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2020年2月29日(土)

“共同化”で漁業危機に立ち向かう

東日本大震災から9年。カツオやカジキなどの水揚げが盛んで東北有数の漁港、宮城県・気仙沼港は、震災で壊滅的な打撃を受け、水揚げ高は震災前の水準に戻っていません。漁業関係者は生き残りをはかろうと、いま、漁業のあり方を変えようとしています。

ライバル企業と手を組む 新船の建造 経営効率化

多くの漁業関係者で賑わう港。
この日、新しい船が出港しようとしていました。
船の名は、「かなえ丸」。気仙沼の漁業復活への願いが「かなう」ように、名付けられました。気仙沼では6年ぶりの新しい漁船になります。
建造したのは、地元の6つの漁業会社が出資して作った新しい会社。

その会社の社長、鈴木一朗さん。
初出航の日を楽しみにしていました。

気仙沼かなえ漁業 鈴木一朗社長
「われわれ漁業者の1つの大きなステップになれば。しなくてはならないと思っている。」

あの日。津波によって壊滅的な被害を受けた気仙沼。
鈴木さんの事務所も津波で流され、会社の経営は大きな打撃を受けました。

気仙沼かなえ漁業 鈴木一朗社長
「震災後、多くの人が離れていった。『先行きが見えない』というのを、ひしひしと年を追うごとに感じてきた。」

「このままでは気仙沼の水産業が崩壊しかねない」。
そこで行き着いたのが、自らの会社をたたみ、ライバル会社と手を組むことでした。

気仙沼かなえ漁業 鈴木一朗社長
「自分たちの培ってきた、はえなわ漁業を残す大きな目的のために、(自社の看板を)おろすんだと。1つになって、一緒になって支え合おうと。」

新しい会社が8隻の漁船を一括して管理することで、経営の効率化につなげています。
漁を行った場所や時間、漁獲量などを記したこの情報。これまでは漁船ごとに管理していました。

新たな会社では、複数の漁船の情報を一元化。魚群の情報を共有して漁をすることで、操業時間や燃料費を削減しているのです。
複数の企業が集まることで、資金力が高まり、最新の船も導入できました。漁業者が連携して操業するようになり、水揚げが安定しはじめ、市場も活気づいてきました。

人手不足を補う AIで魚の選別自動化

ただ、こうした取り組みが進む一方で、漁業関係者の人手不足は深刻です。
宮城県全体でも、漁業者の数が震災前の平成20年から、3分の2に減りました。

そこで気仙沼では、人出不足を技術で補おうと、様々な取り組みがはじまっています。
こちらは、超音波で魚の雄と雌を判別する機械。価値の高い白子をもった鱈の雄を簡単に見分けられます。

今開発しているのは、AIを使って水揚げされた様々な魚を自動で仕分ける機械。漁協が東北大学や民間企業と共同で行っています。100万枚近くの魚の画像データを覚えこんだAIが、運ばれてくる魚の種類と大きさを特定。魚体を傷つけないよう、特殊なアームを使って丁寧に仕分けます。従来は人の手に頼ってきた仕分け作業が、この機械を使えば人手を半分に減らせると期待されています。

漁協の担当者
「機械、AIに頼らざるをえない状況がくる。こういう機械化が進むのは本当に助かる。」

東北大学 情報知能システム研究センター 鹿野満特任教授
「気仙沼から水産業を復活、発展させていく基地になれば。気仙沼の人にとって良いよねというところにつながったらうれしい。」

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