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2019年3月31日(日)

旬体感 200年の時が育てた春の味 ~京都 長岡京~

新井
「『旬体感』、今回は春の味覚ですね。」

保里
「京都府長岡京市の、特産のたけのこです。
実は長岡京という場所は、鎌倉時代に道元(どうげん)が中国から孟宗竹(もうそうちく)を持ち帰って、江戸時代に本格的なたけのこ栽培が始まったところなんです。

およそ200年かけて培われてきたたけのこは、ひと味違いました。」

江戸時代から培ってきた栽培法

京都市のすぐ南、およそ8万人が暮らすベッドタウン、長岡京市。
住宅街の一角に、およそ2,000坪もの竹林があります。
ここでたけのこを栽培する山田長作さんと、息子の作登司さんです。

長作さんは、今年(2019年)91歳。
たけのこ掘り歴80年の「達人」です。

保里
「どうやって探すんですか?」

たけのこ農家 山田作登司さん
「“地割れ”を探すんです。」

保里
「地割れ?」

たけのこがある所は、わずかに土が盛り上がって割れ目が見えるそうなんですが…。

保里
「難しいなあ…。」

たけのこ堀り歴80年 山田長作さん
「そっちにはないわ。」

保里
「ない?」

山田長作さん
「下から、こう盛り上がってますやろ。」

保里
「ここですか…。」

保里
「あった!ありました!」

地中深くにあるたけのこを掘り出すために使うのが、この「ホリ」です。

山田長作さん
「どこに根があるか探すわけ。」

傷つけないように、長年の勘で根の下にホリを差し込みます。
すると…。

保里
「たけのこ、出てきました。」

これが自慢の「白子たけのこ」。
実が透き通るように白くて、柔らかくて、えぐみもないんです。

山田作登司さん
「試食しますか。」

保里
「すぐ食べられるんですか?」

山田作登司さん
「掘りたてですんで。」

小郷
「え、ゆでなくていいんですか?」

そのまま、掘りたてを生で食べることができるんです。

保里
「柔らかくて、みずみずしくて、食感もあって甘いですよね。
甘い!梨にちょっとだけ近いような。」

甘くて、食感も少しシャリシャリしていて、本当にフルーツのようでした。
そして、さらにおいしく味わえるという食べ方がこちら。
炭火で焼く「焼きたけのこ」です。
水分を蒸発させることで、より甘みが増すというんです。

保里
「生でいただいた以上に、甘みが増しています。」

山田長作さん
「おいしいわ、甘くて。」

実はこのおいしさ、長岡京ならではの細やかな竹林の手入れに秘密があります。

山田作登司さん
「ワラを敷いて、毎年土を積み重ねるんです。」

こちら、たけのこが育つ土の断面です。
ワラと赤土が積み重なっているんですが、わかりますか?

小郷
「層になっていますね。」

地面全体をワラで覆って、寒い冬でも温度を保つことで、たけのこは土の中で栄養を蓄えます。
その上にかぶせる赤土は水分を豊富に含むので、たけのこがみずみずしく育ちます。
それを何層も積み重ねていくことで、さらにおいしく、みずみずしくなります。
1年かけて土を作る、この江戸時代から培ってきた栽培法が、透き通るような白さの甘いたけのこを生むんです。

長い時をかけて 守り育ててきた味

桜が咲き始める、この季節。
多くの人が、たけのこを目当てに長岡京を訪れます。

保里
「柱が竹になってますよ!」

たけのこは街のシンボルで、至る所に竹やたけのこが…。
飲食店にも、たけのこずしや、なんと中にたけのこが入っているマカロンなど、さまざまなたけのこ料理が並びます。

長岡京のたけのこの特徴が最も分かるのは、料理をするときだといいます。
こちらは、たけのこ掘り名人・山田さんの娘さんのお宅です。
どういうことかといいますと…。

伊関正典さん
「普通(のたけのこ)は、ぬかとか、たかのつめで湯がかないといけないでしょ。
こちらのたけのこは、水だけで湯がきます。」

長岡京のたけのこはえぐみがとても少ないので、ぬかやたかのつめを使わずに、シンプルに湯がくだけでいいんです。
さっと、しょうゆとバターで炒めて食べられるんです。

保里
「おいしい!」

ほかにも、わかめと炊いた若竹煮やつくだ煮、お祝いの席に欠かせないちらしずしなど、「たけのこ尽くし」で旬を味わいます。
こうしてたけのこが食卓に並ぶと、春を感じるといいます。

伊関淳子さん
「たけのこは、毎日食べても飽きませんね。」

伊関正典さん
「やはりこの時期しか食べられないね、これは。」

春の息吹を感じる甘みと独特の食感は、地域の人たちが長い時をかけて守り、育ててきた味でした。

山田作登司さん
「先祖から守られてきた竹やぶを、ずっと維持していこうという思いでやってます。」

保里
「100歳を超えても…。」

山田長作さん
「100歳はちょっと無理やわ。
3年くらいはいけるかもわからんわな。」

新井
「生でも食べられるとは、びっくりしました。」

小郷
「手間暇をかけているから、あの甘さが出るんですね。
味わってみたい!」

保里
「たけのこは放っておいても生えては来るんですけれども、春に向けて1年をかけてこれだけ細やかに手入れをすることで、長岡京のたけのこの味ができているんだなと感じました。」

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