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2017年11月20日(月)

住宅街にシカが…!クマが…!

高瀬
「けさのクローズアップ。
各地で起きている異常事態です。」

今月(11月)北海道の市街地で起きた事故の映像です。
突然、飛び出してきたのは、シカ。
すぐには、よけきれませんでした。

「住宅街に、クマが現れました。」





こちらは飲食店の厨房をあさるクマ。
今、シカやクマなど、野生動物の生息域が全国で急速に拡大。
今年、目撃や被害の件数が過去最高のペースとなっている地域も続出。
人の多く住む都市部でも、深刻な問題が起き始めています。

和久田
「中澤アナウンサーとお伝えします。」

中澤アナウンサー
「シカ、イノシシ、そしてクマ。
日本の各地で、野生動物の生息域が今、広がっているとされているんです。
中でも、シカの生息域が今後急速に拡大するという予測があります。

国の機関による、最新の研究結果によりますと、およそ40年前がこの生息域でしたが、2003年になると、オレンジ色の部分、ここまで広がりました。
そして、高齢化と温暖化が進んでいくと、今からおよそ90年後、日本の国土の9割以上に広がる可能性があると指摘しているんです。」

和久田
「ほとんどの地域になってしまうんですね。」

中澤アナウンサー
「そうなんです。
すでに、この推測通り、山に近い場所だけではなくて、各地の都市部でさまざまな事態が起きています。」

仰天 防犯カメラにシカが…!

人口72万人の政令指定都市、神奈川県相模原市。

中心部の住宅街に住む、植松経子さんです。
今月、信じられないものを目撃したと言います。

植松経子さん
「茶色い背中が見えて。」

中澤アナウンサー
「茶色い背中?」

植松経子さん
「ブルブルって起きたら、コレがあるんですよ。
角が生えて、シカなんですよ。
確実に見たんですよ。」

しかし「こんなに人の多い場所であり得ない」と、最初は家族にも取り合ってもらえませんでした。

長女 久保田緑さん
「奈良じゃあるまいし、シカなんか、いるわけがない。
ちょっと幻覚を見ているのかなと。」




念のため、防犯カメラを確認してみると…。
映っていたのは、川沿いを歩く、シカの姿でした。

長女 久保田緑さん
「映像を見たら証拠が残っていた。
これは、まともだったと。」

植松経子さん
「どこから来たのかしら。」

専門家は、山から川伝いにシカが都市部にきたと考えています。
被害が出る前に対策を考える必要があると言います。

相模原市立博物館 秋山幸也学芸員
「今まで見なかったから、今後も市街地にシカはいないと、決して言えない。
ふだん見ないところに出没することは、これからも続くと思う。」

ドアを開けたらシカが…!

リポート:芋野達郎(NHK旭川)

シカが町中に出没。
人々の暮らしに影響が出ているところもあります。

北海道稚内市です。
住宅街を歩き回るシカ。
家庭菜園の野菜や花を食べようと、家の軒先まで近づいています。

住民
「角で壁とかにぶつかるときがある。
それが(ドアをノックする)音に聞こえる。
誰か来たのかなと(ドアを)開けたら、シカだった。」



大きな問題となっているのが、車との衝突事故。
今年、市内で10月までに発生したのは、54件。
過去最高のペースです。

今月9日、シカとぶつかった車のドライブレコーダーの映像です。
衝撃でフロントガラスに大きくヒビが入ったことがわかります。




運転していた人
「間に合うどころか、真横から突っ込んできたような感じ。
まいった、本当に。」

「吹き矢」で対抗!

地元の猟友会などでは、市街地では猟銃が使えないため、安全だと思って集まってくるとみています。

猟友会メンバー
「一歩踏み入れても何もされない、二歩踏み入れても何もされないとなれば、ここは自分たちの住みかという認識ではないか。」




そこで今月、稚内市は、新たな対策の検討に乗り出しました。

「吹き矢」を使って麻酔薬を打ち込む方法です。
猟銃と違い、住宅地でも使うことができます。
市から委託されたNPOの職員によりテストが行われ、本格導入するかの検証が続いています。


