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2019年6月4日(火)

ビジネスに求められる“アート”

高瀬
「ずらりと並ぶのは、アートの感覚を仕事に生かそうという本です。
中には10万部を超えるベストセラーになったものもあります。」

和久田
「今なぜ、ビジネスにアートが求められているのでしょうか。」

求められる“アート力” ゼロから生み出す発想

ART&LOGIC講師 増村岳史さん
「これは絵ではありません。
単なる“線と空間の集合体”です。
という認識で、この絵を描きましょう。」

ビジネスマン向けのアートセミナーです。
取り組んでいるのは、人物の絵を逆さにして模写することで、固定観念を捨てる訓練。
人の顔だという思い込みをやめて描いてみると…。

セミナー受講者
「逆さまに見て線だと思ったら、意外と描ける。」

セミナー受講者
「普通に描くより、うまく描けたのかも知れない。」

学んでいるのは、既成概念を打ち破り、ゼロから生み出す「アート力」です。

参加者の業種は、ITや不動産など多岐にわたります。
AIが急速に進化する中、自分の仕事の先行きに不安を感じているというビジネスマンたち。
人間にしかできない、ゼロから生み出す力を身につけたいのだと言います。

セミナー受講者
「これから何か新しい方策とか、発想力の転換ができれば。」

ART&LOGIC講師 増村岳史さん
「AIの時代になればなるほど、人がやる事というのはなんだろう。
その先にやっぱり、直感とか感性が重要になってくる。」

ものづくりと“アート力”

AI時代を迎え、「アート力」をものづくりに取り入れたメーカーがあります。
バイクなどを製造しているこの会社。
これまで、マーケティングに基づき売れると見込んだ、機能性の高い製品を中心につくってきました。

しかし近年、機能の面では他社との差がつきにくくなっているのが課題だと感じています。
そこで、カギとしたのが…。

ヤマハ発動機 デザイン本部長 長屋明浩さん
「アートが非常に大事なキーワードで。」

この会社では、市場調査などに頼らず、社員の感性を前面に出した斬新なモデルを次々と発表しています。
体を優しくくるむ衣をイメージした、電動アシスト三輪車。

こちらは真っ白な車いす。
結婚式など「ハレの舞台」での利用を想定しました。

アート力で既存のイメージを打破し、これまでになかったニーズを掘り起こそうとしています。

ヤマハ発動機 デザイン本部長 長屋明浩さん
「もっと、どんどん仕掛けちゃって!」

デザイナー
「既存の枠をいかに超えるかは意識しています。」

ヤマハ発動機 デザイン本部長 長屋明浩さん
「(アート力で)お客さんのイマジネーションが発展して、また次の物につながっていく連鎖が起こってくるんで、そういうスパイラルが回っていくことをできるといいなと思う。」

“アート力”で新規事業を立ちあげ

社員の「アート力」で、新規事業を立ちあげた会社もあります。
長年、電子カルテなどの情報システムを手がけてきた会社です。

日本事務器(NJC) 佐藤賢一さん
「今回は本当のゼロイチということなので、そこは今までと大きく取り組み方が違います。」

変化の激しいIT業界で生き残りをかけて、新しい分野に進出しようと決めたこの会社。
コンサルティング会社から「アート力」を生かすようアドバイスを受け、議論を始めました。
「今ある技術で出来ることを探す」という、これまでの発想を捨て、それぞれが「やりたい」ことをとことん出し合い、新たな可能性を探ります。

「都会にいなくても元気に働ける…ちょっと変わっているかもしれない。」

「地方の雇用が増えればいいな。」

デザインコンサルティング会社 IDEO Tokyo 野々村健一さん
「こんなことができたら楽しいのに、こんなことがあったら便利なんじゃないか、そういった感覚っていうのは、まだまだAIには補完できないところかなと思う。」

そうして出来上がったのが、農作物の流通アプリです。
生産者と流通業者が出荷数などの情報をいち早く交換でき、食品ロスや価格の暴落を防ぐという新システムです。

アート力を生かしたことで、社員の誰もが想像していなかった新たなサービスが実現したのです。

日本事務器(NJC) 松島政臣さん
「困っていることとか、こうなったらいいという理想の姿を共感できた。
パッションというか、やりたいことがぶれないっていうことが大事なんじゃないか。」

新しいアイディアにつながる“アート力”

ゼロからイチを生み出すアート力。
それを生かそうという模索は、管理部門にまで及んでいます。
アートセミナーで学んだ宮崎海さんです。
会社の人事部で採用を担当しています。
これまでは、決められたことを着実に進めることが求められてきましたが、今、仕事のあり方を根本的に見直す必要に迫られています。
今後、就活のルールが大きく変わる可能性があるからです。
現在は採用を始められる時期が決まっていますが、今後は1年を通じていつでも採用できるようにしようという議論が起きているのです。

いつ、どんな説明会や採用をすれば、会社の求める人材が集まるのか。

丸井グループ 人事部 宮崎海さん
「通年採用が増えると、学生も忙しくなってきていて。」

これまでのやり方にとらわれない「アート力」を生かし、部全体で新しい採用方法を模索しています。

丸井グループ 人事部 宮崎海さん
「新しいアイデアは出せっこないと半分あきらめていたんですけど、毎日小さいことかもしれないけど、積み重ねたらできるんじゃないかと思えている。」

AIの進化と“アート力”

高瀬
「いつだって先行きというのは不透明で、大胆な発想が求められるんですが、AIの登場もあってか、今はゼロから新しい何かを生み出す『アート力』が求められる、ということなんですね。」

和久田
「いかに具現化するか、ということですよね。
企業経営の専門家も、次のように指摘しています。」

多摩大学大学院教授 紺野登さん
「ムダをとる、今あるモノを考える、ということは日本の企業は得意だったわけですが、これだけやっていてもなかなか成長しない。
やはり引っ張っていくのは、自分自身が内側からですね、出てくるその力を使って、イノベーションを起こす、新しい物を作っていくと、そういうことではないかと思います。」

和久田
「AIの進化に伴って、やはり仕事、奪われるんじゃないか、っていう声もありますけれども、AIが得意とするのは、あくまで膨大なデータをもとに答えを導き出すこと。
だとすれば、やはり、全く新しいビジネスチャンスを生み出すには、人間の直感、ひらめき力、これまで以上に大事になるんじゃないかと感じます。」

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