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2019年3月1日(金)

“発達障害”学生の就職活動 自分らしく働くには

和久田
「今日(1日)から本格的に始まる大学生の就職活動、『就活』の話題です。」

先月(2月)あるシンポジウムで、発達障害のある学生の就職活動について意見が交わされました。
他人とのコミュニケーションが苦手とされる発達障害のある人たち。
就活で自己ピーアールすることが難しいといいます。

発達障害のある学生
「短所は山ほどでてくるけど、長所は何を書いたらいいんだろう?」

発達障害のある学生
「使いものにならない、となったら問題。」

発達障害と就活の問題を考えます。

“発達障害”学生 就活の課題

高瀬
「高橋アナウンサーとお伝えしていきます。」

高橋
「けさのキーワードは『発達障害』なんですけれども、発達障害は『自閉スペクトラム症』や『ADHD』などの総称です。
特徴は、例えば自閉スペクトラム症の場合、他人とのコミュニケーションが苦手で、強いこだわりがあるとされます。
一方、データ入力やプログラミングなどの分野で優れた能力を発揮する人も少なくなく、障害者手帳を持っている人もいれば、持ってない人もいます。」

和久田
「そうした発達障害のある学生も、今日から本格的に就活がスタートするわけですよね。」

高橋
「そうなんです。
発達障害のある学生の数は増え続けていまして、現在、報告されているだけでも5,000人を超えています。
就活での課題を取材しました。」

ゲーム形式で職業体験 就活に必要なスキルを学ぶ

発達障害やその疑いのある学生が就職活動に必要なスキルを学ぶ教室です。
通う学生は東京と大阪でおよそ200人。
苦手とされるコミュニケーション力を養い、自分がどんな仕事に向いているか考えます。

学生
「お電話ありがとうございます。」

この日は、仲間同士で電話のやりとりを練習しました。

学生
「えーと、ご用件はございますでしょうか?」

学生
「えーと、今のところは大丈夫です。」

学生
「お電話ありがとうございます。
承りました。
失礼いたします。」

学生
「失礼しまーす。」

学生
「あー、難しい…。」

さらに、ゲーム形式で行う職業体験は、総務や経理、営業など100種類以上あります。
発達障害があると、実際に経験してみないと仕事を選べないケースが多いといいます。

『ガクプロ』を運営する会社 鈴木慶太社長
「いきなり履歴書、エントリシートを書きましょう、面接に行きましょう、想像が苦手、情報整理できない発達障害の学生には大きな壁。
就職活動がどういうものか、知識を与えることからサポート。」

“発達障害”学生の岐路 一般雇用?障害者雇用?

この時期、発達障害のある学生は、一般雇用と障害者雇用のどちらをめざすか、岐路に立ちます。

言葉を耳で聞いて理解するのが苦手という、田中さん(仮名)です。
「広汎性発達障害」の診断を受けていて、障害者手帳を持っています。
どちらにするか悩んでいた時、母親から勧めれたのは「障害者雇用」の枠で就職することでした。
勤務時間や仕事内容について配慮を受けられます。

田中さんの母親
「ちょっとした配慮や支援があれば、力を伸ばせるなと感じたので、障害者枠のほうが、きっと力を発揮できる。」

採用に積極的な企業も

田中さんは去年(2018年)、障害者雇用のインターンシップにチャレンジしました。
受け入れ先の企業は、発達障害のある学生を積極的に採用しています。
目的の1つは、グループの障害者雇用率ですが、将来的には会社を支える人材に育つと期待しています。

楽天ソシオビジネス 川島薫副社長
「発達障害の学生は、会社に慣れるまで時間がかかる。
ですが、時間をかけて仕事を覚えてもらうことによって、覚えたあとはものすごいスピードで伸びていく。
将来的には彼らがもっと稼ぐ柱になっていく。」

田中さんはインターンシップ中に、言語、計算、空間把握などの能力を測る適性検査を受けました。
解いた問題の例です。
左と右を見比べて異なる字の数を回答。
発達障害がある人の中には一瞬で分かる人もいます。
その場合、書類や伝票などの間違いを見つける仕事に向いているとされます。

田中さんの事務仕事への適性を判定した結果です。
インターン先の合格ラインは青。
田中さんの赤いラインは大きく上回っていました。

担当者
「普段から自信をもっているところが評価につながってよかったですね。」

手応えを感じた田中さんは、障害者雇用で事務の仕事に就くのを第1希望にしています。

田中さん
「障害者枠で入ったから手抜きさせてもらえるとは全く思っていない。
障害枠を使って、自分の力を一番発揮できる場所。」

大学で始まった支援への模索

発達障害のある学生の就活をどう支援するか。
大学で模索が始まっています。

この大学では、どうしても内定がとれない学生に発達障害の疑いがある時、学内の臨床心理士に相談するよう勧めています。
そして発達障害と分かったら、自分の特性を見つめ直し、時間をかけて再チャレンジすることが重要だと伝えています。

早稲田大学 障がい学生支援担当 西出稔行課長
「自分自身にどういう特性があるのか理解をする、そこが大切。
あせらずに、例えば1年、2年かかってもいいので、自己理解してもらうが重要とアドバイスしている。」

就活のスタートラインにさえ立てていない現状

高橋
「これまで、発達障害の自覚もなかった学生が就活をきっかけに、発達障害があるということを分かる、知るケースというのは今、多いんです。」

高瀬
「確かにコミュニケーションが苦手ですと、どうしても面接が不利になってしまうという面はありそうですものね。」

高橋
「就職活動は、自己PR、そして情報収集の繰り返しですからね。
実は、それどころか、就職活動のスタートラインにさえ立てていない現状が分かりました。
去年行われた、こちらの調査をご覧ください。

発達障害のある学生のうち、『書類を提出したことがない』と答えた学生は全体の35.2%。
さらに『面接を受けたことがない』と答えた学生は4割近くに上っているんです。
どうしてかといいますと、大学の就職課に自分で相談に行くこともできず、また、友達から必要な情報を集めることもできないで、たくさん情報が必要なんですけれど、何からどう手をつけていいのか分からないというのが実態なんだそうです。
彼らが就職できなかった場合、社会的な損失は年間151億円にも上るという試算もあるんです。
学生・企業双方にとって大きなマイナスですよね。」

和久田
「VTRに出てくださった田中さんのように、働く意欲も、責任感も、能力もあるのに、スタートに立てなかったりしたらもったいないですよね。」

高橋
「そうですよね。
田中さんがチャレンジする障害者雇用ですけれども、自分ができること、そして苦手なことを理解してもらって働けるというメリットがあります。
取材した大学によりますと、『発達障害のある学生は孤立しがちなので、1人で悩まず、ぜひ相談してほしい』ということでした。」

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