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2019年5月15日(水)

博多ラーメン 中国で“完コピ”

高瀬
「脅かされる日本の知的財産についてです。」

和久田
「こちら、日本の大手雑貨店です。
中国で200店舗以上を展開しています。
一方、その模倣をしている中国企業。
本家の日本企業に対して『商標権を侵害している』と訴訟を起こし、おととし(2017年)の1審では、なんと本家が敗訴しました。
争いはその後、2審に移っています。」

高瀬
「中国ではキャラクターの無断使用や違法コピーなどが後を絶ちません。
知的財産の侵害は米中貿易摩擦の要因のひとつともなっています。
従来と異なり、大胆かつ巧妙化しているその手口。
有名ラーメン店で起きているケースを取材しました。」

“完コピ”ラーメン店 巧妙化する中国の模倣

リポート:新里昌士(NHK福岡)

日本全国で展開している博多ラーメンの専門店「一蘭(いちらん)」。
外国人観光客にも人気です。

外国人観光客
「最高のラーメン。
香港でも有名です。」

人気の秘密は、日本で特許を取得している独特の営業スタイル。
「味集中カウンター」と呼ばれる、1席ずつ仕切られた座席でラーメンを食べます。

すでに香港や台湾などにも出店。
中国大陸進出を視野に入れていた矢先に、思わぬ事態が起きました。
去年(2018年)、中国で「一蘭」そっくりの店が現れたのです。
放置すれば、中国に店舗を展開したとき妨げとなる可能性があります。

一蘭 広報宣伝 佐々木千沙子さん
「弊社と間違えて入店したという声もあって、客に迷惑をかけている点においては悪質だと考えている。」

一蘭は、中国の知的財産問題を扱う弁護士に対応を依頼しました。
福岡をはじめ、アジア4か国にオフィスを構える法律事務所のトップ・田中雅敏弁護士です。

明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「ロゴは確かに似ていますね。」

模倣店の名は「蘭池(ランチィ)」。
すでに、中国で30店舗以上を展開しています。
店の外観は、「一蘭」とそっくりです。

さらに、店の中も…。

明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「雰囲気は、まさに一蘭のコンセプト。」

「一蘭」が日本で特許を取得している「味集中カウンター」とほぼ同じつくり。
細部に至るまで、徹底的に模倣されていました。

明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「盛りつけも似ている。
全部いっしょ。」

「うまみ的な部分がすごく薄い気がする。
一蘭とは全然違うラーメン。」

店のデザインやロゴは「一蘭」の知的財産。
それを侵害している認識はあるのか。
私たちは「蘭池」の本社を訪ねました。

「福岡のテレビ局だが。」

担当者
「中に入って。」

「この店に関心があり、取材をしたい。」

「分かったけど、撮らないで。
早く止めて。」

交渉を重ねた結果、営業担当者に話を聞くことができました。

蘭池
“こんにちは。”

「蘭池の本社ですか。」

蘭池
“そうです。”

「日本の一蘭との関係は?」

蘭池
“以前、一蘭を視察したことがある。
一蘭のスタッフも商品開発に参加した。”

「つまり、日本の一蘭と関係があるのか?」

“中国人が作りあげた店だ。
れっきとした独自ブランドだ。”

こうした「蘭池」の主張について、「一蘭」側は“一切関わりはない”と否定しています。

中国ではすでに商標登録も…

法的措置の検討を始めた田中弁護士。
しかし、「蘭池」は先手を打っていました。

「商標名に『蘭池』と入力して検索を行うと、31件ですね。」

国ごとに行われる商標登録。
「蘭池」は、すでに中国での手続きを済ませ、店舗名やロゴの権利を確保していたのです。

一蘭も中国で商標登録をしているものの、まだ営業を始めていません。
それが不利に働けば、裁判で負けるリスクもあるといいます。

明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「海賊版を作って、まねをして、摘発されそうになったら逃げる、従来の乱暴な模倣とは違う。
勝ち負けの分からない戦い(裁判)をやりにくいのが現状。」

裁判以外の方法を探るため、田中弁護士は、知的財産の問題で多くの実績がある中国人弁護士を訪ねました。
アドバイスされたのは、「一蘭」が持っている権利を強く主張し、模倣をやめるよう警告文を送ることです。

中国人弁護士
「(ロゴの)このフォント・字体・色は立派な著作権侵害。
権利者(一蘭)が積極的に権利行使をすれば、模倣者(蘭池)もプレッシャーを感じる。
(ロゴ使用の)差し止めは成功できる。」

常に監視を続ける姿勢を示し、相手を根負けさせる狙いです。

警告文を送ってから、3か月…。
ようやくロゴが変わりました。

一蘭は、営業スタイルそのものの模倣についても、対応を検討していきたいとしています。

明倫国際法律事務所 田中雅敏弁護士
「警告を再度出すという方法もあるし、引き続き、我々が見ていることを伝える。
模倣品がおきる、類似品が出るというのは、経済がグローバルになっていく以上は、どうしても防げない。
今までにもまして、事前準備が非常に大事。」

高瀬
「日本企業が、製品やビジネスモデルを模倣される例は、『一蘭』だけではありません。
中国政府は今、国を挙げて知的財産権の登録を推奨していて、中国企業が、海外のブランド名や商品名を、本家に先回りして商標登録するケースが相次いでいるといいます。」

和久田
「田中弁護士は、日本各地でセミナーを開き、中国進出を考えている企業に対して、商標や特許の出願を急ぐよう呼びかけています。」

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