これまでの放送

2019年3月14日(木)

新年度に向け「先生の働き方改革」

和久田
「新年度に向けて大きく見直されるという『先生の働き方改革』について、岩野アナウンサーです。」

岩野
「今日(14日)のキーワードは『学校への保護者・地域の参加』です。
というのも『先生が忙しすぎる!』という、こんなデータがあります。

全国の小学校の先生に聞いたところ、忙しくて『授業の準備をする時間が足りない』という方が90.5%に上りました。」

高瀬
「教材ですとか、授業の準備というのは、先生にとっては最も大切な仕事ですよね。
それが、忙しくてままならないというのは大きな問題ですね。」

岩野
「そうなんです。
そこで今、文部科学省では、学校の業務を見直して、その一部を保護者や地域に担ってもらおうということを求めています。
先行して取り組む小学校を取材してきました。」

先生の働き方改革 保護者・地域が参加

岡山県浅口市の鴨方東小学校。

今月(3月)1日、体育館に集まってきたのは、地域の住民たちです。

生徒
「すてき!」

地域ボランティア 磯崎千恵子さん
「ありがとう、頑張るわ。」

卒業式を前に、ワックスがけをボランティアで行います。
8人がかりで丸1時間。
こうした大がかりな清掃や修繕に、地域の住民が欠かせない戦力になっています。

地域ボランティア 磯崎千恵子さん
「きれいになったので、すばらしい卒業式ができればいい。」

正面玄関を飾る花は、毎週先生が生けていましたが、昨年度から地域の住民が担当しています。

地域ボランティア 大岸貴美子さん
「自分も役に立っているなという実感がもらえるので、学校に来るのはすごく楽しい。」

さらに、休み時間、校庭で遊ぶ子どもたちを見守るのは、4人の保護者。
40人のPTAが交代で担当しています。
子どもたちを保護者が見ている間、先生は、宿題の採点や授業の準備をすることができるのです。

谷野善則先生
「以前に比べて、今は集中して効率的に仕事ができていることは事実。」

先生が忙しすぎる! 保護者・地域住民に告白

この学校では、2年前、先生の負担が大きすぎると、保護者や地域の住民に告白。
それ以来、双方が本音を出し合って、先生の支援策を一緒に考えてきました。
学校が担っていた、正月飾りなどを燃やす「とんど祭り」。
これを地域に任せた結果、教員の負担を大きく減らすことができました。

他にも、サマーキャンプ、登下校の安全指導、防犯教室などは地域に任せ、音楽会、夏休みの水泳教室、夜間の電話対応などは廃止や簡略化。
合わせて50の業務を見直しました。

鴨方東小学校 安田隆人校長
「『教材研究の時間が少し増えた』と感じるとか、先生の生活・仕事に生かされていると実感できた。
健康で元気で笑顔で子どもに接しないと、やっぱり、いけないと思う。」

取り組みによる成果も

岩野
「この小学校では、こうした取り組みと、先生自身の効率化への意識の高まりもあって、先月(2月)の時間外勤務の平均が、2年前と比べて、63時間から3割減っているんです。」

和久田
「20時間近く減っているんですね。」

高瀬
「でも驚いたのは、学校側から『忙し過ぎるんです』って告白したというところですよね。」

岩野
「ただ、やっぱり地域の側からは、最初、戸惑いもあったそうなんですね。
学校側、地域側の両社の距離を、2年かけて丁寧に議論を重ねて縮めていったんです。」

「学校を手伝いたい」 地域住民の思い

学校、保護者、地域が一同に集まる、月に一度の会議です。
地域の住民や企業の代表、PTAや老人クラブの代表などが参加して、先生の業務1つ1つを見直してきました。
学校側は当初、負担の肩代わりをしてほしいと言いだしづらかったと言います。

谷野善則先生
「理解していただくまで、とても怖かった。
先生は楽しようとしていると(思われると)。」

ところが、意外にも地域の側は、学校が声を上げることを待っていました。

地域ボランティア 大岸貴美子さん
「学校側から『ここは手がいる』と投げかけていただかないことには。」

この会の会長、大岸貴美子さんです。
「学校を手伝いたい」という意識は、地域住民の中に強くあると感じていました。
そこで、ボランティアのまとめ役を買って出た大岸さん。
地域に任される業務が決まると、引き受けてくれる人を探します。

手帳には、ボランティアに積極的なメンバーがずらり。
子どもが卒業生だったり、孫が在校生だったりと、学校と縁がある人たちです。
それぞれの空き時間や得意分野を把握していて、次々に声を掛けていきます。

地域ボランティア 大岸貴美子さん
「小学校からワックスがけの依頼が来た。」

地域住民
「大丈夫ですよ。」

地域ボランティア 大岸貴美子さん
「『自分は子どもに関わることはできないけど、環境整備なら手伝うよ』とか、少しずつだけど、ボランティアが増えています。」

学校と地域の“本音”から見える支援策

和久田
「大岸さんのようなキーパーソンがいたから、この学校ではうまくいっているということですよね。
ほかの地域でも見つかるといいですよね。」

岩野
「その意味では、大岸さんが特別とまでは言えないんじゃないかなと思うんです。
というのは、子どもが小学校に通っていたころ、PTAの役員はされていたんですが、直接学校を手伝うきっかけとなったのは、別の保護者から『こんなことやりたいんだけど』と誘われたことだったそうなんです。
その大岸さんが誘ったみなさんが、今、本当に楽しそうに活動していらっしゃいます。
こうした元PTA仲間ですとか、子どもが通っていた時のママ友・パパ友というのは、どこの学校にもあるでしょうから、そうしたつながりから『こんなことをやりたい』という人は探せるんじゃないかな、可能性はあるんじゃないかなと思いました。」

高瀬
「ただ、学校の方から本当に胸襟を開かないと、『ここからは私たちもうやれませんので、やってください』では、なかなかうまくいかないと思うんですよね。
やっぱり、しっかりお互いの本音を近づけていくというのは大事だなと。」

和久田
「コミュニケーションですよね。」

岩野
「まさに、この学校ではそれがきっかけとなっていたわけなんですけれども、学校の先生にお話を伺いますと、学校側からすると、休み時間の見回りありましたよね。
あれをしてくれるだけでも、すごく心理的な余裕につながるとおっしゃっていました。
その心理的な余裕ができると、もちろん教材の研究も進みますし、子どもたちにも笑顔で接することができる、つまり子どもたちのためになるわけですよね。
ですから、抜本的な長時間労働の改革にはならなくても、私たちにちょっとできることはあるんじゃないか、それは考えられるきっかけにできるんじゃないかなと思いました。」

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