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2019年5月4日(土)

人気ホテルが10連休!その意外な効果

石橋
「働き方改革についてです。
この連休、全国のホテルや旅館は大勢の宿泊客でにぎわっていますが、宿泊業界で働く人たちにとっては、この連休は大忙しですよね。」

新井
「多くの人たちが休む時に働かなければいけないし、大変ですよね。」

石橋
「実は、この宿泊業界、離職率が高いんです。
業種別の割合なんですが、製造業や建設業などと比べて、宿泊業・飲食サービス業は30%と突出して高いんです。

こうした中、人材を確保しようと、ある大胆な取り組みを始めたホテルがあります。」

人材を確保せよ! ホテル“10日間休業”

リポート:齋藤公介ディレクター(NHK大分)

全国有数の温泉地、大分県別府市にあるリゾートホテルです。

なんといっても売りは、絶景を臨む露天風呂に、1,000人収容できる巨大バイキングレストラン。
この大型連休中、647ある客室は連日、すべて満室です。

この人気ホテル、実は、従業員の働き方改革のために、ある異例の取り組みを始めたんです。
それは、10日間にわたる全館休業。

普段、宿泊客でにぎわう館内も、ご覧のとおり。
この10日間、9割以上の社員が休暇を取得することができました。
従業員に、こんなごほうびも。

「おはようございます。」

「パスポートありますね?」

「あります。」

行き先は、なんとグアム。
ツアー料金の6割をホテルが負担してくれるんです。

従業員
「グアム、海が楽しみです。
泳いでみたいです。
この1月の休みのために1年間、まだ1年生ですけど、頑張ってきました。」

「これが僕たちの年末年始です。」

ほかにも、シンガポールやマカオのツアーも。
従業員たちは思い思いの長い連休を楽しみました。

従業員
「今回は10連休で土日が使えたので、ふだん一緒に過ごすことができない子どもたちと一緒に旅行することができました。」

「たくさん休んだので、働きたいという気持ちが出てきました。」

この休業によるホテルの損失は数億円にも上るのですが、人材確保の面でメリットは大きいといいます。

杉乃井ホテル 佐々木耕一総支配人
「自分の働きたいところにあっているかどうか。
そこに選ばれるような会社になっていかないといけない。
旧態依然とした処遇であれば、いい人に来ていただけない。
覚悟をもって踏み切るしかない。」

こうした改革の背景には、人気観光地ならではの人材獲得競争があります。
別府がある大分県は、外国人観光客の伸び率がなんと全国1位。

外国人観光客
「別府最高ー!」

外国人観光客の増加にともなって、ホテルの建設ラッシュが起きているんです。
あの世界最大級のホテルチェーンも参戦、優秀な人材を確保しようとしています。

ホテル運営会社 ハンス・ハイリガーズCEO
「別府には大きなチャンスがあると考えている。」

異例の10日間にわたる全館休業。
今、新たな人材を獲得する上で、効果を生んでいます。

「ホテル自体、連続してお休みをとって。」

この連休中に行われている就職説明会。
学生たちは、ホテルの働き方改革に強い関心を示しています。

学生
「すごいなと思いました。」

「従業員が全員休みというところが、魅力的だなと感じます。」

さらに、これまであまり来なかった地域の学生たちが参加するなど、変化が出はじめています。

杉乃井ホテル 廣瀬英司総務部長
「関東や北海道など、全国的に応募がくるということが顕著になってきた。
同業種だけでなく、異業種とも学生の獲得を競わなければいけない状況になっている。
対等といえばおこがましいけれど、今まで以上に(人材獲得の)武器ができたんじゃないかと喜んでいる。」

人材獲得に効果!宿泊業界が変わる?

新井
「このホテルの従業員の皆さんは、今年(2019年)初めにしっかり10連休をとって、リフレッシュしたうえで今の大型連休の仕事に臨んでいるというわけなんですね。」

石橋
「取材にあたった大分放送局の齋藤ディレクターです。
大胆な働き方改革は、新たな人材獲得にもつながっているようですね。」

齋藤公介ディレクター(NHK大分)
「はい、そうなんです。
この10日間の休業は去年(2018年)から始まった取り組みなんですが、去年の採用活動では、その効果もあって、応募者数が前の年に比べて1.5倍にも増加したんです。
最近の若い学生たちは、仕事へのやりがいだけではなく、プライベートの時間を重視する傾向があります。
こうした中で、ホテルを休業してまで従業員の休暇を確保する企業に魅力を感じているのではないかと思います。」

新井
「こうした取り組みは、他の宿泊施設にも広がっていくのでしょうか?」

齋藤ディレクター
「このホテルのように10日間完全休業とまではいきませんが、宮崎のリゾート施設でも、従業員の働き方改革を理由に、来年(2020年)1月、開業以来初めて、2日間休業することを決めました。
このほかにも休館日をもうけて、従業員に休みをとらせるホテルや旅館なども、全国的に徐々に出てきています。
優秀な人材を確保するためには、会社にとって、時に痛みを伴う大胆な『働き方改革』が必要な時代になってきていると感じました。」

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