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2020年3月29日(日)

働き方改革で若手社員は今

☆この記事のポイント
◎働き方改革が進む一方、仕事のやりがいや成長実感のなさに不満を抱く若手社員が。
◎1、2年目の社員の約半数が「転職を検討」という調査も。
◎働き方改革と若手の育成を両立する改革で離職率を減らした会社の対策とは。

働き方改革関連法が施行されて4月で1年。時短勤務やテレワークなど多様な働き方が広がる一方、若手社員を中心に、「仕事にやりがいをもてない」「自らの成長を実感できない」といった声が出ています。中には、「転職」活動を始める人たちもいます。
その実態を取材しました。

働き方改革 若手社員の今 残業削減も“やりがい”が…

都内の大手企業で広報の仕事をしている、鈴木さん(仮名)26歳。
入社3年目で、勤め先ではテレワークなども取り入れられ、残業の削減が進んでいます。その一方、鈴木さんは働き方改革を優先するあまり、若手に挑戦の機会が与えられないことに不満を感じています。

鈴木さん(仮名)
「とにかく残業時間を減らそうと、時間にしか目がまだ行っていない気がしています。クオリティを求めず、毎日最低限働いて時間になったら帰る、みたいになっていて、ちょっとやばいなという気持ちです。」

鈴木さんの職場の様子を漫画で再現しました。

チャンスが回ってきても、納得いくまで仕事に時間をかけられないといいます。

鈴木さんは、給料や待遇に不満はないものの、成長が実感できないことから、今年(2020年)に入り転職活動を始めました。

鈴木さん(仮名)
「上司に『そんな若いうちから焦んなくて良いんだよ。ちゃんと遊びなさい』と言われました。私は焦っているんですけど、ギャップがありますね。」

“成長”求め 転職も

鈴木さんのように転職を考える若者は増えていて、ベンチャー企業への転職を支援する都内の会社では、登録者はこの2年でおよそ5倍になりました。また、登録者のおよそ8割が有名な大企業の社員で、今の会社にもの足りなさを感じている人が多いと言います。

アマテラス 藤岡清高社長
「今の会社のままだとやばいぞという危機感から始まってる人は多いと思います。
バッターボックスに立たせてくれるようなところで早く働きたいと思ったとき、ベンチャー企業は選択肢になってくるのだと思います。」

企業に勤める1年目・2年目の社員400人を対象に行われた調査では、「転職を検討中」あるいは「活動中」の社員が、全体の48%。実際に「転職サイトに登録している社員」も46%に上っています。転職を求める理由としては、「労働時間が長い」、「人間関係が悪い」といった理由に加え、より「スキルや能力の成長を感じたい」という人も多いと専門家は指摘します。

日本能率協会 KAIKA研究所 近田高志所長
「これまでどおり自分のキャリアを会社に任せていると、変化に気付いたときには、もう手遅れになっているかもしれないと、多くが不安を感じている。企業の働き方改革の進捗に関して言えば、成長機会の提供、社員のモチベーションというところは、まだまだこれからの課題ではないかと思います。」

企業にとっては長時間労働の是正を進めながら、いかにやりがいや成長を感じてもらうかが、若手社員をつなぎ止めるためにも必要となっています。
働き方改革と社員の育成を両立することで、離職率を大幅に改善した企業を取材しました。

離職率50%からの改革 若手社員の成長実感を

国内外におよそ700店舗を展開する理容室です。2,300人余りのスタイリストを抱えています。

かつては、会社が急拡大する一方で、若手が定着せず、離職率が50%に達していました。業務が多忙を極めるなか、技術の向上は個人任せになっていて、スタイリストたちの多くが成長を実感できないと不満を抱いていました。

キュービーネットホールディングス 北野泰男社長
「この業界は、先輩の技術を“見て盗む”のが当たり前の世界で、毎日集中して学べる機会はなかなかありませんでした。自己充実感が、ちょっと感じにくくなっていたように思います。」

経営の危機が立ちはだかるなか、若手を意識した改革に踏み切ります。

その1つが、勤務時間を使って教育を行う、社内スクールです。

「背中を見て学ぶ」といった精神論は一切排除し、先輩が手取り足取り指導します。経験や勘に委ねられていた技術を、誰にでも再現できるよう、徹底的にマニュアル化して伝えます。一般的に店頭に立つまで2、3年と言われる中、この指導によって6か月にまで短縮しました。

そして2つ目の改革は、さらなる成長を求める若者に、多様なステップアップの機会を用意したことです。

それまで、店舗に立つだけだったスタイリストたちも、

▽海外への転勤
▽社内スクールの講師
▽本社での勤務

など、年齢にかかわらず、意欲しだいでチャレンジできるようにしました。働き方改革と並行して、こうした取り組みを続けた結果、優秀な人材が現場に定着し、離職率は7%にまで下がりました。

キュービーネットホールディングス 北野泰男社長
「成長していきたいという意欲はすごく感じますので、長い目で見た成長をしっかり企業が捉えて、機会を設けていくことが必要になってきていると思います。」

若手社員が定着していくためには、会社の中での将来像を具体的に描けるようになることが大事です。また専門家は、モチベーションを高めるには、若手との「丁寧な対話」も重要で、担当できる業務が限られるなか、一つ一つの仕事の意味やそれが将来にどうつながっていくのかなど、丁寧に伝えていくことが大事だと話していました。

取材:重田竣平ディレクター(おはよう日本)

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