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2020年2月13日(木)

世界最大の洞窟 ミャオティンに挑む

中国・貴州省南部の山奥に世界で最も大きな洞窟があります。その名は「ミャオティン」。あまりに巨大なため、その内部がどうなっているのか、くわしいことはわかっていませんでしたが、NHKの4Kカメラが、その全貌を映し出すことに成功しました。92個の大型照明を使って照らし出した世界で初めての映像です。

こちらは、ミャオティンで最大の鍾乳石の柱。中央に見えるのが、人の姿です。

高さは37メートル。10階建てのビルを超える高さです。天井から落ちる水に含まれた石灰分が少しずつ積み重なってできたもので、この大きさになるまでに37万年かかったと考えられています。

ミャオティンの大きさを、あらためて見てみます。東京ドームやその周辺の街並みと比較してみました。全長870メートル、高さは最大で185メートル。容積は東京ドーム8個分をゆうに超えます。
では、どうしてこのような大きな洞窟ができたのか。それが謎でした。この地域には少なくとも10万を超える洞窟があると言われていますが、その中でもミャオティンは圧倒的な大きさで、誕生の謎を解き明かすことは、学術的に大きな価値があるとされています。しかし、あまりに洞窟が巨大で、しかも真っ暗なため、全体を照明で照らすのが不可能だと言われ、詳しいことはわかっていませんでした。そこで、この世界最大の闇を照らし出そうという、壮大なプロジェクトが始まりました。

まず、私たちは専門家とともに照明の設置計画を立てるためミャオティンの下見に向かいました。
内部は真っ暗で、手持ちのライトの光が闇に吸い込まれていくようで、奥は何も見えません。

地質学者 浦田健作博士
「全くライトが届かない。暗い塊が奥にいるって感じですね。」

足元は、深さのわからない水たまりや、不安定な岩場が広がっています。そんな中、息をのむような美しい光景に出会いました。

これは「方解石」と言われるもので、1ミリほどの結晶に光が当たると反射してこのように見えます。
さらに先に進むと、巨大な岩や崖が迷路のように入り組んでいて、自分たちがどこにいるのかわからなくなり、引き返さざるを得ないことが何度もありました。

今回のプロジェクトで大きな力を発揮したのが、中国の照明担当チームです。
用意したのは92個もの大型照明、そして6,000メートル分の電源ケーブルです。照明は最大で1個30キロ。足場の悪い場所を、人力で少しずつ運ぶしかありませんでした。

ミャオティン全てを照らし出せたのは2週間後。全貌が明らかになったことで、なぜこれだけの巨大空間が生まれたのか、わかってきました。
手がかりは、壁や天井にある複数の滑らかな凹凸や丸い穴でした。これらは、水中でしか作られない地形なのです。

地質学者 浦田健作博士
「水が岩を溶かした跡ですね。ミャオティンの赤ちゃん時代がここに記録されている。」

数百万年前、ミャオティンは今よりはるかに小さく、全てが水で満たされた水中洞窟だったことがわかりました。水中洞窟の痕跡は、至る所で見つかりました。

ミャオティンは、いくつもの水中洞窟の合流地点のような場所でした。集まった大量の水は壁を溶かし、削り取っていきます。やがて、天井が支えられなくなり崩落。その結果、この巨大な空間ができたと考えられています。

ミャオティンには、まだまだ謎が残されています。ミャオティンには小さな昆虫や魚などはいますが、この規模の洞窟にしてはとても数が少なく、なぜ少ないのかも謎の1つです。今後、調査に参加した研究者たちは、共同で論文を執筆して、さらにミャオティンに関する研究を進めていくということです。

取材:門田真司カメラマン

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