これまでの放送

2020年2月3日(月)

ひきこもりを企業の戦力に

全国各地で“人手不足”が問題となっていますが、その一方で、25歳から34歳までの若い世代で、ひきこもりなどで仕事に就いていない人は、160万人近くいるとされています。都内の人材紹介会社では、こうした人材を貴重な労働力としてとらえなおし、企業の戦力にしようとする取り組みを始めています。

ひきこもりだった若者 “企業の戦力”に育成

神奈川県に住む、遠藤さん・30歳(仮名)。IT企業で働いていますが2年前は、ひきこもりの状態でした。20歳で専門学校を卒業し、町工場に就職しましたが長続きせず、2度の転職をした遠藤さん。職場でのコミュニケーションに苦手意識があり、精神的に追いつめられたといいます。28歳の時には働く気力がなくなり、ひきこもりになりました。

遠藤さん(仮名・30歳)
「“自分以外、敵なんじゃないか”という、人とコミュニケーションを取るのが非常に恐怖を覚えてしまったというところがありまして。変えなきゃいけない、変えなきゃいけないというのは、ずっと思っていたんですけど。」
 

遠藤さんのような人たちを受け入れている、人材紹介会社では、転職の支援事業を主に行っています。加えて去年(2019年)から、就職したものの離職したり、引きこもりになったりした若者を貴重な労働力ととらえ、支援する事業を始めました。

まずは、遠藤さんのように引きこもりだった人や、アルバイト経験しかない人を“正社員”として採用。業界で必要な専門知識だけでなく、電話の取り方などビジネスマナーも一から教えます。そしてひと月後、取引のあるおよそ400社の企業の中から、それぞれに合った最適な就業先を見つけ、期間契約のスタッフとして派遣する仕組みです。

若い人材を鍛え直し、新たな労働力にするこの事業。
将来性を見出し、採算度外視で60人あまりを採用しました。

MAP 執行役員 高橋秀誓さん
「エネルギーがむちゃくちゃいると思います、向き合うのには。やっぱりこちらも疲れますし、やはりエネルギーを使う。面談した後はやはり自分自身も疲弊したりするが、活躍する人材にすれば、そういう方はもう過去の経歴は過去のままで、これから信頼される人間になって、より活躍する人はどんどん増えていくのではないか。」

この会社から5人の若者を受け入れている、IT企業です。人手不足の中で、安定して人材を確保できるメリットを感じています。

受け入れ側のIT企業 清水敬太さん
「研修ですとか教育をある程度していただいてから、こちらに来ていただいておりますので、そこは非常に安心感があるといいますか、採用する側の意見としましては非常にありがたい。」

去年4月に、IT企業に派遣された遠藤さん。機器の保守点検の仕事を任されました。遠藤さんが業務で挫折しないよう、人材紹介会社では、派遣したあともスキルアップに必要な資格の勉強会などを定期的に開催しています。

さらに、メンタル面をケアする専門スタッフもいます。
職場の人間関係や業務上の悩みに、寄り添います。

MAP 専門スタッフ 金澤汐織さん
「共感することと絶対に否定はしないこと。“いつでも話せる人がいるんだ”という安心感につなげられると“じゃあもう1回がんばってみよう”につなげられるかなと思っているので。」

遠藤さんは、現在入社10か月です。機器の点検作業には慣れてきましたが、人と接する仕事にはまだ壁があると感じています。

遠藤さん(仮名・30歳)
「何をするにしても、やはり“自分に自信がない”というのが、どうしても今はつきまとっているというような状態でありますね。」

どうすれば遠藤さんに自信をつけてもらえるのか。社内の研修会で、遠藤さんが自分の経験を伝える機会を設けることにしたのです。テーマは、「仕事を無理なく続けるためのコツ。」

遠藤さん(仮名・30歳)
「いま現場で、みなさまいろんなことあると思うんです。人間関係もそうですし…。本当につらいときは、素直に助けを求めるようにしてください。」

後輩の社員
「仕事場でやること自体も増えてきていて…。心には残りましたね。」

後輩の社員
「自分の生活、生き方にいかしていけるのかなとは思います。」

人材紹介会社では、未経験の若者たちを3、4年かけて1人前に育てていきます。

遠藤さん(仮名・30歳)
「まだ至らないところはありますけども、“やれば少しはできるんだな”というところで、自分自身には自信というものが少しだけ、去年から比べるとついたのかなと思います。」

取材:田中ふみ(ディレクター)

Page Top