稚内市農政課 近江幸秀課長
「思った以上にスムーズに進んだ。
ひとつの有効な手段だろうと思う。」

あなたの周囲でも…!? 各地で異常な事態が

高瀬
「私も以前、北海道で車を1人で運転していた時に突然、シカが道路を悠々と横断していく姿を見て、衝撃を受けたんですが、今ここまでも来ているんですね。」

中澤アナウンサー
「交通標識でよくありますものね、シカに注意って。

ただ、シカ以上に今、全国で深刻な被害を及ぼしているのは、クマなんです。
今、待ったなしの対策が迫られている秋田県を取材しました。」

目撃件数1,300件! クマ大量出没

リポート:國友真理子(NHK秋田)

クマの目撃件数、今年、すでにおよそ1,300件。
2年連続で過去最多を更新している秋田県です。
5月には、タケノコ採りの女性が襲われ死亡。
けが人は19人と、被害は過去最も多くなっています。


緑色のエリアは、もともとのクマの生息域です。
赤い点は、目撃された場所を表しています。
この20年で、クマが人里に出没するケースが急増。
最近では、市街地にも出るようになりました。

秋田県立大学 星崎和彦准教授
「活動域、目撃エリアが広がっている。
個体数が増えていると考えるのが自然。」




事態を受けて県は、猟友会にクマ猟を行うことを要請。
これまで、生態系を守るために11年に渡り、猟の自粛を求めてきましたが、方針を180度転換したのです。

しかし、猟友会は深刻な課題を抱えています。
会員は高齢化し、減少。
この30年で、3分の1に落ち込んでいます。
活動できる会員の多くも、猟に専念するというわけにはいきません。


猟友会メンバー
「日中は、会員は仕事で出て歩く。
朝早く出勤前に活動しなければいけない。」




さらに悩ましい課題が、今の会員にクマを捕る経験が乏しいことです。
11年間、猟の自粛が続いてきた影響が出ているのです。
それでもクマ対策にあたれるのは、猟友会しかいないのが現状です。

秋田県 自然保護課 担当者
「(人間の)生活圏に入ってはいけないというメッセージを出してこなかった、この11年だった。
とる、とらないにかかわらず、ハンターが山に入ることにより、クマに人間の怖さを教える効果があると聞く。
その効果を期待したい。」

出動!オオカミ型ロボット!

中澤アナウンサー
「秋田では、先週の水曜日に猟が解禁されて、来年(2018年)の2月まで続けられるということなんです。」

和久田
「クマやシカなどの生息域が、こんなに町中まで広がっているのって、どうしてなんでしょうか?」

中澤アナウンサー
「人口減少などによって、人間と野生動物が暮らす『境界』が曖昧になってきているという指摘があるんですね。
また、都市部で見られるようになった野生動物たちというのは、川沿いを、先ほどのシカのように移動してくるというのが典型的な移動パターンだと。
人が多く住んでいる都市部ですと、一見、山から遠く離れているから遠いものだと思いがちですけれども、川はずっと都市部まで流れてきていますから、そこを伝って、シカもクマも移動してくるということですね。」

高瀬
「思いがけず、遠いところまで来ているんだなという感じがありますけれど、確かに最近、ニュースでもこの鳥獣被害についてお伝えする機会が増えているなというのは、実感としてありますよね。」

中澤アナウンサー
「今後どうしていけばいいのかというところですけれども、それは専門家の方に伺っています。」

麻布大学 いのちの博物館 高槻成紀上席学芸員
「(人の住む場所に)来させなくするには、常にそこが怖いんだと感じさせる。
例えば音や光など、いろいろ続けて教えることが大事。」



中澤アナウンサー
「やはり野生の動物に『人間の住む場所には近づかない方がいい』というふうに、本能的に思わせることが大事だということです。
そのために、例えば、こんな独自の取り組みが進められています。」

山梨県南アルプス市が導入した、オオカミ型のロボット。
姿形と遠ぼえ、さらに光でシカなどを威嚇します。
北海道の中小企業が、東京農業大学などのアドバイスを受けて、開発しました。

こちら、導入前の映像です。
シカは電気柵を乗り越え、田んぼや果樹園に入ってきていました。
しかし、今年は9月から試験的にロボットを導入すると、この通り。
果樹の被害もなく、シカの姿を全く見なくなったと言います。
来年以降の本格導入を目指しているということです。

和久田
「効果がありそうですね。」

中澤アナウンサー
「期待したいですね。
動物は、人間が対策をしても、ある程度の時間が経つと慣れてきてしまうことが多いと、工夫し続けることが、人間側にとっては大切だということなんです。
なので、各地でこれ以上、人的被害が出る前に、やはり対策を前もって打っていくことが、都市部であっても必要になってきているということです。」

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