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2020年4月7日(火)

業種間連携で雇用悪化を防げ

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などの影響で、旅館やホテルなどでは宿泊客が大幅に減少し、雇用が維持できるか懸念が広がっています。長野県の軽井沢町では、業種間で連携して問題解決を図ろうという模索が始まっています。

相次ぐキャンセル 雇用はどう守る

4月3日の金曜日、長野県軽井沢町の大通りは、ほとんど人通りがありませんでした。ふだんの年なら、春休みでにぎわうはずの時期です。

ここでおよそ130人が宿泊できるロッジを経営する由井一夫さんによると、新型コロナウイルスの感染拡大で団体客のキャンセルが相次ぎ、先月の宿泊はわずか2件。売り上げは前の年に比べ実に95%以上減少したといいます。

ロッジを経営 由井一夫さん
「まんべんなく(予約が)入っていたが、すべてキャンセル。4月もキャンセル、5月の連休もキャンセル。つらいです。そういう言葉しか出ない。」

この状況は、従業員の雇用維持にも影響を及ぼしかねません。このところ、出勤しているのは館内のメンテナンスにかかわるわずかな人たちだけで、15人の従業員は、今ほとんどが休みの状態が続いています。

ロッジを経営 由井一夫さん
「(従業員の)みなさんの生活がかかっていますから、やっぱりそれは心苦しい。本当に申し訳ない。」

地域のおよそ120軒のホテルなどが加盟する軽井沢旅館組合の鈴木健夫さんは、この状況が長引けば従業員の雇用に大きな影響が出かねないと、解決策を模索してきました。

軽井沢旅館組合 鈴木健夫組合長
「通常の2割3割くらいのお客さんしか来ていないのが現状。やはり人件費が負担増になるので。従業員を解雇したり出勤停止したり、給与は生活の糧だから、そういうことはしたくない。」

宿泊業と農業が連携 地域で雇用を守る

そこで鈴木さんが着目したのが、地元の農家です。
地元のJAによると、農家の高齢化に加え、新型コロナウイルスの影響で、この春に受け入れ予定だった中国人の技能実習生90人のうちほとんどが来日できなくなったことで、農業の担い手が不足していました。

鈴木さんは、一定期間、農家でホテルなどの従業員を働かせてもらえないかと考えたのです。
そして、地元の農家で初心者にも出来る作業があるかなどについて聞き取りを行うなど、農業の実情について調査を行ってきました。そして、鈴木さんは地元のJAに従業員の派遣を申し入れました。今、JAとの間で賃金や労働時間など、条件面について検討が続いています。

軽井沢旅館組合 鈴木健夫組合長
「(旅館業と農業で)なんとか協力し合って、補い合えればと思っている。それでわれわれも助かるので、なんとかしたい。」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、仕事が激減するという業種がある一方で、人手不足となっている業種があります。

労働市場の問題に詳しい、リクルートワークス研究所の中村天江・主任研究員は「これまで雇用は企業と個人の間で行われていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、地域の中で業種を超えて連携するといった新たな動きが生まれてくる可能性がある。介護や物流の現場では今、現に人手不足となっていて、業種間連携などの柔軟な対応が求められていると思う。」と話していました。

取材・上原直大ディレクター

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