リポート:新里昌士(NHK福岡)
日本全国で展開している博多ラーメンの専門店「一蘭(いちらん)」。
外国人観光客にも人気です。
外国人観光客
「最高のラーメン。
香港でも有名です。」
人気の秘密は、日本で特許を取得している独特の営業スタイル。
「味集中カウンター」と呼ばれる、1席ずつ仕切られた座席でラーメンを食べます。
すでに香港や台湾などにも出店。
中国大陸進出を視野に入れていた矢先に、思わぬ事態が起きました。
去年(2018年)、中国で「一蘭」そっくりの店が現れたのです。
放置すれば、中国に店舗を展開したとき妨げとなる可能性があります。
一蘭 広報宣伝 佐々木千沙子さん
「弊社と間違えて入店したという声もあって、客に迷惑をかけている点においては悪質だと考えている。」
一蘭は、中国の知的財産問題を扱う弁護士に対応を依頼しました。
福岡をはじめ、アジア4か国にオフィスを構える法律事務所のトップ・田中雅敏弁護士です。
明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「ロゴは確かに似ていますね。」
模倣店の名は「蘭池(ランチィ)」。
すでに、中国で30店舗以上を展開しています。
店の外観は、「一蘭」とそっくりです。
さらに、店の中も…。
明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「雰囲気は、まさに一蘭のコンセプト。」
「一蘭」が日本で特許を取得している「味集中カウンター」とほぼ同じつくり。
細部に至るまで、徹底的に模倣されていました。
明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「盛りつけも似ている。
全部いっしょ。」
「うまみ的な部分がすごく薄い気がする。
一蘭とは全然違うラーメン。」
店のデザインやロゴは「一蘭」の知的財産。
それを侵害している認識はあるのか。
私たちは「蘭池」の本社を訪ねました。
「福岡のテレビ局だが。」
担当者
「中に入って。」
「この店に関心があり、取材をしたい。」
「分かったけど、撮らないで。
早く止めて。」
交渉を重ねた結果、営業担当者に話を聞くことができました。
蘭池
“こんにちは。”
「蘭池の本社ですか。」
蘭池
“そうです。”
「日本の一蘭との関係は?」
蘭池
“以前、一蘭を視察したことがある。
一蘭のスタッフも商品開発に参加した。”
「つまり、日本の一蘭と関係があるのか?」
“中国人が作りあげた店だ。
れっきとした独自ブランドだ。”
こうした「蘭池」の主張について、「一蘭」側は“一切関わりはない”と否定しています。