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2019年6月26日(水)

文章が変わる? “語彙力辞典”が人気

いまツイッターなどSNSでよく使われていることばです。
伝えたいことがあるけれど、うまい表現が見つからない時、文章の最後に「語彙力」とつけます。
「本当はもっとすごいんだよ〜察してね」という意味が込められています。
こうした、なかなかいい表現が浮かばないけど、SNSで発信する文章のクオリティをあげたい人たちに、いま大人気となっている日本語の辞典があります。

知らないことばにたどり着く辞典

いま、語彙力をキーワードにした本が数多く出版されています。
なかでも累計の発行部数が50万部突破と大ヒットしているのがこちら。
「美しい日本語選び辞典」「感情ことば選び辞典」など全7種類のシリーズです。
たとえば、「穏やか」を別のことばで表現したいときに辞書をひらくと、「安泰」「安穏」「円満」「温顔」「温恭」など、さまざまなことばを知ることができます。
出会ったことばの意味を調べる辞典ではなく、どちらかというと「知らないことばにたどり着く」というのが主な使い方です。

この辞典でSNSの文章は変わるのでしょうか。
毎日使っているという宮座美帆さん(画面右)は2年まえにツィッターをはじめました。
しかし、ありきたりの文章しか書けないことに愕然としたといいます。
ことばで表現しきれない内容を、擬音や絵文字をつかって補っていたところ、この辞典に出会いました。
宮座さんはつぎのように語ります。

宮座美帆さん
これを使うことによって、何が伝えたかったのかとかちゃんと文章としてまとまる。
その中に見合った言葉を使えるので、より相手に届きやすくなるかなと思っています。」

彼氏と一緒に過ごしているときに感じる幸せについて、辞典を見ながらつづった文章があります。
絵文字は全くつかわず、手紙に使うことが多い「幸甚(こうじん)」ということばで終わりました。

宮座美帆さん
「これ幸甚(こうじん)って読むんですけど、この上なくありがたいとか、この上ないくらい幸せというのを表現するときにこの幸甚っていうのを使うんですよ。」

辞典を編集した学研プラスの田沢あかねさんは、ヒットの理由についてSNSとの相性の良さを指摘しています。

ことば選び辞典 編集者 田沢あかねさん
「辞典って、ことばの意味を非常にシンプルにまとめているため、短く印象的な表現を使うツイッターなどSNS等と相性がいいのではないかと思います。
自分でもはっきり言語化できないものを探したいという欲求を、辞典という形で解決できるように提供しています。」

さらに、辞典にはインターネットで検索するのとは違う魅力があるというのが、趣味でブログを書いている山本聡一郎さんです。
目的のことばを調べたあとも、おもしろくて読み続けることがよくあります。
調べるつもりがなかったことばも自分のモノになる。
それが紙の辞典の魅力と山本さんは語ります。

山本聡一郎さん
「インターネットだとピンポイントで見つけられる部分が効率化できるんですけど、それ以上の広がりがない。
辞書でアナログ的に調べていくと、いつの間にか脱線してみたりとか、本来知りたかった以上のことを知ることができる。
すごく新鮮です。」

出版社によると、SNSを発信するときに文章を書く人が増えていること、変わったことばを使って目立ちたいというのも辞典が人気の理由だそうです。
また「文豪っぽい表現を探す」などの使い方ができる辞典もあり、趣味で小説や漫画を書くとき、作品のクオリティをあげたい人に人気だそうです。

(取材:名古屋放送局 加藤里奈)

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