これまでの放送

2019年5月10日(金)

体操×アーバンスポーツ 新時代スポーツの形

高瀬
「各界のトップランナーに話を聞く、シリーズ『令和に生きる』。
豊原アナウンサーです。」

豊原
「まずは、こちらご覧ください。」

第1回のオリンピックから長い歴史を持つ「体操競技」。
BMXバイクやスケートボードなど、ストリートで生まれ、若者に人気の「アーバンスポーツ」。

豊原
「この2つを結びつけることで、新しい時代のスポーツのあり方を示そうとしている人がいるんです。」

勝利だけでなく“楽しむ” アーバンスポーツの魅力

先月(4月)広島で行われたアーバンスポーツの国際大会。
3日間で訪れたのは、なんと10万人。
選手、そして観客は、勝敗以外のところにも魅力を感じています。

選手
「自由なんだ。
毎週、新しい技が生まれる。」

選手
「めちゃめちゃ楽しい。
楽しんだ者勝ち。」

選手たちは勝つことはもちろん、「楽しむこと」も大切にしているのです。

この大会を主催した、渡辺守成さん、60歳です。
アーバンスポーツに取り組む選手たちの考え方に新たな可能性を感じています。

渡辺守成さん
「本当にみんな楽しそうなんだよね。
スポーツの新しい形がここで作られつつあると思う。」

国際体操連盟会長が なぜアーバンスポーツ?

実は渡辺さんは、国際体操連盟の会長として、世界148の国と地域の競技団体を統括する立場です。
2年前に就任して以来、体操の採点にAIを導入するなど、今の時代にあった競技のあり方を模索してきました。
その中で、これまでと同じような考え方では、体操界、スポーツ界の発展はないと危機感を覚えるようになりました。

渡辺守成さん
「オリンピックに出るためにどうするとか、そういうことばかり考えている。
体操も変わらないといけない。
昔のままの体操をこのまま愛し続けてくれるのか。」

これまで体操競技では、オリンピックの金メダルが最大の目標とされ、達成するために若い年代から大会で成績を残すことが求められてきました。
結果として、トップ選手はオリンピックや世界選手権で好成績を残してきました。

しかし、その裏で、登録人口はこの10年でおよそ4割減少していました。

東京都内の体操クラブ。
子どもたちが体操に対して求めるものも変わってきていると言います。

体操教室 コーチ 黒崎雅人さん
「選手を目指す子が少なくなった。
この子いい選手になれると思って推していくと逃げていってしまう、続けられなくなってしまう子もいる。」

渡辺守成さん
「スポーツは本来、楽しくて始めている。
いつの間にかトップアスリートになるにつれて、楽しさが減っている。
スポーツのあるべき姿からかけ離れていると思う。」

そんな時に出会ったのが、フランスで開催されたアーバンスポーツの世界大会。
子どもから大人まで、5日間で60万人以上の観客が訪れていました。
渡辺さんは、アーバンスポーツにこそ、これまでのスポーツに足りなかったものがあると感じました。
先月の大会で渡辺さんが、目を留めた場面がありました。

スケートボードの予選。
1分の制限時間内に技を出し続け、点数を競います。

この選手は、ボードを壁のヘリにひっかける難しい技に挑み、失敗。
ここで制限時間は終了。
これまでのスポーツなら演技を終えるはずですが、勝敗には関係ないにも関わらず、同じ技にもう1度挑みます。

観客やほかの選手が見守る中、もう1度。
点数には反映されなくても、挑戦する姿勢を選手や観客は大切にしていたのです。

選手
「さっきの(演技)では勝てないが、自分の中では一つ乗るって決めたもの(技)を乗れたので良かった。」

渡辺守成さん
「アーバンスポーツの選手は、自分で考えてチャレンジしていくのが普通。
自らいろんなことに挑戦していく環境を、トラディショナル(伝統的な)スポーツはもっと作らないといけない。」

アーバンスポーツから学び 新時代のスポーツへ

新たな時代に向け、渡辺さんは大きな決断をします。

アーバンスポーツの1つ、「パルクール」の試合を国際体操連盟が主催することにしたのです。
パルクールは、さまざまな障害物を体ひとつで乗り越え、そのパフォーマンスの芸術点やタイムを競い合う種目です。
自ら考えて、技に挑戦していく。
選手たちの姿勢を学ぶことで、体操界をさらに発展させていきたいと考えています。

渡辺守成さん
「スポーツが進化し続けていかないといけない。
進化するということは、次の世代が何を望んでいるのか。
どんなものを望んでいるのかリサーチして、それに対して変化していかないといけない。
令和元年を機に、2020年を機に、未来のスポーツ界を作っていかないといけない。」

スポーツの“新時代” カギは“楽しむこと”

和久田
「それこそトップレベルの選手たちとかかわってきた組織の人が自ら、こんなに新しい風を吹き込むって驚きました。」

高瀬
「美しい体操だけじゃなくて、楽しい体操というのも追及していくと。」

豊原
「渡辺さんは『楽しいという気持ちが原点にあれば、たとえメダルが取れなくても、トップ選手になれなくても、その競技を辞めることはない。ずっと関わり続けていくことができる』と話していました。
これが新しい時代のスポーツになっていくかもしれません。」


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