すということになるんですよね。

スタジオには、元日本代表チームのデータ解析担当で、当時、選手だった日本代表のジョセフヘッドコーチとも親交がある、筑波大学の古川拓生准教授にお越しいただきました。
よろしくお願いします。」

北野
「古川さん、まずは、けさのトンガ戦。
日本、快勝でしたね。
いかがでしたか?」

筑波大学 古川拓生准教授
「快勝でしたね。
ランキングの上では、日本がややトンガを上回っているんですが、トンガのフィジカルの強さ、体の強さ、コンタクトというのは、世界トップクラスと言われています。
日本が非常に苦手としているチームなんですが、実際に2011年以降、4回対戦して、勝てていなかったと。」

北野
「6年ぶりの勝利なんですよね。」

筑波大学 古川拓生准教授
「それを考えると、この今回の勝利は、非常に日本にとって大きな自信につながったのではないかと思います。」

北野
「このトンガ戦まで、ジョセフヘッドコーチ、『ジョセフ・ジャパン』になってからの日本代表の成績をまとめてみました。

右端の数字が日本代表の得点で、赤が勝った試合、そして青が負けた試合なんですが、世界ランキング上位との試合では、これ黄色で囲んだところ、トップ10に対しては、ことごとく負けているんですよね。
ワールドカップでベスト8を狙うためには、この上位チームに勝つことが欠かせなくなってきます。
では、何が課題なのか。
ランキング上位の、今年(2017年)行われたアイルランドと、そしてオーストラリアとの試合データから、古川さんに分析していただきます。」

まずは6月、世界ランキング4位のアイルランドと試合に臨んだ日本。
果敢に攻めたものの、体格が大きな選手の強力なプレーで攻守に圧倒されます。
スクラムを崩され、そこからトライされる場面も。
日本は、あわせて7つのトライを決められ、22対50で敗れました。

北野
「今、スクラムを崩されて失点するシーンがありましたけれども、この試合のデータをご覧いただきます。
スクラムです。

日本のスクラムの成功率が50%だったんですね。
強豪チームの目指すべき数字、90%と言われています。
自分たちのペースで組めるはずのマイボールのスクラムで、半分しか獲得、生かせなかったというのは、これ、低い数字だと思うんですが、古川さん、いかがですか?」

筑波大学 古川拓生准教授
「問題を1つに限定することは難しいんですが、一例として、このスクラムでは、アイルランドにスクラムが回されて、潰されています。」

北野
「確かに、時計回りにクルっと回って、潰れてしまっていますね。
どうしてこうなるんでしょう?」

筑波大学 古川拓生准教授
「日本は低い姿勢を保って、まっすぐ押し込んでいます。




しかし、アイルランドの圧力に対して、日本の右側の選手の体がわずかに浮かされて、そこからスクラムが崩されてしまいます。」

北野
「必ずしも、お互いにまっすぐ押し合っているわけではないんですね。」

古川
「海外のトップチームは、毎回スクラムの仕掛け方が変わるので、そういった相手との『駆け引き』ということも重要になってきます。」

小郷
「駆け引きがあるんですね。」

北野
「あの中では、いろいろなことが行われているんですね。
そして今度は、同じく強豪のオーストラリア戦、こちらでも課題が明らかになりました。」

今月(11月)4日に対戦したオーストラリアは、世界ランキング3位。
日本は序盤から主導権を握られ、次々とトライを奪われました。
試合の中で目立ったのが、パスを次々とつながれ、日本の陣内へと大きく攻め込まれる場面です。
日本がタックルしてもパスを出され、ボールを奪うことができません。
結局、30対63と大きく引き離され、敗れてしまったんです。

小郷
「やっぱり強豪の壁は高いですね。」

北野
「高いですね。
そもそもラグビーというのは、トライ、得点に結びけるために、前にどれだけ出られるかが大事なんですね。

こちらは、それぞれのチームがどれだけ前に進めたか、つまり、どれだけ攻め込めたかを示すデータなんですが、日本は350mに対して、オーストラリアは616m。
倍近く攻め込まれていたんですよ。」

小郷
「こんなにも違うんですね。」

北野
「古川さん、この要因としてはいかがでしょうか?」

筑波大学 古川拓生准教授
「1つは、タックルで止められていないということが原因として考えられます。
こちらの映像を見ると、ボールを持っているオーストラリアの選手にタックルはしているんですが、ボールはまだパスできる状態です。
このため、後続の選手にボールをパスされて、一気に進まれてしまっています。」

北野
「あそこで倒してしまえば、ボールを離さなきゃいけないんですが、それをつながれてしまっているわけですね。」

小郷
「ここまで強豪国との対戦を見てきますと、いろいろ課題が見えてきましたけれども、日本にとって希望の光となるポイントって、何かないんでしょうか?」

筑波大学 古川拓生准教授
「先ほど、相手に進まれるということがありましたが、それを防ぐという点では『ダブルタックル』というプレーが挙げられます。
こちらを見ていただきたいんですが、2人掛かりでタックルに行っています。
1人が倒しに行って…。」

北野
「ここで、まず倒して、そして上から。」

筑波大学 古川拓生准教授
「もう1人は、パスを出させないように上半身を抑えに行っています。」

北野
「これですとパスを出せませんし、オーストラリアも前に進めていないですね。」

筑波大学 古川拓生准教授
「ただ、このダブルタックルも相手が勢いづくと、なかなか決められません。
大きな相手選手がスピードに乗る前に、素早く間合いを詰めていくことが必要になってきまして、今、日本代表も、この素早く詰めるというシステムを非常に取り組んでいまして、けさのトンガ戦でも、かなりその成果が見えたかなと思います。」

北野
「かなりディフェンスが速かったんですよね。
今後の希望の光という点でいいますと、日本代表、前回のワールドカップ、3勝したものの、決勝トーナメント、ベスト8には進めなかったんですけれども、さらに上を目指すために、新しい戦術にもチャレンジしているんですよね。」

筑波大学 古川拓生准教授
「そうですね。
『キッキングゲーム』と言われるものになります。
ラグビーは前にパスができないんですが、キックは前に蹴ることができます。
相手陣に蹴り込んで、さらにそのボールを奪うことができれば、一気にチャンスが広がるわけです。」

北野
「けさも、最初のトライというのは、まさにキックで前に進んでからトライに結びついたシーンがありましたけれども、確実に成果は出てきているんですよね。」

小郷
「『ダブルタックル』、そして『キッキングゲーム』と出てきましたけれども、日本が次のワールドカップでベスト8を目指すには、カギとなってくるのは何なんでしょうか?」

筑波大学 古川拓生准教授
「ここにもあるんですけれども、前半を、いかに接戦に持ち込めるかということが重要になってきます。

こちらはアイルランド戦、オーストラリア戦で、前半と後半、どれくらい得点を取ったかというものなんですが、前半、点差が開かれているんですが、後半になると、ほぼ互角に戦えていることが分かります。

前回のワールドカップで南アフリカに勝った試合なんですが、これ前半、ほぼ互角だったんですね。
そこで、後半、逆転につながりました。
つまり、前半を接戦に持ち込めれば、こういった格上のチームに対しても勝利するというチャンスは出てくるわけです。」

小郷
「今後のますますの進化に期待したいですよね。」

北野
「けさは、古川准教授にお越しいただきました。
どうもありがとうございました。
日本代表、来週は世界ランキング8位のフランスと強化試合を行います。」

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